愛に恋

「ヒミズ」の公開も間近に控えた園子温監督の「恋の罪」。
出演は水野美紀、神楽坂恵、冨樫真。
1997年に起きた東電OL殺人事件にインスパイアされて出来た物語。


小説家の妻として不自由の無い生活を過ごしていたはずのいずみ、
しかし彼女の心には満たされないものがあった。
ある日街中でスカウトされた事により彼女の中で何かが目覚める。

女性の「業」を描いた本作、
登場する3人の女性は社会的地位を確立していながら皆裏の顔がある。
理性的な表の顔から性欲にまみれた裏の顔に変貌する彼女達。
そこには理屈を超えた動物的な本能があった。

出色なのは、大学で教鞭を取る美津子を演じた冨樫真。
いずみを夜の世界に引きずり込む女性を正に怪演。
「冷たい熱帯魚」の頃は観ていてハラハラする程だった
いずみ役の神楽坂恵も本作で完全に一皮向けました。
そして水野美紀！！
彼女の○○シーンは果たして本当に必要だったのか？

インスパイアされた事件は入口に過ぎず
その中にはどこまでも深く、暗い闇が続いていた。

脚本は正直破綻しているし、
いつものように冗長するきらいもある。
しかしその欠点をも力技でねじ伏せた感のある快作。