【表紙映像追加しました】
8061st.では成人向け同人誌の販売に、年齢確認を行います。参加される方は、写真入の身分証明書をお持ち下さい。
詳しくはにてご確認下さい。
当サークル、白き焔(スペース B-20)にて参加いたします。
しかし諸事情により、サークル主である真朱薫はほぼ不在です。
また頒布している本のほとんどが小説で、マンガに比べると成人向けの判別がつけにくいものです。「どこまで大丈夫なのか」という議論をするよりも、性行為の描写があるものについて全てR18扱いとすることにしました。
このイベントでは18歳未満の方にはご購入頂けませんが、何卒ご了承下さいますよう、お願い申し上げます。
ちなみにR18にする予定のなかった新刊「パンドラの箱」も、当該シーンが増えてしまい、R18指定になってしまいました・・・・・・。まったく激しくないシーンではありますが、そういうことですので、宜しくお願いします。
無事に入稿も終わりまして、一安心です。
仕様:A5カラー表紙オンデマンド P.70
概要:
ハボックが怪我してから「約束の日」が終わる辺りまでを、原作に添った形でハボロイしてます。あの台詞や、ソラリスなんかも出て来ます。
ハボロイ本っていうよりも、もしかするとハボック本かもしれないっていうくらい、ハボックたっぷりです。
単行本未収録のガンガン6月号までネタバレしておりますので(読んでなくても問題ないですが)、気になる方はご注意下さい。
プレビューの中身は暗いですけど、ハッピーエンドです。私にしては珍しく、誰もがこれはハッピーエンドだ!と言える終わりになっています。
表紙映像追加。撮影自宅。撮影者私。撮影台=ガンガン2冊(笑)
ドクン、ドクン、ドクン・・・・・・
目を焼く赤い光がハレーションを起こすように、規則正しく低い音が響く。
音に合わせて身体が引きちぎられるように痛んだ。
痛みを感じる、ということは、まだ生きているのだ。
痛い・・・・・・痛い・・・・・・苦しい・・・・・・
呼吸をするのも辛くて、無意識にうめき声をあげていたようだ。
目の前に広がったのは、まぶしいほど白い天井だった。
薄汚く妙な匂いがする朽ちかけた研究所ではなく、ましてや天国でも地獄でもない。
「ハボック?・・・・・・ハボック?」
いつになく覇気のない、だが聞きなれた声に呼ばれた。
鈍く痛む体は、まるで重石に押しつぶされているようだ。
声の方へ首だけをかすかに動かして、やっとのことで顔を向ける。
「気付いたか? ハボック」
・・・・・・ああ、大佐だ・・・。
隣のベッドに横たわっていた大佐は、軍服ではなく水色の病院の治療衣を着ていた。点滴につながれている。
どうやら自分も同じような状況にあるらしい。
「大佐・・・生きて――」
「バカモノ。この大馬鹿もんが・・・!」
開口一番怒られた。
大佐のまっすぐな怒りが、なんだか優しい気がして少しだけ嬉しい。
怒られたくらいでは、すまないことをしたのだから。
「・・・ぜってー死んだと思った」
俺は小さく苦笑した。
腹全体がうずき、ズキズキと痛みを訴えている。
ナイフを幾度も突き立てて抉られるような痛み。
意識を失う前の情景が甦ってくる。
すうっと冷たいものが背筋をこわばらせた。
瓦礫の中から電気系のノイズのようなものを感じた瞬間に、黒く太い爪で貫かれていた。もし二十センチ上ならば心臓を一突きで、刺されたなどと認識するよりも早く死んでいただろう。
本命の前で、浮気相手に刺されるなんて、間抜けすぎだ。
「あいにくだがな、俺もお前もまだ死んじゃいない」
「そうみたいスね」
良かった・・・大佐が生きていて。大佐が生きていて本当に良かった。
「―――あいつは死にましたか」
「死んだというか、粉々になって消えたよ・・・。ハボック」
そりゃ大佐が生きているんだから、彼女が死んだのは当然だろう。
・・・それほど悲しい気持ちにはならなかった。勝ったという喜ばしい気持ちにもならない。ただとてつもなく大きな戦いが一つだけ終わったのだと安堵した。
あの時、ソラリスの爪は俺の体を貫通した。
嫌な気配を感じた瞬間、トリガーを引けなかった。戦闘中にためらうなど確かに大馬鹿だ。
普段の自分なら、嫌な気配だと認識する前に撃っていると思う。隙があった・・・というよりは、多分あの女を撃てなかっただけなのだ。
容赦なく発砲し、焔を錬成させた大佐に異存などない。・・・でも俺は撃てなかった。
仕事とプライベートを分けるくらいの分別はあると思っていた。
あの女に惹かれていたのは事実だが、そんな深い感情も関係もまだなかったはずだ。関係と言うなら、大佐との方がずっと深い。これじゃまるで俺が大佐を裏切ったみたいだ。・・・いや、事実、そうなのか?
大佐は電話で医者を呼び出した。
医者が来るまでの間、俺と大佐は一言も口をきかなかった。何をしゃべっていいか分からなかったし、ともかく痛みがひどくて、しゃべるどころではない。
しばらくしてやってきた医者の診察を受ける。
案の定、奇跡的に生きているらしい。
痛むというと、点滴に鎮痛剤を追加された。ドクドクという鼓動と共にヒヤリとした液体が流れ込んでくる。その感覚の気味悪さに吐きそうになりながら、意識を失うようにして眠りについた。
翌日、車椅子に乗せられて色々な検査に回された。レントゲンを見せながら、医者は症状の説明をした。
内臓の損傷は軽いが、脊髄を損傷しており下半身の麻痺が起こっている。麻痺の回復の見込みはほとんどなく、神経信号の断絶によって機械鎧化も無理であること。出血多量による体力の低下。
しかも凶器が貫通した患部は、大佐が焼いて出血を止めたそうで、裂傷だけでなく広範囲に火傷も負っているのだそうだ。
血が止まればいいってもんじゃねぇだろと、突っ込みを入れたくなるレベルの腹の火傷。
じっと寝ているだけでもズキズキと痛む。下半身については、痛みどころかまったく感覚がなく、他人の手を借りて時々動かしたりしなければうっ血し床ずれを起こしたあげく、壊疽するらしい。
命があっただけでも大佐に感謝しろと、医者に言われた。
その通りだと思う。
戦場で簡単に失われる命を見てきたから、生きていることがどれだけ偶然の賜物で、尊いことか分かっているつもりだ。
軍人と言う人の命を奪う職業についているのだからなおのこと。
ふとお袋の顔が浮かんだ。
親父は徴兵で借り出されて戦場で死んだ。それなのにこの馬鹿息子は志願兵として従軍。さらに士官学校に通って職業軍人になった。
戦争なんか嫌いだと、兵隊なんか辞めろと言いつづけているお袋。今の俺を見たらなんと言うだろう。
このバカ! と子供みたいに叱るだろうか?
下半身が動かないということは、まだ実感が湧かなかった。
確かに自分の手で触ってみても、触られた方の感覚はまったくない。足を動かそうと思って力を込めても、ピクリとも反応しない。なんだか感覚が遮断されてボーッとしているのだ。
目の前に足はあるというのに、まったく自分の思い通りにならない。
下半身が動かないということは、歩いたり、走ったり出来ないわけで・・・・・・。
つまり・・・何も出来ないというのと同じ、じゃないか?
はっきり言って肉体労働派の俺としては、一体どうしたらいいというのだ。
命は助かったけれど、戦えない兵士は兵士ではない。
最後に医者はこう言った。
「大佐には、まだ状態を報告していない。お前さんが自分で言いたくなければ、私から伝えるが」
思わず大きくため息をつく。
どこかで、誰かが報告しなければいけない。気が重いが仕方ないことだ。あの人は何と言うだろうか。
「いいっス。自分で・・・伝えます」
それが一つのケジメだ。俺の最後の仕事。そう思った。
「タバコ、吸いたいんっスけど、いいですかね?」
「腹から煙が漏れなくなってからにしろ」
医者は呆れた顔で俺を見て、点滴の早さを確認して出て行った。
・・・兵士でない自分が存在し続ける理由は、一体どこにあるのだろう。
今の俺には、何の価値もない。
8061st.では成人向け同人誌の販売に、年齢確認を行います。参加される方は、写真入の身分証明書をお持ち下さい。
詳しくはにてご確認下さい。
当サークル、白き焔(スペース B-20)にて参加いたします。
しかし諸事情により、サークル主である真朱薫はほぼ不在です。
また頒布している本のほとんどが小説で、マンガに比べると成人向けの判別がつけにくいものです。「どこまで大丈夫なのか」という議論をするよりも、性行為の描写があるものについて全てR18扱いとすることにしました。
このイベントでは18歳未満の方にはご購入頂けませんが、何卒ご了承下さいますよう、お願い申し上げます。
ちなみにR18にする予定のなかった新刊「パンドラの箱」も、当該シーンが増えてしまい、R18指定になってしまいました・・・・・・。まったく激しくないシーンではありますが、そういうことですので、宜しくお願いします。
無事に入稿も終わりまして、一安心です。
仕様:A5カラー表紙オンデマンド P.70
概要:
ハボックが怪我してから「約束の日」が終わる辺りまでを、原作に添った形でハボロイしてます。あの台詞や、ソラリスなんかも出て来ます。
ハボロイ本っていうよりも、もしかするとハボック本かもしれないっていうくらい、ハボックたっぷりです。
単行本未収録のガンガン6月号までネタバレしておりますので(読んでなくても問題ないですが)、気になる方はご注意下さい。
プレビューの中身は暗いですけど、ハッピーエンドです。私にしては珍しく、誰もがこれはハッピーエンドだ!と言える終わりになっています。
表紙映像追加。撮影自宅。撮影者私。撮影台=ガンガン2冊(笑)
ドクン、ドクン、ドクン・・・・・・
目を焼く赤い光がハレーションを起こすように、規則正しく低い音が響く。
音に合わせて身体が引きちぎられるように痛んだ。
痛みを感じる、ということは、まだ生きているのだ。
痛い・・・・・・痛い・・・・・・苦しい・・・・・・
呼吸をするのも辛くて、無意識にうめき声をあげていたようだ。
目の前に広がったのは、まぶしいほど白い天井だった。
薄汚く妙な匂いがする朽ちかけた研究所ではなく、ましてや天国でも地獄でもない。
「ハボック?・・・・・・ハボック?」
いつになく覇気のない、だが聞きなれた声に呼ばれた。
鈍く痛む体は、まるで重石に押しつぶされているようだ。
声の方へ首だけをかすかに動かして、やっとのことで顔を向ける。
「気付いたか? ハボック」
・・・・・・ああ、大佐だ・・・。
隣のベッドに横たわっていた大佐は、軍服ではなく水色の病院の治療衣を着ていた。点滴につながれている。
どうやら自分も同じような状況にあるらしい。
「大佐・・・生きて――」
「バカモノ。この大馬鹿もんが・・・!」
開口一番怒られた。
大佐のまっすぐな怒りが、なんだか優しい気がして少しだけ嬉しい。
怒られたくらいでは、すまないことをしたのだから。
「・・・ぜってー死んだと思った」
俺は小さく苦笑した。
腹全体がうずき、ズキズキと痛みを訴えている。
ナイフを幾度も突き立てて抉られるような痛み。
意識を失う前の情景が甦ってくる。
すうっと冷たいものが背筋をこわばらせた。
瓦礫の中から電気系のノイズのようなものを感じた瞬間に、黒く太い爪で貫かれていた。もし二十センチ上ならば心臓を一突きで、刺されたなどと認識するよりも早く死んでいただろう。
本命の前で、浮気相手に刺されるなんて、間抜けすぎだ。
「あいにくだがな、俺もお前もまだ死んじゃいない」
「そうみたいスね」
良かった・・・大佐が生きていて。大佐が生きていて本当に良かった。
「―――あいつは死にましたか」
「死んだというか、粉々になって消えたよ・・・。ハボック」
そりゃ大佐が生きているんだから、彼女が死んだのは当然だろう。
・・・それほど悲しい気持ちにはならなかった。勝ったという喜ばしい気持ちにもならない。ただとてつもなく大きな戦いが一つだけ終わったのだと安堵した。
あの時、ソラリスの爪は俺の体を貫通した。
嫌な気配を感じた瞬間、トリガーを引けなかった。戦闘中にためらうなど確かに大馬鹿だ。
普段の自分なら、嫌な気配だと認識する前に撃っていると思う。隙があった・・・というよりは、多分あの女を撃てなかっただけなのだ。
容赦なく発砲し、焔を錬成させた大佐に異存などない。・・・でも俺は撃てなかった。
仕事とプライベートを分けるくらいの分別はあると思っていた。
あの女に惹かれていたのは事実だが、そんな深い感情も関係もまだなかったはずだ。関係と言うなら、大佐との方がずっと深い。これじゃまるで俺が大佐を裏切ったみたいだ。・・・いや、事実、そうなのか?
大佐は電話で医者を呼び出した。
医者が来るまでの間、俺と大佐は一言も口をきかなかった。何をしゃべっていいか分からなかったし、ともかく痛みがひどくて、しゃべるどころではない。
しばらくしてやってきた医者の診察を受ける。
案の定、奇跡的に生きているらしい。
痛むというと、点滴に鎮痛剤を追加された。ドクドクという鼓動と共にヒヤリとした液体が流れ込んでくる。その感覚の気味悪さに吐きそうになりながら、意識を失うようにして眠りについた。
翌日、車椅子に乗せられて色々な検査に回された。レントゲンを見せながら、医者は症状の説明をした。
内臓の損傷は軽いが、脊髄を損傷しており下半身の麻痺が起こっている。麻痺の回復の見込みはほとんどなく、神経信号の断絶によって機械鎧化も無理であること。出血多量による体力の低下。
しかも凶器が貫通した患部は、大佐が焼いて出血を止めたそうで、裂傷だけでなく広範囲に火傷も負っているのだそうだ。
血が止まればいいってもんじゃねぇだろと、突っ込みを入れたくなるレベルの腹の火傷。
じっと寝ているだけでもズキズキと痛む。下半身については、痛みどころかまったく感覚がなく、他人の手を借りて時々動かしたりしなければうっ血し床ずれを起こしたあげく、壊疽するらしい。
命があっただけでも大佐に感謝しろと、医者に言われた。
その通りだと思う。
戦場で簡単に失われる命を見てきたから、生きていることがどれだけ偶然の賜物で、尊いことか分かっているつもりだ。
軍人と言う人の命を奪う職業についているのだからなおのこと。
ふとお袋の顔が浮かんだ。
親父は徴兵で借り出されて戦場で死んだ。それなのにこの馬鹿息子は志願兵として従軍。さらに士官学校に通って職業軍人になった。
戦争なんか嫌いだと、兵隊なんか辞めろと言いつづけているお袋。今の俺を見たらなんと言うだろう。
このバカ! と子供みたいに叱るだろうか?
下半身が動かないということは、まだ実感が湧かなかった。
確かに自分の手で触ってみても、触られた方の感覚はまったくない。足を動かそうと思って力を込めても、ピクリとも反応しない。なんだか感覚が遮断されてボーッとしているのだ。
目の前に足はあるというのに、まったく自分の思い通りにならない。
下半身が動かないということは、歩いたり、走ったり出来ないわけで・・・・・・。
つまり・・・何も出来ないというのと同じ、じゃないか?
はっきり言って肉体労働派の俺としては、一体どうしたらいいというのだ。
命は助かったけれど、戦えない兵士は兵士ではない。
最後に医者はこう言った。
「大佐には、まだ状態を報告していない。お前さんが自分で言いたくなければ、私から伝えるが」
思わず大きくため息をつく。
どこかで、誰かが報告しなければいけない。気が重いが仕方ないことだ。あの人は何と言うだろうか。
「いいっス。自分で・・・伝えます」
それが一つのケジメだ。俺の最後の仕事。そう思った。
「タバコ、吸いたいんっスけど、いいですかね?」
「腹から煙が漏れなくなってからにしろ」
医者は呆れた顔で俺を見て、点滴の早さを確認して出て行った。
・・・兵士でない自分が存在し続ける理由は、一体どこにあるのだろう。
今の俺には、何の価値もない。
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