Drマサ非公認ブログ

はじめて入院した27

 毎朝体重測定がある。ACCU(集中治療室)の時はベッドサイドまで体重計を看護師が運んで来たが、一般病棟ではナースステーションの前まで自分で移動して測定である。

 朝7時ごろ、看護師が「体重測定してください」と言いにやってくる。眠い目をこすってベッドから起きて、数十メートル先のナースステーションまで行く。すると、数人が体重計の前で並んでいる。その後ろに並ぶ。「なんだか、強制収容所見たい」と心の中で呟く。なんせ皆同じパジャマを着て、覇気を感じられないからだ。

 管理するという営みは人間の固有性を失わせるように感じていた。僕自身、自動的にベッドから立ち上がり、並んでいたからだ。「面倒くさいなあ」ぐらいに思っている方が真っ当なのかも。そんなことに考えを巡らせていた。一応番号ではなく、看護師に名前を聞かれる。刑務所ではないことを確認できる(笑)。

 入院して体重は12キロ落ちた。入院する時は85キロ。退院時は73キロである。ちなみに今このブログを書いている時点で、退院から2ヶ月経つが、現在は75キロである。カナダにいる2週間以上、食事も取れず、日本に戻り3週間入院食であった。

 加えて、体重が落ちた理由は身体に溜まっていた水が排出されたからだ。心臓はうっ血し、肺にも水がたまり、足は水で膨れ上がり、全身に水が溜まっていた。腎臓の機能が落ちていたわけだ。この状態を脱するために利尿剤を点滴や投薬で加えて、尿で排出するように調整していた。しかしながら、当初効果もなく、医者の頭を悩ませていた。体重低下は全身のいらない水分が排出された証であった。

 以前記したが、水分制限もあり、それが不自由だった。水かお茶をちょぼちょぼ飲むしかないわけだが、なんかスカッとした気分にならないのだ。入院して4日目ぐらいに医者に「炭酸水飲んでいいですか?」と聞いたが、爽快感が欲しかったからだ。医者は少し考えたのち、許可してくれたが、「そんなこと初めて聞かれたよ」と笑っていた。

 ちなみにコーヒーも飲みたかったのだが、医者から禁止されていた。一般病棟に移動してのち、「1日1本缶コーヒー飲むぐらいなら」と許可された。ちなみに隣のベッドのXさんも当初コーヒーを禁止されており、医者が診察に来るたび、「コーヒー飲みたい」とアピールして、ペースメーカー取り付け後、安定してから許可が出ていた。

 当たり前なのだが、入院していても、患者の状況によって対応が違う。私自身は間食が禁止されていた。血圧の関係と、心臓の関係で、病院食だけでの経過を観察したいようであった。一応塩分は控えなければならないし、たんぱく質摂りすぎも注意である。それは今現在も変わらない。

 他の患者は結構間食OKで、1階にある24時間営業の売店から菓子パンなどを買って来ていた。羨ましいとはさすがに思わないが、病気で違うことを確認していた。ちなみに私は心不全、他の方々はペースメーカー関連、狭心症、不整脈であった。

 入院も1週間ほど経つと、病院食は物足りなくなっていた。それまでは何か他に食べたいとも思わなかったが、少しばかり回復して来た頃だったのかもしれない。医者に「メロン食べてもいいですか?」などとワガママを言ってみたが、「ダメです」とけんもほろろという感じの返事であった。

 結局、退院するまで間食の許可は出なかった。ところで、メロンを少しぐらい食べて、何の問題があるのだろうか?考え過ぎかもしれないが、管理するという行為には些細なことをも統御しようとする意志が生じるのかもしれない。無意識的なのかもしれないが。退院近くになって、栄養士に聞いいたところ、メロンおよびフルーツはお勧めとのことだった。

(つづく)

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