終の棲家ストーリー

まさか!の還暦家つくり。しんどくならないように、ゆっくり書きとめながら・・・。

背広という服

2011-01-19 21:03:40 | 衣・布
おっちゃんは既にリタイアしたので、背広には縁遠くなった。

メンズスーツと呼ばれるようになっても、

男の外着として、

不朽の第一必須アイテムであることに変わりはない。

まして男の戦闘服、然り。

戦闘服として成り立たせる為の、過酷な要求をクリアした、究極のスタンダード。

大将の戦闘服、戦国武将の鎧甲冑を連想させたのは、麻生さんのスーツ姿だった。

首相に就任された頃、(当時はまだ、ウチでもテレビを観ていた)、

その服が超一流テーラーの匠の手になり、いかに高価で上等か、が喧伝された。

たしかに高級感あふれていて、言うことなし。

形状記憶装置が装填されていたのかどうか、それはわからないが、

東北で発掘された縄文の土偶に似てる、と思ったのは、わたしだけかも知れない。

対照的なのは、かんさんのスーツ。

就任後、有名スタイリストでも手当てされたのだろうか。

売り出し中のタレント風の、気合いの入った流行の取り合わせ、

高級そうでも服ばかり目立つ借り着風、なのは、わたしの偏見か。

たまたま目に入った、数少ない症例だけでは、なんとも言えないが。

さて、その語られる言葉と同じ比重かどうか、

小沢さんの服装をチェックしておられる視聴者諸兄姉も、希におられることだろう。

彼の背広こそ、希有な熟練の匠の仕事に拠ると、わたしはお見受けする。

しなやかな極上の素材で、あたかも一続きの皮膚のように、

着手と一体化し、何よりも目立たず、まして高価そうになぞ見えない。

それに気づいたのは、代表戦の立ち会い演説会、ネット中継の映像。

炎天下のヨドバシカメラ前、街宣車上、その立ち姿の乱れず端正なこと。

その立ち居振る舞いや言葉はいまさら言うまでもないが、

また、比較すべき相方のレベルはさておき、

寸分の隙もない、誠実、正統を形に表したような完璧な背広姿、

に注目した聴衆は、わたしだけではなかっただろう。

最近の映像では、首筋から肩のなだらかな稜線の優美なこと、

アームホールの存在感さえ消してしまう、伝統的な服造りの正確さに、見取れた。

服の制作者の、クライアントへのレスペクト、

着手の、縫い手への揺るぎない信頼と感謝、が読み取れる。

権力者も三者三様ながら、

背広って、群衆の中の隠れ蓑どころか、着手の正味を映し出すスケルトン、

実に怖いコロモなのです。
























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