
著者は、最初、紹介欄を見ても気づかなかったが、赤坂憲雄氏との編著『辺境からはじまる―東京/東北論』赤石書店 2012.5が本棚にあるのを知った。聞き取りによる父謙二氏の個人史がベースだが、一人の人物の細部から、歴史、社会の変動という全体的なものを見ていくという方法をとっている。その中に自身との共通のものを見出す時、共感するものがあった。
日本敗戦後のシベリア抑留のこと。最悪な状況であった敗戦から翌年1946年の冬の森林伐採、土木建設に従事した体験。1948年帰国後、家族を養うために様々な職を転々。結核による療養生活。スポーツ用品店に入社。その後の独立。引退後は、不戦兵士の会など人権・平和活動に参加。国の平和記念事業に関する朝鮮人兵士のシベリア抑留者戦後補償裁判での意見陳述をされるなど、戦争体験に根ざした歴史認識の持ち主であることがわかる。また、氏の住まいがある地域の自然保護活動のこと。淡々とされているが、行動の人であり、3.11後、「原発はやめたほうがいい」と、すぐ太陽光パネルを屋根に取り付けられた。
記憶とは語り手と聞き手の相互作用によって作られる。声を聞き、意味を与える努力が歴史なのだ。それをしなければ、事実や経験は滅び私たちは足場を失う。存在価値を失う。その文章が強く印象に残った。
日本敗戦後のシベリア抑留のこと。最悪な状況であった敗戦から翌年1946年の冬の森林伐採、土木建設に従事した体験。1948年帰国後、家族を養うために様々な職を転々。結核による療養生活。スポーツ用品店に入社。その後の独立。引退後は、不戦兵士の会など人権・平和活動に参加。国の平和記念事業に関する朝鮮人兵士のシベリア抑留者戦後補償裁判での意見陳述をされるなど、戦争体験に根ざした歴史認識の持ち主であることがわかる。また、氏の住まいがある地域の自然保護活動のこと。淡々とされているが、行動の人であり、3.11後、「原発はやめたほうがいい」と、すぐ太陽光パネルを屋根に取り付けられた。
記憶とは語り手と聞き手の相互作用によって作られる。声を聞き、意味を与える努力が歴史なのだ。それをしなければ、事実や経験は滅び私たちは足場を失う。存在価値を失う。その文章が強く印象に残った。