眼窩前頭野は、理性の座であると同時に、美を愛で、異性を品定めし、儲け話やおいしい匂いに舌舐めずりする人間臭い欲望の座でもある。
つまり、眼窩前頭野は、心のブレーキをかける自己制御の中枢である一方、欲望というアクセルの働きもする。
理性の座としての眼窩前頭野は、損得を見極めている、善悪の価値判断をする、道徳や倫理観とも深く関係している。
具体的な働きを見てみよう。行動のブレーキをかけるためには、頭の中でしてはいけないことをただ理解しているだけでは役に立たない。
眼窩前頭野の重要な働きは、自分の行動を見張る自己モニタリングの機能を持つ。
ということで、行き過ぎた、ブレーキの甘い行動に走りやすいのは、自己モニタリングの働きが弱いために、行動をしている瞬間にチェックが出来ないからである。
このように、善悪観念や道徳といった高次の社会的観念の獲得には、眼窩前頭野を含めた内側前頭前野が深く関係している。
心の健康な人であれば、人を傷つけるようなことや不道徳なことをしようとすると、自己の行動をモニターする心の目が警報を鳴らし、歯止めがかかる。