実母が亡くなって1年半、今日は月命日です。
実家の父は9年前に、亡くなりました。
実父母は二人とも、亡くなる前には認知症になり、
それぞれ2年ほど施設のお世話になりました。
父はアルツハイマー型認知症で、
父の場合は、子供たちのことも、妻である母のことも忘れていきました。
母を連れて週2回洗濯物を交換に行き、父の顔を見てくるのが1年続いたある日。
父が母の顔をみて、「おまえは誰だ?」と言いました。
母が凍り付いたのを感じました・・・
結婚して60年、自営で小さな店を2人で続けてきました。
認知症だと解っていてもつらかったでしょう。
今でもその時のことを思い出すと胸が痛みます。
それまでに、私たち娘のことは解らなくなっていましたが。
ただ、近しい関係の人ではあることは理解していて、
行けばとても嬉しそうな笑顔を見せてくれました。
面会を終えて帰ろうとする私達を、廊下の角で見送り手を振ってくれました。
父が亡くなる最後まで唯一覚えていたのは、自分の名前だけでした。
父が段々と忘れていくのを感じるのはつらかったけれど、
施設の廊下でベンチに並んで座る時、私はいつも癒やされていました。
全く悪意のない、欲もない、優しい存在。
・・・母の月命日に父のことばかり思い出します。
母にとても優しかった父に、
認知症になる前に、感謝の気持ちを伝えたこと、なかったなあ。
「お父ちゃん、ありがとうね」