今、話題となっているヤングケアラーの問題。
聞きなれない言葉かもしれませんが、現実に起こっている問題です。
松の家としても考えていきたい問題ですし、何か力になれたらと思います。
皆様にも知っていただければと思いまして、記事を取り上げました。
~東京新聞より記事抜粋です~
国が高齢者介護の場を施設から在宅へ移そうとする中、家族の負担が増している。家族の形態も変化しており、十代や二十代の若者が介護の担い手となる「ヤングケアラー」の問題が浮かび上がってきた。
二月二十三日、介護の担い手を支援する一般社団法人「日本ケアラー連盟」の主催で、シンポジウム「介護を担う子どもたち」が都内で開かれた。この中で、成蹊大学の渋谷智子講師は、若者による介護が増えている兆候を指摘した。
渋谷氏が注目したのは、二〇一三年に東京都医療社会事業協会が行った会員アンケート。四百二人の回答のうち、35・3%が「十八歳以下の子どもが家族のケアをしていると感じた事例がある」と答えた。
この背景には、少子高齢化と並行して家族の在り方が変わったことがある。家族の層が薄くなり、孫の手を借りなければ介護ができない家族もある。
渋谷氏は「祖父母だけでなく、障害や病気を持つ親のケアをする子もいる。重過ぎる役割を抱え、自分は家にいなければいけないと進学や就職をあきらめる子もいる」と言う。
シンポジウムでは、英国での取り組みも紹介された。市民団体「子ども協会包摂プロジェクト」は、〇〇年から介護を担う子どもたちが集う「ヤングケアラーフェスティバル」を毎年開くなど、社会に問題提起してきた。
支援の第一歩は、介護を担う子どもを見つけ出すこと。把握できれば、公的サービスを選ぶ上でも、子どもの負担が軽くなる方法を考えることができる。
英国ではプロジェクトの働き掛けで、介護の必要な人に、子どもが介護に関わっているかどうか尋ねる考え方が拡大。子どもへの配慮を法律で義務付けようとの動きもある。
英国政府も調査に乗り出し、一一年の調査で、子ども人口の2%に当たる約十七万人がヤングケアラーとされた。一方、別の機関では同8%との調査もあり、実態把握の難しさも表れている。
日本では調査すら着手されていない。まずは問題を広く知ってもらうため、同連盟はホームページ上に専用サイトを開設している。
仙台市太白区の秋保(あきほ)秀樹さん(25)は、十六歳から六年間、祖母の介護をした元ヤングケアラーだ。
祖母が認知症を発症したのは、秋保さんが高校二年生の時。研究者になりたいと進学を目指していた。「母と祖母の三人暮らし。家計は働く母にかかり、昼間は自分がみるしかなかった」と秋保さん。祖母は夜中も騒ぎ、世話に追われた。
遅刻が多くなり、三年生を待たずに休学、やがて退学した。「相談できる友人はだれもいなかった」と秋保さん。同級生と比べるとつらい気持ちになり、休学を決意したその日に携帯電話の番号もメールアドレスも変えて連絡を絶った。
その後は昼は介護、夜はアルバイトの生活。それもままならなくなり、最後の一年は介護に専念した。最終的に祖母は施設に入り、三年前に亡くなった。「目の前の現実に追われ、自分には助けが必要だということすら思い付かなかった」と秋保さんは振り返る。
その経験から、秋保さんは今年二月、「わかものケアラーの会」を立ち上げ、勉強会を始めた。秋保さんは「あちこちでたくさんのヤングケアラーが孤立し、一人で悩みを抱えてつぶされつつあるのだと思う。そういう人たちをつなげていきたい」と話している。