ローテーブルの足の影に隠れて身を縮こませている一匹のウサギの姿にふと気付いて、畳んでいた洗濯物を横に除け、床に這いつくばってウサギと目線を合わせ、eは「こっちおいで」と手を差し出した。
「おいでよ、ねえ、」
「ストップ」
拭きかけの皿とタオルを持ったままでいつの間にかyがテーブル向こうに立っていて。カーペットの上に腹這いになってテーブルの下に頭を突っ込んでいたeからはそんな彼の両足と、垂らされたタオルの端が見えた。
「名前、呼んじゃだめだよ」
「名前?」
もぞもぞとテーブルの下からeは這い出し、はてなと首を傾げた。見上げた先のyは何だか苛立った顔付をしていて。どうして怒られなきゃいけないんだろうかと、eは不思議な心地になった。
「tがこいつの為に考えた名前なんて呼ばないで」
顰めっ面をしたyにどうして?と続けてeが問えば、
「だって、俺の名前は親父とお袋がつけてくれただけだし」
「いいじゃん、それで」
「それはそれでいいけど、…………これはこれで良くない」
顔をこれ以上無いくらい顰めるyの顔はもうむずがる幼児の顔にしかeには見えなくて、ふ、と小さく困り笑いが口を突いた。
「じゃあ、yもtに名前付けてもらったら?」
「やだ。この名前気に入ってるから」
「困った奴」
eは畳み掛けの洗濯物をまた畳み出した。テーブルを挟んだ向こうではまだyが頬を膨らませている。
「おいで、Q」
手を差し出さずとも、名前だけでその黒い小動物はてとてとと可愛らしい足取りでeのすぐ傍に近付いて座り込んだ。
「おいでよ、ねえ、」
「ストップ」
拭きかけの皿とタオルを持ったままでいつの間にかyがテーブル向こうに立っていて。カーペットの上に腹這いになってテーブルの下に頭を突っ込んでいたeからはそんな彼の両足と、垂らされたタオルの端が見えた。
「名前、呼んじゃだめだよ」
「名前?」
もぞもぞとテーブルの下からeは這い出し、はてなと首を傾げた。見上げた先のyは何だか苛立った顔付をしていて。どうして怒られなきゃいけないんだろうかと、eは不思議な心地になった。
「tがこいつの為に考えた名前なんて呼ばないで」
顰めっ面をしたyにどうして?と続けてeが問えば、
「だって、俺の名前は親父とお袋がつけてくれただけだし」
「いいじゃん、それで」
「それはそれでいいけど、…………これはこれで良くない」
顔をこれ以上無いくらい顰めるyの顔はもうむずがる幼児の顔にしかeには見えなくて、ふ、と小さく困り笑いが口を突いた。
「じゃあ、yもtに名前付けてもらったら?」
「やだ。この名前気に入ってるから」
「困った奴」
eは畳み掛けの洗濯物をまた畳み出した。テーブルを挟んだ向こうではまだyが頬を膨らませている。
「おいで、Q」
手を差し出さずとも、名前だけでその黒い小動物はてとてとと可愛らしい足取りでeのすぐ傍に近付いて座り込んだ。