Drマサ非公認ブログ

断片1:どうして韓国や中国から反省していないと思われるのか?

 前々回、僕のブログ「動物愛護と共生」において、宗教学者の山折哲雄さんに依拠して、現在唱えられる共生が人間中心主義に陥る可能性があると書いてみた。ただ山折さんのどの著書だったか、忘れていたのだが、気になって探してみた。依拠していたのは次の本であった。

 山折哲雄『日本文明とは何か』角川ソフィア文庫2014

 見つけたので、チラチラ目を通していたが、付箋を貼っているところがあった。日本と中国・韓国の間にある歴史問題が生じる、日本の文化の“古層”について論じられていて、「なるほど」という感じを受けたので、ここに僕なりの理解を綴らせてもらう。

 そこで取り出されるのは、1998年にハンチントンが来日し、講演した時の日本論である。ハンチントンは『文明の衝突』で知られた政治学者である。

『文明の衝突』では、世界を7つの文明に分けたことはよく知られたことであるが、少し触れておこう。

 ハンチントンによれば、世界の文明は現在7あるいは8あるという。列挙すると、中華文明・ヒンドゥー文明・イスラム文明・東方正教会文明(ロシア中心)・西欧文明・ラテンアメリカ文明・アフリカ文明・日本文明・その他である。あらゆる文明は、いくつかの国が共有するが、日本文明は日本1国に限定されていながら、文化ではなく文明というスパンを持つ広がりを持っている。

 ハンチントンが提示した文明の枠組みが宗教に傾いているため、異論もあるに違いないが、驚くべきことは、日本の独自性である。それまで地政学的に東アジア文化圏である日本は、中国からの強い影響のため中華文明の一種と考えるものが多かったのだが、あくまで日本は日本という1国だけで、日本という文明を作り上げているとの考えは、新しい世界の見方を提示していた。

 これら文明は他の文明と衝突するため紛争が激化しやすいと指摘される。これに倣えば、日本文明は中華文明である中国や韓国と衝突しやすいのは必定であることになる。

 ハンチントンの講演は当然『文明の衝突』に依拠するが、日本独自のイメージを3つのテーマから論じている。それぞれ、「孤立する国家、日本」「西欧化しない日本」「革命のない日本」である。

 最初の「孤立する国家、日本」はどうだろうか。別に世界から孤立しているなどと我々は思ったりしないだろう。なぜなら、日本は先進国でありG7、G 20などの主要国に含まれるし、卑近な例でいえば、世界最強のパスポートは日本のものであるなどと言われるので、世界から孤立しているなどとは思わないだろう。

 ところが文明という観点からは、唯一の日本文明が日本国なのである。当然だが、他の文明はいくつかの国にまたがっている。その理由として、日本にはディアスポラ(国外離散者)がいないことが挙げられている。

 確かにジャマイカ人がイギリスに移住すれば、そこでジャマイカ人からはイギリス人と見られ、イギリス人からはジャマイカ人と見られる。これがディアスポラの姿である。在日朝鮮人も同様のアイデンティティの問題を持つ。

 この理解は難しいが、押さえておくべきことは日本1国だけで文明を構成しているという”事実”に留めておこう。

 次回は「西欧化しない日本」「革命のない日本」を取り上げてみようと思う。そちらの方が先の問題の説明として説得力がある。

(つづく)

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