私はよしながふみが好きだ。いま、新刊が出たら必ず買う作家です。でも連載は追っかけてないという状況。
先日、たまたま全然別のことを調べていたら、アンチよしながふみサイトに辿り着いた。
私も自分が嫌いな作家を批判したりするので、そのサイトで書かれていたことについてムカつくとか、否定的な感情は抱かなかった。むしろ「あぁ、こう取る人もいるのね!」という思い。好き・嫌い、あう・あわないというのは、絶対にあるから。
私はよしながのコマ割りの「間」が好きだ。小説でいうところの「行間」というよりももっと明確な演出方法である漫画における「間」。
私はこの間が、まるで映画を見ているようだとおもう。カメラが引く、カットバックが入るとか、ストップモーションが入るとか。それを「誤魔化し」と評されていたので・・・はぁ・・・?と思ったんですわ。
私は漫画を描かないので、それほどこだわりがない。それほど背景の有無やバストアップの連続でも気にならない。
あの間が誤魔化しなのか、計算しつくして描いているのか分からない。どうやったって、読み手には見えない部分だから、そんなことについて、どうこう言うのもなんだ。
それよりもストーリー部分について、小説道場の中島梓道場主の言葉を借りるなら「オープンマインドが足らん」と言ってる。
微妙におしゃれ系な雰囲気をかもし出し、月9ドラマにもなっちゃうくらいだ。それこそは本当に自分が描きたい世界なのか?という突き詰めが薄いといえるのか?
私はよしながふみに関して言えば、そう感じたことは一度もない。(他の作家には感じたことはある)
西洋骨董について言えば、同人誌で続いている裏バージョンともいえるパートも読んでいるからかもしれない。本当によしながが描きたかったのは、同人版の世界なのか?と。最近は同人作家と商業作家の区別があいまいで、自分で同人出すというのは有りということになっているようだが、商業の中だって熱意を持って自分が描きたいことを表現すべきだと思う。
で、最近のBLと呼ばれるジャンルの書棚・・・あそこに並んでいる本を、私はほとんど読まない。帯とか読んでも心惹かれない。むしろ「はぁ?」という感じ。
なんか性欲全開(笑)な雰囲気で、少女だか少年だか分からない子が表紙に居て、フォログラムコートとか張ってあったり、蛍ピ差し替えだったりしても・・・。基本的にシュチュエーション・エッチばっかりだから。
キャラクターの性格よりも、属性、つまり「年上・鬼畜・眼鏡・優秀・ひねくれもの」「童顔・黒のさらさらの髪・おとなしいけど実は意志が強い」で学園にするのか、会社にするのか、病院にするとか、はたまたお城にするとか、組み換えできるパターンで構成されている気がするの。
サブウェイでサンドイッチ作ってるみたい。「ピクルス増量」とか「オニオン抜いて」とか。
よしながの中にもそういう部分はあると思う。(あえて言うなら、へっぽこな拙作にもあるのは認める)でも、あえてそのパーツを選んで、描きたいと思う気持ちっていうのは絶対にあるはず。
前置きが長くなったが大奥である。私、フジテレビでやっていた大奥、大好きだったのだ。あの仰々しさ、華々しさ。微妙な蝶のCGは勘弁して欲しかったが。
よしながは、それを性別逆転させた。それだけじゃつまらない。
人口の25%しか男の居ない社会。家督は女が男名を持って継ぐ。金持ち以外は夫を娶ることが出来ず、子種を買う。男たちは良い家に婿に入るか、複数の女たちを相手に金を得る。
そして将軍は・・・女で。大奥は男ばかりが将軍のお手に着くのを待っている。
大奥でのお約束「イジメ」も「同性愛」もある。まだ描かれていないが「外部の異性との恋」も描かれるだろう。
大奥という閉鎖空間には選りすぐりの男ばかりが居て・・・この設定だけでもご飯お替り!と言いたい(笑)時代設定として、おはぐろなしは正解。(笑)
閉鎖空間っていうのは、描き易い。その中で何が起ころうと「特別に閉鎖された空間」だから。だから下手するとリアリティがなくなる。
でもこれだけ、しょっぱなから背景情報を描いて、「この世界で政治が動きます」(明治維新まで描くのか、大奥をもっと早く崩壊して終わりにするのかは分からないが)と言っているのだ。
(しょっぱなから、この設定を全部説明してしまうというのは、演出上どうかとも思うが・・・。徐々に明らかにしていくという手もあるから。あんまりやりすぎると、デスノートみたいに、実はこんなルールがありましたとなってしまいそうだが。)
総じてよしながのキャラクタは「迷い」をどう処理して生きるかということと関連深い。迷いを捨てるのか、迷い中なのか、後悔しているのか、迷いがあることにまだ気付いていないのか・・・。「どう生きればよいか」など、誰にも分からないし、「こう生きよ」というのは宗教家だのお偉い先生だけで十分だ。
一人一人の運命を追いかけるのも楽しい。みんな生きるのに一生懸命で、一生懸命生きようとしている人が美しい。どうやって生きたらいいか模索しているのだ。
しかし、この話はキャラクタの生涯だの、エッチシーンや、フェティシズムを語るだけの話ではない。ヤオイ好き・嫌いに関わらず、SFとして楽しめる話になると思う。続編超期待!!!まだ12月まで間があるが、私の中の今年のベスト1認定。
こんな話、よっぽど描こう!というパッションがなかったら、始められないよ。
ところで、奥さん、この装丁見ました?カバー背の金、カバー表紙の黒と赤のコントラスト。水野の赤のアイライン。(これは歌舞伎の隈取でいうところの「正義」「勇気」の表現からきているのかな?古来メークには魔よけの意味も有るし)カバーの見返しは孔雀の羽。表紙2と遊び紙は金!そしてトレペに全ベタで、タイトル白抜き。かすかに扉の水野が垣間見えるぜ・・・エロい・・・
そして中表紙、水野はちょっと赤が増して、白い背景に。この襖絵、なんで鶴の横に孔雀の羽があるんだろう・・・全景が謎(笑)
カバー裏表紙の白に黒の紋というのも潔し。
もちろん、カバーもはずしてみました。ぐはっ、セクシー・・・。
というわけで、実は本文を見る前に、装丁だけでぐっと来てしまいましたのさ。(だって陰陽師12が理解を超えた世界に飛んで行ってしまったから。でも13買わねばね)
先日、たまたま全然別のことを調べていたら、アンチよしながふみサイトに辿り着いた。
私も自分が嫌いな作家を批判したりするので、そのサイトで書かれていたことについてムカつくとか、否定的な感情は抱かなかった。むしろ「あぁ、こう取る人もいるのね!」という思い。好き・嫌い、あう・あわないというのは、絶対にあるから。
私はよしながのコマ割りの「間」が好きだ。小説でいうところの「行間」というよりももっと明確な演出方法である漫画における「間」。
私はこの間が、まるで映画を見ているようだとおもう。カメラが引く、カットバックが入るとか、ストップモーションが入るとか。それを「誤魔化し」と評されていたので・・・はぁ・・・?と思ったんですわ。
私は漫画を描かないので、それほどこだわりがない。それほど背景の有無やバストアップの連続でも気にならない。
あの間が誤魔化しなのか、計算しつくして描いているのか分からない。どうやったって、読み手には見えない部分だから、そんなことについて、どうこう言うのもなんだ。
それよりもストーリー部分について、小説道場の中島梓道場主の言葉を借りるなら「オープンマインドが足らん」と言ってる。
微妙におしゃれ系な雰囲気をかもし出し、月9ドラマにもなっちゃうくらいだ。それこそは本当に自分が描きたい世界なのか?という突き詰めが薄いといえるのか?
私はよしながふみに関して言えば、そう感じたことは一度もない。(他の作家には感じたことはある)
西洋骨董について言えば、同人誌で続いている裏バージョンともいえるパートも読んでいるからかもしれない。本当によしながが描きたかったのは、同人版の世界なのか?と。最近は同人作家と商業作家の区別があいまいで、自分で同人出すというのは有りということになっているようだが、商業の中だって熱意を持って自分が描きたいことを表現すべきだと思う。
で、最近のBLと呼ばれるジャンルの書棚・・・あそこに並んでいる本を、私はほとんど読まない。帯とか読んでも心惹かれない。むしろ「はぁ?」という感じ。
なんか性欲全開(笑)な雰囲気で、少女だか少年だか分からない子が表紙に居て、フォログラムコートとか張ってあったり、蛍ピ差し替えだったりしても・・・。基本的にシュチュエーション・エッチばっかりだから。
キャラクターの性格よりも、属性、つまり「年上・鬼畜・眼鏡・優秀・ひねくれもの」「童顔・黒のさらさらの髪・おとなしいけど実は意志が強い」で学園にするのか、会社にするのか、病院にするとか、はたまたお城にするとか、組み換えできるパターンで構成されている気がするの。
サブウェイでサンドイッチ作ってるみたい。「ピクルス増量」とか「オニオン抜いて」とか。
よしながの中にもそういう部分はあると思う。(あえて言うなら、へっぽこな拙作にもあるのは認める)でも、あえてそのパーツを選んで、描きたいと思う気持ちっていうのは絶対にあるはず。
前置きが長くなったが大奥である。私、フジテレビでやっていた大奥、大好きだったのだ。あの仰々しさ、華々しさ。微妙な蝶のCGは勘弁して欲しかったが。
よしながは、それを性別逆転させた。それだけじゃつまらない。
人口の25%しか男の居ない社会。家督は女が男名を持って継ぐ。金持ち以外は夫を娶ることが出来ず、子種を買う。男たちは良い家に婿に入るか、複数の女たちを相手に金を得る。
そして将軍は・・・女で。大奥は男ばかりが将軍のお手に着くのを待っている。
大奥でのお約束「イジメ」も「同性愛」もある。まだ描かれていないが「外部の異性との恋」も描かれるだろう。
大奥という閉鎖空間には選りすぐりの男ばかりが居て・・・この設定だけでもご飯お替り!と言いたい(笑)時代設定として、おはぐろなしは正解。(笑)
閉鎖空間っていうのは、描き易い。その中で何が起ころうと「特別に閉鎖された空間」だから。だから下手するとリアリティがなくなる。
でもこれだけ、しょっぱなから背景情報を描いて、「この世界で政治が動きます」(明治維新まで描くのか、大奥をもっと早く崩壊して終わりにするのかは分からないが)と言っているのだ。
(しょっぱなから、この設定を全部説明してしまうというのは、演出上どうかとも思うが・・・。徐々に明らかにしていくという手もあるから。あんまりやりすぎると、デスノートみたいに、実はこんなルールがありましたとなってしまいそうだが。)
総じてよしながのキャラクタは「迷い」をどう処理して生きるかということと関連深い。迷いを捨てるのか、迷い中なのか、後悔しているのか、迷いがあることにまだ気付いていないのか・・・。「どう生きればよいか」など、誰にも分からないし、「こう生きよ」というのは宗教家だのお偉い先生だけで十分だ。
一人一人の運命を追いかけるのも楽しい。みんな生きるのに一生懸命で、一生懸命生きようとしている人が美しい。どうやって生きたらいいか模索しているのだ。
しかし、この話はキャラクタの生涯だの、エッチシーンや、フェティシズムを語るだけの話ではない。ヤオイ好き・嫌いに関わらず、SFとして楽しめる話になると思う。続編超期待!!!まだ12月まで間があるが、私の中の今年のベスト1認定。
こんな話、よっぽど描こう!というパッションがなかったら、始められないよ。
ところで、奥さん、この装丁見ました?カバー背の金、カバー表紙の黒と赤のコントラスト。水野の赤のアイライン。(これは歌舞伎の隈取でいうところの「正義」「勇気」の表現からきているのかな?古来メークには魔よけの意味も有るし)カバーの見返しは孔雀の羽。表紙2と遊び紙は金!そしてトレペに全ベタで、タイトル白抜き。かすかに扉の水野が垣間見えるぜ・・・エロい・・・
そして中表紙、水野はちょっと赤が増して、白い背景に。この襖絵、なんで鶴の横に孔雀の羽があるんだろう・・・全景が謎(笑)
カバー裏表紙の白に黒の紋というのも潔し。
もちろん、カバーもはずしてみました。ぐはっ、セクシー・・・。
というわけで、実は本文を見る前に、装丁だけでぐっと来てしまいましたのさ。(だって陰陽師12が理解を超えた世界に飛んで行ってしまったから。でも13買わねばね)
実は凜ちゃんの友達です。某別宅のBBSでは以前よっしーとゆうHNでお世話になってましたm(_ _)m
こちらを偶然拝見したのですが、よしながふみさんのレビューとゆう事で、ついつい書き込みしたくなってしまいました。
私もよしながさんの大ファンです。同人版アンティークも揃えてます(笑)
こちらではmasoho-zeroさんで良いのでしょうか?
あなたのよしながさん評がとてもわかりやすくて、思わずうんうん♪と頷きながら読ませて頂きました。
大奥、素晴らしいお話ですよね。どうやったらこんな発想が出来るのか…しかも強引でない世界観に構\築されていて、設定もうまい事作られている。
コミックス読んだ後、もう溜め息しか出ませんでした。
吉宗がカッコ良過ぎ…(惚)
コミックスを買った時は、やはりカバーやその裏も見ますよね♪
黒字に赤の帯、化粧した水野の艶やかさが引き立つ表\紙ですね。
その裏の水野が…鼻血ものです(爆)
もう非のつけようの無い本ですw
よしながさんの批判とかあるんですね、まあ感受性は人それぞれですから…批判がたつのも、注目されてる証拠ですもの♪
それでは…長々と書いてしまってすみません。
masoho-zeroさんのレビューや日記、これからも楽しみにしています(^-^)/~
コメントありがとうござました。
なんだか読み返したら、思いつくままに書いたレビューで、話が飛躍しまくっている気がしますが・・・。
ご共感いただけたようで嬉しいです!
楽しみなんかにしていただいてしまうのは、申し訳ないような(苦笑)
吉宗、かっこええですよね。私、よしながの描く女性もツボでして。しかもキッツイ系の女性が特に(笑)
よしながさんの描く女性、とてもカッコいいですよね♪
そういえばいろんな意味でキッツイ系の女性キャラ多いかも(笑)
『愛すべき娘たち』(タイトル合ってます?笑)は、特に良いですね(^-^)
よしながさんってストーリーテラーとしても最高だと思います。
私泣きながら読みましたよ(苦笑)やられたぜ!って感服でしたw
なんか馴々しくてすみません(汗)また嬉しくて書き込みしてしまいました。
それではまた(^-^)/~
でも泣けますよね!
あと、どうぞ馴れ馴れしくしてやってください。よろしくお願いしまーす。
私なんぞは軽~く読み流しているので、そこまで奥深く読んでおりませんでした。
私はマンガを以前描いていた者ですので、マンガを描くという行為は大変なんですよ…というのがありまして、つい書き手側に立って読んでしまう部分があります。一人で脚本、カメラ、役者、そして監督をこなさなきゃいかん訳で、更にちゃんとした絵が描けなきゃいけないというハンデがございます。
なのでマンガは楽しんで読むのが、通例となっていたのでこういう評価的見方というのもあるんだなぁ…と感心致しました。
これがブログの書き方っていうお手本みたいな感じで素晴らしいコメントです(^-^)
勢いばっかりで独りよがりな感想を誉めていただいて光栄です。
アキラさんはマンガ描きさんの視点なんですね。私はどちらかというと文章書きの視点で読んでいるのかも・・・。
子供の頃は感想文=あらすじになっていました。
今は、どこが・なぜ魅力的だったかを書くように心がけてます。
ミクシィの「大奥」レビューを眺めていたら、ある方がこの記事が紹介されていましたので。
よしながふみ批判って、あったんですね。知りませんでした。モーニングで始まった連載とか、これからどういう評価を受けていくのでしょうか。男性にも受け容れられるものなのか、楽しみです。
>ある方がこの記事が紹介されていましたので
うお?むしろこれが気になります。
私もmixiにいるのですが…(しかも真朱薫で)
ぜひその記事を読んでみたいです。
モーニングの連載は、まだコテ調べみたいな感じでした。(笑)
この記事の紹介は、大奥(2)のレビュー一覧に12月~1月頃に書き込まれた、かなり長めのレビュー記事の中に、「大奥(1)のレビューで秀逸だったもの」として挙げられていました。詳細さ・ボリューム共にかなり目立つレビュー記事でしたので、探せばすぐにお分かりになると思います(^^)
大奥2のレビューも書こうかなぁ。
あれのレビューを書くには歴史を確認してからの方が良い気がして、なかなか手がつけられない。