退院しておおよそ2週間後、紹介された腎臓内科の病院に行く。仕事終わり16時30分の予約である。仕事は早く切り上げた。
入院した病院は循環器系の専門病院なので、腎臓の専門医を紹介された。心不全で心臓も悪いが、結局腎臓にも影響があって、専門医に診てもらうべきだとの判断だそうだ。
医療は臓器別で専門化しているので、なんだか患者としては面倒になっている。心臓と腎臓は別であるということだが、私の体はひとつのシステムであるので、少しだけ医療のあり方に矛盾を感じつつ、とりあえず文句は言わないとしておく。
入院時に急性の透析を行ったのは以前書いた(はじめて入院した16/2019・11・19参照のこと)。なんせ一生人工透析するかもしれないとまで“脅さた“という経緯がある。
病院は家から徒歩圏内である。中規模の病院という感じである。紹介状を携えて受付を終え、予約してあった医者の診察室の前で待つ。20分程度で順番が回ってきた。診察室10である。医者がPC上に現れる私のデータを見ながら、簡単な質問をしてくるが、とりあえず現在の腎臓の状態を診るために採尿と採血、そしてX線の検査をオーダーする。
診察室を出て、それぞれの検査を行う。入院時何度も行ってきた検査であり、慣れたものではあるが、「よく検査ばかりするなあ」、「検査して治るわけでもないし」と検査漬けの医療のありようを考えてしまう。以降数度この病院に行くたびに採血と採尿である。X線はここの病院では今はやっていない。
それぞれを終わって診察室の前で待つ。15分程度で受付番号が掲示板に表示され中に入り、椅子に座る。医者の診断は腎臓の数値を見ると、正常とはいえ、最低の値を示しているとのことだ。腎臓は改善しない臓器なので、現在の状態をできるだけ維持するために観察して行こうとのことだ。
しかしだ。改善しないというが、次のようなことも言っていた。腎臓の状態について、入院時は酷く、退院時は正常の最低である。さらに現在は退院時より少しばかり数値は良くなっていると。さっき腎臓は改善しないと言ったよね。でも、数値が良くなっているのは改善ではないのだろうか。なんだかよくわからない。
以降も何度か受診しているが、その度に腎臓の数値は良くなっているという。改善とは何をいうのだろうか。一度腎不全になったら、改善しないという意味だろうかと思いながら、現状維持すればいいんだととりあえずの納得をあえてしておく。ちなみに腎臓が少し小ぶりらしい。こればかりはどうしようもない。遺伝的なことだろう。
医者からは腎臓が悪い場合の治療法の説明があった。よく聞く人工透析と腎臓移植。そこまでではなくともステロイドや輸血があるという。私の場合、少し悪ければ輸血療法を考えることもあると。ただこの医者は誤解のないように最悪の場合などを考えた上での説明だからと私に言ってきた。「そう言わないと、気にしないでしょう」とも。
私は冗談交じりに「先生、じゃあ脅迫みたいなものですか?」と言うと、「そちらの方が脅迫ですよ?」と笑っていた。そこで腹膜透析の説明をしてきた。冗談を冗談で返してくるので、好印象である。
また腹部にカテーテルをして、そこから透析液のバックを1日数度自ら行う治療もあると。腹膜透析と名前が付いているが、要は腹に穴を開けて、そこから薬を毎日何度も入れるということだから、これまたしんどい話だ。
私は「そんなことしたくありませんよ」と言うと、「では、そうならないように観察していきましょう」と。
ちなみにこの医者は以前大学で生物学の非常勤講師をしていたとの話をしてくれた。そういえば、医学だって、生物である人間を扱うのだから生物学といえば生物学になるんだと再確認した。
この病院では薬は出ない。予約は1ヶ月半後。診察前に採血と採尿がセットである。先にも書いたようにX線はなしだ。