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あさくささくさく

06年2月、浅草にひっこしてきた。

扇風機まわして厨事

2008-08-02 13:31:20 | 季節
どうしてこんなに執着するのか、たべもののことが気になって気になって、待たせている人がいても、冷蔵庫のなかでしおれかけている野菜をきっと優先してしまう。どうしてなのか、おかしいなぁ、とじぶんでも思った、客がぐうぐう眠る部屋、夜が明けるまで、わたしはずっと台所にいた。料るのは、我が食欲のためでも、大事な客のためでもなく、思いはただセロリとほうれんそうとオクラと人参ときゃべつとじゃがいもに向かって、いったいどこがゴールなのか、そわそわしながら、包丁を握り、鍋に相対していた。生きながら死のふちでまどろんでいるヤサイのシタイ処理とも看取りともつかない場面、わたしは自分の眠りとひきかえに、かつて生きていたモノが成仏する瞬間に遇えないかしら、と、あ、むしろ一気に息の根をとめてやりたくて。生きている自分や誰かの今日明日よりも、カタがつきかかったイノチの始末のつけかたを気にしている。

トンボ観察

2008-07-19 12:12:30 | 季節
炎天下を移動して、めざすビルの入口にさしかかった、とき。ガラス扉の前で一緒になったのは、10センチほどもあるトンボでした。それも、すごくりっぱな!!! 黒地にキミドリのストライプがすいすいすいすいと入って、透明感があって、つよい、デコラティフ張りつめて夏、ラララ、夏みなぎるナツ! 遅刻してるのも忘れて至近距離でま~じまじと見た。お互いゆずりあっちゃったが、わたしお先に行きますよーって開いていた扉からすべりこんでふりかえると、もういないんだもの。なーつーの、幻! 家に帰ってネットでしらべたら、おにやんま、だとわかった。鬼っぽ~い。つよくて綺麗でいかにもオニヤンマ。夏のイノチふるふる、イイネ!!!

山谷を歩いていたら、イイケツシテンナ~とお声がかかって、浮かれた気分になったら、風がひゅっと吹いてきて、ツバの大きなわたしの帽子が飛ばされそうになってあわてふためいて、ドリフ、イイケツ台無し! でもおいちゃんありがとー。

明るい正月

2008-01-10 02:16:07 | 季節
年末はヒトのケッコン披露パーティーを覗く。ゆきがかり上出席したせいかなんら感応するところなく、むやみにビールに逃げていたら、同席していた3人の乳飲み子、どの子もわたしにだっこされると泣き、3歳のおんなのこはわたしの目から逃れようと寝たフリをする。わたしは赤い魔物だったのだ。

台所に立って母と新年の仕度をしていると、例年どおりの変わらん手順が、ことしはえらく母の偉さとじぶんのふべんきょうが身にしみてひぃひぃ言い通し。蓮根のこと、エビのこと、いものこと、寒天のこと等「わかっているつもり」と「わかる」とは別のこと。ゆくとしくるとしで浅草が映るたび、浅草だいすきな母は何をしていても手をとめてテレビの前に駆けつけ、ちょこんと正座し画面注視。その上、贔屓の常盤堂がライブ中継されたもんだからテンションは天井知らずに上上上、「アンタ、ケッコンしても浅草に住みなさい!」との仰せ。さもありなん、春の花祭りに行き合わせて「アンタ、ずっと浅草に住みなさい!」と命じた母である。

明けて新年、女ともだちの家にゆく。彼女の旦那と3人で近くの八幡さまに詣で(4日に初詣も済ませない私に、夫婦驚きにおどろいてのこと)おみくじをひかせてもらって出た大吉で心が躍った自分におどろく。屠蘇肴にかのじょ手製の見事なお節をつまみながら、親がゲンキな限りわたしは自分のおせちをつまむことはないのだと自覚新た。その後もかのじょが運んでくるふぐの皮、からあげ、ちり鍋と、これまた絶品絶品絶品のわたしのふぐ元年正月たい。早寝の旦那様に手をふり仕切りなおして興じる女のおしゃべり、話題は台所のあれこれから育毛剤まで、シングルモルトとストーブでふつふつたぎらせた白湯のうまさ、ねっとりとあたたかく昭和にタイムスリップしたような2日間だった。

かのじょが、お母様にと持たせてくれた黒ダイヤと白ダイヤ(田川銘菓)をぶらさげふらふら帰り、座布団もあたたまらぬうちに夜遊びしてくるわんと言ったら母が至極残念そうな様子、なにかとおもえば、アンタとカラオケ行きたかったのに、だそうでそりゃ娘は瞠目、かつてないことだもの。翌日、愛宕さまに詣でたアシでうろんを食し、マイクを握る。昨年からコーラスをはじめた母、カラオケの持ち歌を欲しがっていたのだった。梓みちよ、ペギー葉山、由紀さおりとつづいてそのあとに母が選んだのは、加山雄三。なぜだ。てれながら早口で「しあわせだなぁ」とうたいきりんしゃぁのでさらに娘は混乱した。時代をあわせたつもりでわたしが歌った青江三奈がいたくお気に召し「アンタは青江三奈をもっとうたいなさい」だそうで、帰宅後しばらくは伊勢佐木町ブルースのア~ンア~ンをふたりで練習、たのしく。姪っ子には顔をなでられながら「あさくさちゃん、どうしてここにおにくがついてるの?にくさい(29歳とはこれ肉歳なのだと教えてある)だから?ぜいにく?」と言われ、甥っ子にはおしりにリアルにかみつかれた(おしりかじり虫の弊害)。血縁のあかるい混沌もまためでたい正月。

母の栗

2007-10-11 15:53:36 | 季節
朝9時には実家に着いて、出勤する母親を見送る。庭には淡い紫の蝶が10羽くらい舞っていて、じんじんくる極彩オレンジやフューシャピンクや、薄紫の花がそりゃぁ自由闊達にぽこぽこ咲いていて、これが極楽じゃなかったらなんだというのだ。10年かけて茂った木々と、大収穫祭まっ最中の穂紫蘇一家と、ふぐりっぽくてらてら笑う椿の実と。みんなうるうる光っていて、水まかなきゃー水まきしなきゃーとふだんから寝言のように言っている母の日々の成果である。あたしひとりで立ち尽くして蝶よ花よと愛でる晴天。朝ごはん入ってるからねーと言われていた冷蔵庫をあけたら、直径15センチほどのクリスタルのボールに牛の冷しゃぶサラダが山盛りになっていて、ゴマだれがつくってあって、ご飯が炊いてあって、なんというかおいしすぎて思わず勤労者諸君に写メールしまくる。穂紫蘇だ貝割れ菜だと薬味がすばらしくて隙のないびしりと揃ったミョウガを口にいれながら、けっきょく料理って、塩と水と包丁かもしれんとおもった。

そのあと久々の畳にひきずりこまれるようにして睡りこけるわたしを母が電話で起こし「栗、する~?」と八百屋の店先からである。なんてことない感じで誘いをかけてくるからふむふむとねぼけまなこで答えてみたらコ・レ・が・たいへんだった。でかいわまるいわぱっつんぱっつんだわの肉が張りきった栗の実を1キロ剥くのはたのしい。頭を使わない単純作業は得意とするところ。だが2キロ剥くとなれば一転して修行なり。夕飯のしたくをする母とたらたらおしゃべりしていた口が次第に重くなる。2キロ2時間半くらいかかった。それからようやく大鍋でゆでこぼす。沸騰するのに時間がかかり、ようやくたぎったところで15分ほど泳がせた栗を、今度はガーゼで一粒ひとつぶ渋をぬぐってやるのだ。それを5回繰り返して、できあがるのはただの茹でた栗。そこからさらに数度にわけて調味して冷まし、煮返して冷ましして味をふくませて。結局2日間かかったのだった。で、台所仕事を苦とおもうことなど死ぬまでないだろうと思っていたのに、調味目前のところでわたしふとんにもぐりこんでしまった。母、いやーん今回はぜんぶあんたに経験させようとおもったのにーと言いながら後半戦をひきうけた。だって、じょうずに剥いたつもりの栗が、ちょっとした傷からもろもろになってしまうので、それを5回もゆでこぼすあいだに、ゆうに1割はクラッシュ。さみしーい。わたし心で泣いていました。なーんて涙ナミダのあいまをぬって薄目をあけてクラッシュドに生クリームをかけてブランデーを勝手にふやして生クリームをまたかけて、ってモンブランじゃん。ほとんどわたしは使えないキッチンドランカーであった。うますぎるんだもの

母はずっとずっと、秋がくるたびにこれをひとりで、それも3キロとかやっていたんである。栗の渋皮煮シーズン、働く母はいつも徹夜仕事だったんである。ガラス瓶にブランデーの入ったシロップを張って、できあがったでかいまるまるまろんちゃんを漬けて、脱気して瓶詰め、ここまで、台所は栗の天下であった。かあちゃんえらいねすごいねかあちゃん。おかーさーんおかーさーんおかーさーん来年はひとりでつくります。

FUTON

2007-09-27 03:53:18 | 季節
布団の打ち直しをしたら、厚みが5倍くらいになってベッドのマットレスもかくばかりかってな豪奢な気分。いやーだもーなーんにもてーにつーかなーいってちょっとお酒流し込んで、洗いざらしのちょっとざっくりしたタオルケットにくるまったらなんだかもう、なーにもかも忘れてあいしてる。忘れてはいけないことまで忘れるのが難ですが、そっれくらいきもちいいい。あーもうすきすきだいすきわたしのおふとん。

うろうろするのは自分のことを言葉にできないからだわといま思ったのだけど、これは秋のせいかしらん。煌々と照らす月、きのうテラスでビール飲んでホロ酔いの母から電話がかかってきて、ミロミロ言うからハイハイ言ってベランダにでたら月は白くて、なんだか見てはいけないものを見ているような感じ。闇夜にわざわざ輝くものには裏がありますなーんて言わないけどウッと目をそむけたくなる。毎年見てたじゃんそんなばかなとおもって何度も見返したんだけどなー。わたしのなかのばいきんが消毒されそこねたか。そうかそうか。月餅は早々にたべちゃったしさ。

アンテナにひっかかったいいこともわるいことも、自分のなかにあるもの。落ちるのは簡単、はいあがらねば。とは言え、ふとん命。

じょうたいはかわる

2007-09-09 02:13:43 | 季節
親せきの子がインドに行って、小学校のときの友だちがドイツから帰ってきて、べつの友だちはメキシコで過ごした夏を思い出していて、飲み友達はイタリアに飛んでいった。こないだ友だちから電話がかかってきてなにしてるのーと訊かれて、アメリカ人たちが封筒をいじってるサイト見てたぁと言ったらかのじょ笑って、そうかぁ世界を見てたかぁと言った。よくわかったなァ!

わたしは家でたのしくやっている。きのうは前触れなくともだちがやってきた。玄関をあけると、秋刀魚2本とサーティーワンアイスクリームのファミリーパック(ジャモカファッジとロッキーロードと抹茶とラムレーズンといちご味)と黒いプレミアムモルツ半ダースをぶらさげていた。鶏もも肉でつくった肉じゃが、やっぱり骨つきのほうがおいしいな。あとはピーマンのグリエとーゴーヤの梅あえとーニラ玉とー。大根おろしがあればよかったねぇと話しながら、焼きたての秋刀魚をほっほ言いながらつつく。

夏休みにいりびたっていたそれぞれの親せきンちのことを、お互いにいろいろ話す。思い出すたびにわくわくがよみがえるようなことって、記憶のなかでは変わらなくても、今、現に確かめようとするとその場所がなかったり、人がいなくなっていたり、だ。コトバにすればあたりまえのことだと理性は言うけれど、振り返ってカタチをとどめていないと気づきなおすのはやはりさみしい。それが、自分だけじゃない、どこでもだれでもいつでもそうなのだと確認すると、なんかしみじみするね。しあわせの原形はとどめようがないけど、今この瞬間をいっしょに生きている人たちがいて、流れる時間のなかにそれぞれに立ってるんだっておもうと、心づよい。西新岩田屋の地下の、蜂楽饅頭の隣のサーティーワンで、わたしはいつもミントチョコだったし、彼女はオレンジシャーベットかレモンシャーベットだったそうな。

先週、おだやか~な夕方に母から電話がかかってきて、あっちの近況こっちの近況をひとしきり話して一段落したところで母がやおら「それでこの電話の用件なんだけどねぇ」と切り出してきた。なにかと思えば、縁談。3本。3本のアウトラインをとうとうと語る母。具体的なことがずらずら出てきてヒく。絶句していたら電話の向こうで母が「…ちょっと!生きてる!?」って叫ぶ。息呑み窒息しかかりつつ、ふつう“聞いてる!?”ってとこでしょーとおもった。ぐはぁ~と心底こたえて電話を切ったくせに、気がつくと、前髪ぱっつんにすると男受けわるいからな…とか考えていたりして非常にやりにくい。ワニを縄1本でつかまえるような男の人ならこちらから求婚する。仕事に集中。

東京湾大華火祭

2007-08-13 01:22:21 | 季節
もう東京は一番いいときですよねぇみんな田舎帰っちゃうから。会社の仲間がねひとりで運転して、ほら、あの有名な都知事のいる…地鶏の有名な…ちがうちがう、芸能人の知事がでたとこ!そうそう宮崎!宮崎までひとりで運転して帰ったんですよ。ふたりで運転して一緒に行こうって誘ってくれたんですけど、ホラ、見ての通り飲兵衛だから酒飲めないし断ったんですけど。仕事じゃなけりゃぁねぇ。65過ぎたんだからお父さんそろそろ仕事やめたらってコドモが言うんですよ年金もらえるでしょぉって。でもねぇ年金なんかあてにならないんだよって言うんです。トラックの運転手が、タクシーって月45万はもらえるんでしょって言うからね、いや、そりゃ現にもらってる人もいますからもらえないとは言いませんよ、でも今いくらもらってるんだって訊いたら35万くらいだっていうから、そりゃ今の仕事辞めるなって言うんです。いやぁ東京は広いですよ!40年ハンドル握ってても道覚えらんないんだから。都庁が新しくできた頃なんて夜中に行ってビルの名前覚えたりしたもんだけど今はほら六本木だ汐留だ品川だですからねぇひとつ覚えても追っつかない追っつかない。たいへんですよぉ。あ、お客さん、ここが人形の吉徳大光。人形はね、1番手が吉徳大光さん、2番は久月で3番秀月。ここで曲がります?2番目の路地ね、はいここがひとつめ~ふたつめ~はぁいありがとうございますぅ1540円です。あ、あれは屋形船のお客さんですねー去年の東京湾花火のときは動けなくてねぇ。みんな通行止めになっちゃって、1本だけある道にみんな車が集中しちゃうでしょう。仕方なく行けるところまで行って、お客さんを下ろしたんですけど全然近くない、はるか手前なの。でもこれからお盆は東京は一番空いてる時期ですからねぇ。はい。ありがとうございますぅ

家を出てすぐタクシーに飛び乗って浅草橋で展覧会を見て、都営線で新橋駅に集合するという賭けに勝った。やった。新橋にあるマンションの44階から花火を見たのです。仕掛け花火をしっかり見えたのって、初めてかもしれん。すげーきれいでした。

東京湾大華火祭。赤い灯が水面にいっぱい浮かんでいるのが見えて、なにかとおもったら屋形船でした。屋形船はクビが痛いんだそうです。フネに乗ったら、花火が始まる前にさんざん飲み食いしちゃうので、いざドンドン花火が始まったらグーグーてな羽目になるんだそうです。なおかつ、30人でこちょこちょ乗ってもどうしようもない、30万円なんだから、どうせだったら、彼女と貸しきってふたりきりで乗るんだよ、それくらいしなくっちゃぁ!だそうである。ちなみに私が今回参上したマンションの一室は億ションも億ション、3億ションだそうで、30人以上の客が集まっても余裕のひろさでした。客層もそれに見合った内訳で、右見ても左見ても中央区界隈の社長さん。お金持ちっていうのは、わっかりやすく福福しい人と、にじみ出るカネッケを上手にカムフラージュする人と、いるのね。総じて肌艶がすばらしかった。屋形船の貸切なんて他愛もないアソビなのね。ひとり、ものすごい色気のある男の人がいて、放っておくと若い女の人たちがわらわら寄っていくのです。本人もそれわかってて「おれの引力だぁ」と言っていた。還暦過ぎても色気をだせるのは男の特権だなぁ。最後に遠くから手を振ってくれて、わたし舞い上がってしまう。きゃは。花火を見に行ったのかなんなのか、帰り道は浮き足立っていました

こどもがいると

2007-06-18 14:58:14 | 季節
きのうお昼の材料を買いにスーパーに行ったら、まだ青梅を売っていた。
一緒にいたともだちが
私も梅酒を漬ける!という。
ホワイトリカー入りの大きなガラス瓶と梅と氷砂糖を買って帰る。

ふたりでテーブルについて、
梅のそうじをしたり氷砂糖をぼとぼと入れたり
仕込んだ日付をラベルに書きこんだりする。
作業棚の2段目に鎮座させたらおしまい。
かんたんなのにたのしいの。

熟成させるとか言ってもさぁ
大地震が起きたりしたら一瞬でバリーンだねぇ
初めての梅酒を仕込んだともだちが言う。

ひとりで梅酒とプラム酒とを漬けてホクホクした3週間前のわたしも
まったく同じことを考えていたんだ!

未来の一点に、予定をひとつたてると
そこに至るまでの道のりが立体的で
手触りのある未来になってくる。

たかだかガラス瓶のなかの梅酒でさえ
たのしみがまいにちおおきくなるんだから
もしニンゲンやネコのこどもが家のなかにいようものなら
未来はどれだけヴィヴィッドなイメージなんだろう。
大地震や事件なんか想像もしてやらないぞ。

ニンゲンのこどももネコのこどももいないわたしは、
何かをでっかく信じてガラス瓶をにらんでいるのだ。
それは、この時期に梅仕事をするすべての女と男たちの、いのりなのだ。

きょうは熟した梅をワインに漬けた。
生きものの甘い、いいにおいが、いっぱいした。
ことしもぶじ1年過ごせますように。
去年は1年足らずで飲み干しちゃったけど今年こそは2年熟成させたものを飲めますように。

金色と緑のうまい連休

2007-05-04 00:07:40 | 季節
乾いた鉢植えに水をやって、とりひきとりひきと唱えながら
山椒から、でかい芽を12枚もらう。食す。
年中変わらないような瓶詰ほぐし鮭も、これで春味初夏味。

鉢植えだって、あんまりひょこひょこ場所を変えるにはよくないらしい。
その場で、てきとうに鉢の向きを変えて
日当たりバランスをととのえてやる程度でいい、と教わった。

教えてくれた中国人の奥さんは、文法のカドもとれて、日本語がうまい。
富士山が、裾野から頂上まで、右端から左端まで拝めるお宅で
手作りできたて水餃子を食す。はふはふ。こちらもげきうま。

ここのうちは旦那さんが絵描きさんなので、絵がある上に
奥さんぐりーんさんぶなので家のなかはジャングルのようだ。
それでいて凄然でなく清潔である。絵具や墨やハンコがずらずらしかし整然と。

うまいときれいが両立すれば、もう人生勝ち組じゃないか。
あとはせめて9条など守れと。

ハナタレハナセレぶ

2007-02-13 02:10:40 | 季節
数週間前に、発表前の詩を読ませてもらう機会があって
なにかしらバタバタしていたのと
PCのモニター越しで縦書の文字を読むのは慣れないのとで
印刷。すなわち
216枚の白い紙が、二百十六頁にわたる詩集に変身した。
キーをぽちっと押すと白いプリンターがいそがしそうに仕事をはじめて
それを脇でじーっと見ていた。
らくがきちょうか、はたまた、古紙回収にでもまわすか、と考えたほど
ほったらかしていた印刷用紙が、イミのある紙になって吐き出されるのを
ほぉっと感心しながら見ていた。

その216枚をカバンにしまって、べつの打ち合わせに出かけたら
でっかい胸にもタイラな胸にもよーくひっつくシリコンブラ

ハコもなくハダカで渡された。
カバンの中で、だいじな紙に、クラゲみたいなシリコンブラが絡むのです。
あの日のわたしのズダブクロはなかなか素敵な景色で、惜しくてだれにも見せなんだ。

クラゲブラがうっかりポロンととびださないように注意しながら
薄暗い喫茶店で紙をズダブクロからひきずりだし
隣のテーブルにいた団塊世代の有閑メダムがうち興じるおしゃべりにもみくちゃにされながら
詩を読み
鉛筆で○やら文字やらをチラチラ書いたり書かなかったりし
4つのファイルにわけた216枚の紙はますます、いわくつきの紙になった。
以上、紙の進化でした。

で、私は本日、ハナセレブセレクトしました。セレクトされたのではなくセレクトしました。
ただしくはネピア鼻セレブティシュです。固有名詞です。高級鼻紙です。

生協の再生紙100%ティシューしか使わないのが信条ですが
ついに10日間を突破したゴホゴホハナタレシーズンで、それも尽きました。
それでも3日間ほどはといれっとぺーぱーでしのいでいたのですが
気力と愛想も尽きました。
その3日間だって呪文のように鼻セレブ鼻セレブぐづぐづげほげほ言ってました。
あこがれていたんです。

厳選した100%パルプ、きっとそれもバージンパルプです、わたしは寝返って
しかも
クリネックスのカシミヤが220組440枚入りになって
なんと1箱198円ですぞ特売なんですぞと騒ぐのをヨコ目で制して
50円以上高い、でも
鼻セレブって書いてある、ソルビットと天然グリセリンでダブル保湿のうるおいの、
スーパーミニウサギの黒い眼球とミツクチがド迫力の
ネピア鼻セレブティシュ、かいました。寝返ったどころか党員です。捨てるための紙に、アイデンティティーを要求したんです。ウサギてかわいーね。このしもぶくれ野郎。

まーじゅうぶん赤くかつてないほど強化されたわたしのハナの下は
どれくらい鼻セレブレティー化できるでしょうかね、
以上、紙の進化でした。

シリ支え

2007-01-29 23:48:56 | 季節
高3の夏から半年だけ過ごしたマンション
7階だったか9階だったか
毎朝毎晩、階段をかけおりてかけのぼっていた17歳と
18歳のわたし
おとといの長歩きが、筋肉痛になってふくらはぎに残っているので
10年前の健脚を思い出して5階からぽつぽつ降りてぽつぽつのぼるここ2日

この半年で、白い脂肪に、テリトリー・アシをやすやすと明渡してしまったキンニクは
余裕をなくして情もなくして
しらないよしりなんて って
支えをうしなってあわてふためいているお尻をのこしてどこに逃げていったんだろう

あおあおとした菜の花、辛子和えにしてやろうとP-プラスの透明な封をいそいそと切ったら
半日で小さなつぼみが黄色の花をふくらませている

21歳だったとき、わたしと2週間を過ごしたスピッツのジュンちゃんが
去年の暮れに亡くなっていたのだと、知った
さっき食べた芋けんぴを後悔する
もっと早く知っていたら、ちょっと残したあすのために

だれにともなく

2007-01-11 03:35:56 | 季節
あけましておめでとうございます

甥姪ちびギャングふたりと過ごした年始。
3泊4日のあいだにイサキのお刺身争奪ジャンケンに勝って5歳児のうらめしそうな目を完全にスルーしてぱくついたり、好き嫌い激多の2人をだまくらかして野菜をみっちりすりこんだ激ウマカレーを3杯おかわりする姿にほくそえんだり、毎日3人でお風呂で2時間くらい遊んだり、無数のハグに酔いしれてみっちり愛し愛されたり、「おばちゃん」じゃなくて「おねえちゃん」だと教えこんだり、ウルトラマン兄弟の名前を2人がかりで教えこまれたり、ずっとおねえちゃんといっしょにいる!という5歳児のコトバにうっとりしたり、7歳児とケンカして家を飛び出したのが28歳のほうだったり、ご機嫌とりに禁断のコーラをちらつかせたり、叔母も姪もロコロコの歌が好きでふたりして無茶苦茶にうたったり、3人でおふとんに寝っ転がって叔母を取り合いする様子に慢心したり、紙芝居を読んで「どうしてそんなふうに読めるの!?」と言われて得意になったり、川に遊びに行ってなんでも遊び道具にできるふたりのセンスに卒倒したり、やっぱりこういう積み重ねを愛ってよぶのかもしれん。

ふたりを連れていった図書館で「富美子の足」に感じ入って「チョコレート革命」にフゲゲとなって「毎日かあさん」に感動した。オンナ、オンナ、オンナオンパレード。

ひとり暮らしだった女のひとが亡くなって、形見分けをした。大倉陶園の、金の縁どりがある、赤と紺がペアになったカップ&ソーサーをもらった。ひとり暮らしの女の、人生の仕舞い方を考えた。

ケッコンを考えている女ともだちの話を聴きながら、ちょっと色色反省した。
ケッコンしている女ともだちの帰り支度の様子がきれいで、ちょっとまぶしかった。
友だちの旦那がコドモの足を手のひらで握っているのを見て、
あの手のひらにすっぽり収まるようなちいさなアシになって、そのアシを握ってほしいとおもった。
その妻である友だちとおしゃべりをしていて「発想がシングルマザーっぽい!」と指摘されてビックリした。

甥姪がピカチュウ号に乗って飛んで行ってしまってから、実家の押入を整理した。
わたしが3歳くらいのときに何度も何度もなめるように読んでいた『めばえ』と『キンダーブック』がでてきて、絵本を眺めるときは画面をどういうふうにみていたか、砂漠に水をたらすようにモノゴトが記憶されてゆくのはどんな感じか、自分のコドモ時代の感覚がまざまざとかえってきた。甥姪の相手をするときにしゃがんで、ふたりの頭のうしろから見える感じはなつかしかったもの。取り戻せるかなぁわたし。

コドモの力もオンナのチカラもわたしのなかにあるものだ。
要するに、わたしのなかの、コドモと女がびりびりした冬休み。

かみさまほとけさまはいる

2006-12-26 22:19:01 | 季節
小雨ちらつく渋谷のスクランブル交差点から
一度しか行ったことのない飲み屋さんに飛び込みました。
渋谷が少しスキなわたしと、渋谷には閉口。な友人ふたり。
お客さんが6人も入ると満員なお店を満員にする。

わたしが初めてこの店に来たとき、
3000円も飲んでいないのに帰りがけに京都の美味しいおせんべいを持たせてくれた。
あとから合流した友だちにも、持たせてくれた。
お盆前だったか、とにかく「京都から送ってもらったのー」というママさんに
おどろきながら、喜んで頂戴して、母親とふたりでオイシイオイシイ言いながら
あっというまに平らげちゃったくらいおいしかった。

そのときの御礼をしたいなぁとおもってそれきり渋谷に用もなく
渋谷に用があるときには手ぶらってなわけで
友だちふたりはハラペコだというので「食べるものありますかぁ」と言いながら扉をあける。
おじさまふたりに席をずれてもらって、3人わりこんだ。

そうしたら、お燗したお酒が美味しいのはもちろん
ママさんの煮たふっくら厚揚げ
ふんわりやさしい味の出し巻き卵(鬼おろしでおろした大根おろしがこれまた秀逸
京人参やら水菜やら香りのいいものがいっぱいの五目きんぴら
近くの鳥福からママさんの奢りでそりゃぁオイッシイ焼鳥が山盛り
まぁいただいたいただいた
心の底からおいしいおいしいおいしいおいしい言いながらいただきました。

おいしいのは食べものとママさんの優しい笑顔だけじゃなく
お客さんたちとの会話もとんでもなくたのしかった。
ジュリアーニ市長に替わってからのNYがどれだけ変わったか
チェコのピルスナービールがどれだけおいしいか
最初の1月1日という日をスタートさせたのはだれなのか
体調がわるかった友だちは、真剣な相談もさせていただいて
大きな食卓に揃った一夜だけの家族会議みたいでした。

製薬会社の社長だというヒトが
とにかく、患者さんのためになることをやりたいし、
自分にできないことなら、できるヒトを紹介するし、
ヒトのために役立ちたい
と最後に言っていたのが強烈に心にのこった。
他者に奉仕しようと頑張ることが、結果的にお金として返ってくる、というモデルケース。

この人が何者であるかを知る前に、
ものすごい福福しい手をしていて、人相のバランスがとっても良いことがすごく気になっていた。
となりに座っていた教授も「しかも福耳だねぇ」と言っていた。
仏さまみたいなお顔なのだ。

鎌田塾のパンフレットで、
顔のパーツはそのときどきの心のありようでバランスが変わってくる
と読んだばかりだったので
きっとこのヒトは頭がいい上に、心も安定しているんだなーとおもっていたら、
そういうヒトだった、ということ。
この人きっと、仏さま、に近づいてってるー。

ママさんも仏さまのようなやわらかーな人で、
もちろん下ネタなんかもさらりぃっとかわすのだけども、
ときおり裏情報を口にしては
ぎらん、ぎらん、と女の顔になった。それがまたかわいくてねー。
きのうは京都の高級ふりかけを持たせてくれた!
もみ海苔じゃなくて、ちいさないろがみに切ってある海苔なのだ!コレはおいしいぞぉ

ことしのクリスマスプレゼントは出会いだったナ。神さまアリガトウ!ございま~す

年末なので

2006-12-24 03:13:56 | 季節
昔話をかたることの基本は、人にさびしいおもいをさせない、
みんなでいきていく道をさがすということだとおもいます。
江口一久


自分じゃないもののために、どれだけ時間をさけるかということ。
つきつめてしまえば、尼になるしかない。
おいしいものをたべたい、人にほめてほしい、恋だってひつようだ、親孝行だってしたい。
でも、こころのなかにやまない声があると、
どうしても、そこからきこえてくるものをどうにかしないと
何もかもがグレーなままだ。
自分じゃないもののために、なにができるかなんて、覚悟さえしてしまえば
付添婦だってボランティアだってやれることは無数にある
えり好みしている時点でアウト

きょうはくつみがきをした。
たのしかった。