言霊・言の端

言葉のマジックをどこまで行使できるか?そんな想いで言葉を綴っています。

物語詩 ~ オアシス ~

2015-05-29 12:11:32 | 短編


物語詩   ~ オアシス ~






風が吹き抜ける


四方八方

東西 南北より


風が吹く


何処から何処へ

どんなふうに吹くのか

風にもわからぬままに





砂漠の熱き黄砂さらい

はるか南方より

風は至りて覆い尽す

灼熱の太陽の光さえ






ラクダ連れた商隊は

行く手阻まれ

脚をその場に踏み留めんとす


はぐれぬようにと仲間と声掛け合い

おののくラクダ引く綱強く握り

重心を下げ風圧を低くす




その甲斐虚しく

彼らは既に半身を砂と化した



すべてを砂と化す風は

今まさに砂と化さむとする人々が

愛する人の声を伝う

ラクダの背に積まれた荷を

心待ちする人々の声運ぶ


その声はまるで風に弄ばれ

狂ったように紙屑が如く

流さる鳥のように






だがそんな時でさえオアシスは

歌うように水涌きいだす


気まぐれな宙(そら)吹きいだす風に

オアシスはその美しき顔に波紋寄せ

波紋は波紋を生み広ぐけれど・・・



乾いた砂漠の美しきオアシス

何にも歪むことなき

冷たく徹る横顔をさらけだし

オアシスの底は静かにその様を映しいだす



人々の身も心も癒す


オアシスは

オアシスは

オアシスは


ただその様を映し出すのみ……

 

 




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捉へしわれも裡に囚はれ

2015-05-28 01:18:37 | 言の葉






ある事物、現象、事象に対して、人それぞれの捉え方がある。


風 というものに対しても、


風は自由気ままである っと捉える人もいれば、


わたしのように、

風はそれ自体吹き方も、吹く方向も決めているわけではないし、

あるいはどのように、何処へ吹いているのかさえ、

わかっていないのかもしれないし、

たとえそれを意識していたとしても、それに対してどうすることもできないのだろう、

っと捉える人もいる。







事物(風)そのものは現象に過ぎない。

それを、その人がどのように捉えているかという

その捉えた内容は

単に、その人が捉えた、相対化した形状・様相・概念だけでなく、

捉えた、相対化したその人自身をもその裡に描き伝えているのだろう、

っとわたしは思う。




事象の捉え方にわたしは、その人の世界(世界観)を垣間見る想いがするのだ・・・







風捉はむと言の葉にのせ捉へしが

捉へしわれも裡に囚はれ











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指先覚ゆ触るゝぬくもり

2015-05-26 21:44:09 | 言の葉








身も魂(たま)も

透け合ふたとて

君求む

指先覚(おぼ)ゆ

触るゝぬくもり






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こゝろ求める対象とひとつになりたい

という気持ちは、

みな抱いている想いではないかとは思うのですが、





わたしは


対象が人であろうが、宇宙であろうが、月であろうが

透けてしまえば本望


っと、ずっと想っていたので、


皆同じなのだろうとすっかり勘違いしていたことがありました。






対象に透けて溶け合いひとつとなっても


ひとつになってなお、その対象の


ぬくもり というか 温度 というか


そういう物理的な感触?(の記憶???)が非常~~~~~~~~に


重要で、そこの部分はゼロであってはならなかったのですね。



シャロン という曲を最近耳にして、そのことをわたしは気付かされました。

(っと申しますか、、、半年以上前、ブログなどを拝見していても、

なんとなく う~~~んこの感覚の相違はなんだろうか?っとは感じていましたが、

その正体がいまひとつふたつ、みっつ、鈍感なわたしにはわからなかったんです。


この曲のサビの部分、


はてな?もしもわたしだったらそこは、


透けてしまいたい それだけ それだけ それだけが欲しい


と歌詞を綴るところだけれども



透明な温度・・・ ”温度” なのか!!




ああ、そういうことだったのか。。。



っとようやく、

わたしが感覚的によくわかってなかった、


こだわりの(男女?の)相違点  というものをはっきりと理解した次第にございます。


女性でもこの辺にこだわる方も多いとおもうので

一概に男女の相違とは言えないだろうし、、、


もしかしたら、温度 にこだわってないのは 変人のわたし だけ?!

なのかもしれませんが・・・。




一粒の雨

2015-05-26 08:05:07 | 言の葉




一粒の雨







握りしむ

てのひらの裡の

ひと雫

煌き落ちて

われは気付けり







握りしめたわたしの手のひらの裡にあった

一粒の雨

ほんの一瞬キラリと光って

落ちていった



ひと雫がポロリと落ちて

その時になってようやく

わたしはその存在に気づくのでした




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無意識にも

手の裡に握って掴んでいた

そのたった一粒の雨を

虚しい

儚いと想う方もいるでしょう



わたしがこの歌の”われ”だったら

きっとそれを

唯 愛おしく思うだろう


握っていたひと雫が

こぼれ落ちて消えていってしまったとき

なお一層

愛おしく想うだろう



わたしの瞳からは

その一粒を追うように

あとからあとから

たくさんの雫が滴れるだろう



そしてそのあと

絞り出すような嗚咽がきこえるかもしれない





こぼれ落ちてしまうまで

たとえ無意識でも

わたしが手のひらに握りしめて


一緒にその場をやり過ごし凌ぎ


わたしのこゝろを潤してくれた


珠玉のような一粒の雨を想って・・・














短編~風が風であるなら~

2015-05-24 00:11:12 | 短編




短編 ~風が風であるなら~







五月も二十日を過ぎ、

あなたの街の風も、

街路樹の青葉と同じ薫りを漂わせている頃でしょうか?



わたしの佇む異国の窓辺には、

南の町には澱んだ靄が気怠く寄りかかり、

北の山には緑萌え、

真っ青な空には大きく厚い真っ白な雲が、

灼熱の国の物語の、ランプの精のように突然姿をあらわして、

今年の猛暑の兆(きざし)をみせているようです。



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突然・・・


連絡を絶ったことをお許しください。


あなたの心に投石する行為だったら、お許しください。






わたしがこう望んだとか、

これで良かったのだとか、

わたしはわたし自身のことであるのに、

言い切ることができないでおります。



もしかしたら、


優柔不断で煮え切らぬわたし自身の心に、

身体が苛立ち、衝動的にお傍を立ち去ったのかもしれません。



わたしの身体は、

わたしが気づいているよりずっとずっと、

あなたのお近くにいるだけで甘ったれ、

ほっとかれたら弱くて脆い、


そんな 心 に我慢がならなくなっていたのかもしれません。



そしてまた、

あなたから少し離れさえすれば、

わたしの心はふたたび引き締まり、

地面をしっかり踏みしめるだろう、

そんなわたしの心の強さの一面を、


わたしの身体は知っていたのかもしれません。




・・・

・・・

・・・




こんなふうにもっともらしく、

あなたに書いてみてはいるけれど、

わたしがあなたに語る説明やら言い訳は、

まったく何の意味にも、理由にもなっていないし、

本当は意味も、理由もないのでしょう。








わたしはふと、こんな風に感じたのです。





無数のあなたという風が

無数のわたしという風が



この相対の世界のなかで



異なる風向きに

異なる温度

異なる強さで



時に 優しく混じり合い

時に 激しくぶつかり合い






いつでも

どこでも

吹き透っています





ある日突然


わたしがあなたと出逢い



また


ある日突然


わたし(あなた)が

あなた(わたし)の前から去っていくのは



あなたとわたしの正体が風であり



風が風であるならば



不自然ではなく



むしろ



自然の成り行きだったのではないか?



っと。









もしかしたら


いつかまた




おなじような時期の同じような気候に


少し温度と風向きを変えて



あなたという風と


わたしという風は



出逢うのかもしれません・・・




そしてまた





出逢うことは




二度とないのかもしれません・・・









こゝろの海

2015-05-23 02:06:51 | 言の葉





寄せ返し

途絶ふことなき

波音をこゝろの海は

響かせやまぬ









寄せては返し

途絶えることのない

波音を

こゝろの海は

響かせ続け

止むことはない









うち寄せてまた引き返す波のような

こころという海の連動・・・





抑え難く

堪え難く



喜怒哀楽が渦巻き


時に


美しく


時に


醜悪に



波音のようなこゝろの連なる動きは


止むことはない











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言の葉の舟

2015-05-21 00:33:07 | 言の葉








言葉舟

うたかたならむと

人知りて

なほ待ち焦がる

われを乗せむと









言葉も

言葉に乗せた想いも

一過性のものなのに

そんなことは充分承知していて

それでも人というものは

言の葉という葉っぱで作られた美しい小舟を待ち望む



そして小舟がやってきたら

いつ沈んでもおかしくない

うたかた(泡沫)のような言の葉の小舟に

寄り添いたいと欲するのだ・・・



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昨日は久々にお出かけ

2015-05-20 12:29:40 | イラン

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昨日は、義長姉とその三女と、新しいショッピングモールへ… 海外ブランドの店舗が連なり高級感溢れてました。テヘランの山手にあります。

ここでは何も買いませんでした~。
無料駐車場と、WCを二回ほど拝借したのみ(笑)



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暑くなってきました~。日差しは焼けるよう…
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イランは野菜、果物が豊富です。
緑の山は若いアーモンドの実です。
塩をまぶしてカリカリと、音をたてながらいただきます。青い春の味と香りがします…


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八百屋の様子…全てキロ売りです。買い物は結構男性がして家計の財布の紐握っているのも男性だったりします…ちょっと買い物すると7-8キロ腕に下げることになります。


髪をまとめるクリップと、袖なしハイネックのインナーを2着購入…


ほとんど買い物せずブラブラ眺め歩いたのでした。






われわれが平等である一点

2015-05-19 20:59:38 | 私見




ある御方の詩を拝見して想ったこと…


もしわたしが失恋したとして、(否嫁姑の確執でも、夫婦の痴話喧嘩でも!!)

そういう記憶、思い出、思い出の品などを焼却したり、封印して埋めることがあるならば、


それは 思い出やら過去を、

夢を見ていた のと同じにする為

かな…?


っと思った。

(拝見した詩のヒロインさんとは全然違った!!)



っとこんなこと書いているわたしは、
変人だろうけれど、
大真面目な気持ちでこれを記している。



過去をなかったことにするのは実に難しい。

過去を引きずり縛られるのは重く苦しい。

かといって悪夢のような過去を、

これは良い人生経験だったのだ

などと、前向きに受け取ろうとする方も多いと思うが…

ひねくれもの、我が儘者のわたしには、

到底できない…。



過去の記憶は、

そうそう消そうったって消えないし

形だけ焼却、消去したところで、

ハードディスクには残っている訳で、

良い経験をしたんだとか、
人の痛みがわかるようになったのだとかで、
無理矢理痛みを片付けられてしまった記憶は、

かえって歪(いびつ)で不自然のように、

わたしには感じられるのだ…




それだったら

こりゃ夢のようなものだった

っと思った方がいいかな?っと思うのだ。



悪夢のような過去は

ありゃ、悪夢だったのよ !

でいい。


夢のような過去は

そうそう、うーんと良い夢見させて貰ったのよね~ 


でいいと。


もともと過去は、自意識とか、主観でしか認識されないもので、

そう夢と変わんないものじゃないかしら?


同じ過去でも過去を共有したはずの人とは、

時を隔てれば記憶の方も、

案外大きな隔たりがあるものだから。



歴史認識の各国の相違はその極端な例でしょう。



過去はいくらでも良いようにも、悪いようにも夢の記憶のように書き換えられちゃうものね。

だったらその実に曖昧で、胡散臭くもある、

記憶を 過去の  ”事実”  と 認識せんがために、

前向きに良い人生  ”経験”  として、

不自然に刻みつけるより、


夢 と五十歩百歩しか違わないもの、

って思った方が、わたしにとっては自然なのだろうと思う…



(過去の痛みは、心にわざわざ刻まなくていい。

見た夢のようにすっかり忘れた方が良い場合だっていっぱいあるし、

思い出すまではありゃ、いつの日だったか見た夢よ っと思っていた方がいい…

ある場面に遭遇した時になって、ようやく思い出すような、

ただ身体のどこかで、無意識に記憶していれば充分だとわたしは思ってる…)



だって、人は皆同じ時間の流れ、同じ空間にいるようで、

実はそれぞれ異なる己の意識でしか、

時の流れ、過去を含めた万物、事象を

認識できないじゃない?





感受

感じ受け取れるものしか

受け取れないのだ

それは最初からサダメられていた

という程に

平等である





そういう意味では、

その時々、一瞬一瞬の、

時の流れの水かさ、流れの速さ、温度はともかく

人は主観によって人生や世界を認識しているに過ぎない。



真の世界

唯一の世界

なんて  ホンモノ はどこにもない。


有るのは

その人の 世界観  で

自意識を有する人間の数だけの世界があるだけで、

それがまた、それぞれ の 本物 でもあるのだろう。



その一点に於いて、

われわれは平等なのだろう

とわたしは感じている。





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ウサギ

2015-05-15 02:19:55 | 短編



ウサギ







あの娘は俺のこゝろをチラリと覗いてから

こう伝えてきたっけ・・・



”こゝろの地下鉄駅には出入り口がなくてさ

嗚呼 っと

小さいため息もらしたって



トン っと

崩れた膝が地面と鳴らす微かな音だって


どんどん大きく響いてく


あんたが出したそれらの音に

あんたのウサギが血走った眼をして身を縮こませるの”


っと・・・




**********





あの娘がどこの誰かなんて俺は知らない

これまでどうしてたなんてことも

知らん顔して過ごしてるさ


俺だって俺自身が

いつからここにこうして座って過ごしているかなんて

すっかり忘れ去ってるんだし



俺はこのギターとともに

うつろう太陽と月の満ち欠けと流れる星を背景に

このベンチで寝転んだり座ったりしてきたんだ


来る日も来る日も

来るあてもないバスを待つベンチで…



でも

そう想っているのは俺で

俺は流れ来ては去ってく窓の景色を遮断してるだけで

このベンチこそがもしかしたら

俺の日常というバスかもしれないけど…




陽が傾きかけた時刻だったか

俺の傍らにもう一人ぐらい座れるだけのスペースをあけて

気がついたらあの娘の影があったんだ



俺と同じようにあの娘の胸の真ん中にも ウサギ が住み着いていた


憂さ という毛を纏った生き物さ


あの娘の胸の真ん中の大きくポッカリ空いた穴に頭からその身をつっこんで

真っ白いフワフワの毛のしっぽと後ろ足だけこちらに晒してたよ



俺の胸の真っ黒いウサギも顔出して

あの娘のウサギのまあるいしっぽを怪訝そうに覗いてた



俺もあの娘も俺たちが胸に抱えてるウサギになんか

ちっとも気づかない素振りしてたけど




あの娘は下ろしたリュックの中から

ノートと鉛筆を取り出して描きはじめた

あの娘より高い座高を利用して

俺はそのノートの中身を横目で覗いたんだ


そのノートはウサギの森のウサギの住処だった

きっとあの娘は毎日毎日飽きもせず

ウサギの森を刻銘に描いて過ごしてきたのだろう




絵を描いてるあの娘の横顔の唇と頬が

澱んだこの俺の瞳にさえも愛らしくて


俺の存在を重苦しくあの娘が感じないように

俺はギターを引き寄せ

毎日欠かさず指慣らしがてらに弾く曲を鳴らし始めた



俺がギターを鳴らし始めたって君は振り向くこともなく

聴いているのか いないのか?

その耳には届いているのか?


君はノートの白地に線を引いて陰影を描き続けてた



まあいいさ





俺はそのうち

君の素振りや存在が気にならなくなるほどに

ギターが放つ音の波に深く沈んでいったのだった




藍色のveilを纏った海底に

金粉を撒き散らして鈴のような唄声がきこえてきた


俺にはわからない言葉響かせ


その言葉は

牛馬のように鎖繋がれ連れ回され

売られて散々働かされる人々が

仲間同士で遣う言葉だろうか


そんなことはどうでもいいさ

押し寄せる波が渦巻くような

俺のギターが奏でるメロディーにぴったりの声色なら




君が征服者に従う婢なら

俺はフラフラ土地から土地へ

竪琴片手に唄い彷徨う吟遊詩人で

その吟遊詩人はいつしか

竪琴に合わせて唄う声を失っていたのだから








スっとまっすぐ俺に向けられ

君が差し出した真っ赤な林檎は

綺麗に半分に割られてた



嗚呼 そうだね

この林檎は君が鎖につながれ

昼夜を問わず働いて得た林檎



そして君は

俺の胸のウサギにも食べさせてやるようにと

小さくて白い手の

鉛で真っ黒に染まった指で

俺にそう伝えてたんだ







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