Drマサ非公認ブログ

はじめて入院した26

 事務の話もしておこう。

 救急車で運ばれた時は妻が診察申し込みを行った。診察申込書があり、そこに名前、生年月日、住所、電話番号を記載したらしい。普通であれば、これに保険証の提示が求められると思うが、特にそういう指示はなかったらしい。また、受付も急ぐというわけではなく、落ち着いて対応してくれ、妻は救急受付の部屋に付き添いの友人とともに待つことになったという。

 私自身はERで受診している時も、保険証を提示しなくて大丈夫かなと思いながら診察を受けていた。自分の財布に入れたままだったのと、かつて病院当直事務をしていたことがあって、こういう場合必ず保険証の確認をしていたからである。ただ思い出してみると、いくつか務めた中で東京有数の大病院で救急車を受け入れた時、確認していなかったようにも思う。考えるまでもなく、あとで確認すればいいことではある。

 そのうち保険証の提示を求められるようになるだろうと思っていたが、全くそうゆう素ぶりはなかった。ACCUに入院している時、看護師に保険証のことを聞いてみたら、「そのうち事務がやるんじゃあないですかあ」と無関心な感じであった。そりゃそうだ。保険証の確認なんて看護師の仕事ではないんだから。

 同時に、入院の手続きもしていなかったので、そちらの方も気になっていた。そりゃ逃げるわけにはいかないし、問題が生じるなんてことも少ないだろうしと思ってはいた。ただ医療費の未払いは多いと聞くし、保険証を提示しておけば、患者が支払いを怠ったとしても、保険組合から7割分の支払いは確保できる。とりあえずのんびりした病院なのかなあと漠然と思っていたりした。

 一般病棟に移動しても、病院側からは何も言ってこないのだ。こちらの方が心配である。まさか健康保険適応せずの請求でもきたらどうしたらいいだろうと。といっても、そんなことはありえない。移動して3日目ぐらいだったろうか、ナースステーションに医療事務スタッフもいるのではないかと思ったので、声をかけてみた。

 「保険証を提示もしていない」と看護師に言ってみた。そうすると、「ああ、そうでしたか」と。

 じつは看護師と思って声をかけた人物は医療事務のスタッフであった。看護師と同じようなユニフォームを着ているので、事務スタッフとはわからなかった。確かにナースステーションの正面にいつも座っていて、ほかのスタッフのように聴診器や血圧測定器を常備していなのだが、杉下右京でもあるまいし、気づくわけがない。

 それで、彼女に保険証を渡すと、「コピーして返します」とのことで、これで保険証の問題は解決。入院しておおよそ2週間である。

 「入院手続きもしていないですよ」と伝えると、「入院事務がそのうち来ますよ」とのんびりしたものだ。実際入院手続きをしたのは退院の4日前で、医者から「そろそろ退院」と告げられた後であった。

 入院事務が入院の手続きのためにベッドサイドにやって来た。なんと書類に名前を書くだけであった。なんと簡単なことか。先に言ったように、かつて私は病院当直事務を行っていた。その時の入院手続きでは、入院者の名前・住所・電話、さらに保証人を設定した上で、入院者と同様の情報を記入してもらったものだ。この病院は非常に簡便で、CTやカテーテルするときの書類も同様だった。

 さらに患者情報を書く、4ページにわたるような書類があったりすると思っていたが、存在しなかった。結構面倒だったりするものだが、確かに今更なのであるが、そういうものを書いたりはしなかった。似たようなことは口頭で看護師に質問を受けたことはあったが。患者情報、家族の構成や職業、その人の嗜好性などを書類で確認するより、話しながらの方が人となりがわかるというものである。

 もう1点、保証金がなかった。多くの病院が取っていると思うが、この病院では省略されていた。支払いしない者はどのような方法を取っても支払わないだろうし、合理的なのかもしれない。これらを含めて、事務処理に関して、患者側の負担は小さかった。

 唯一急かされたことがある。限度額認定の保険証である。保険組合に請求して発行してもらい、それを病院に見せる必要があるのだが、退院前日になってしまった。実際は計算できないということで要求されただけだった。なんせ140万円になっちゃうわけだから。まあ期日に間に合って良かった。ちなみに用意できなければできないで、後で支払ってもいいとのことでもあった。

 手続き重視の社会にあって、なんかゆるい感じの病院であった。大病院なのに。私自身がかつて同様の仕事をしていた中で、患者や家族に書類を書いてもらうときの意識は手続き及び規則重視だったのかもしれない。ルールを守ることが徹底されれば、悪しき規範主義になったり、コンプライアンス至上主義になる。そういう社会が日本だと思う。自分もそういう一員なのであって、少しばかり反省した機会にもなった。

 ゆるいぐらいがちょうどいいわけだ。

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