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別館片隅

オールジャンルにテキスト書き殴り。中途半端上等。文法超無視。
コメントはご自由に。

テレビに映る君を見て。(KBS京都)

2005-07-28 01:17:01 | 歌劇
「e、きゅうりとレモンと牛乳と日本酒、買ってきたから」
ざら、と強度がまるでないスーパーの袋がtに捕まれながら揺れた。目の前に突き出されたそれへと対して、アイロンをかける手を止め、eはきょとんと小首を傾げた。
「…何か作れってこと?」
少しだけ考えてみて、tが袋に詰めて帰ってきたものは全て飲食物だったものだからそう結論付けて返事をしてみれば、無碍に「違う」と否定された。
「きゅうりとレモン、日替わりでパックに使って、」
「は?」
「牛乳と日本酒を日替わりで風呂に入れなさい」
「いや、あの……え?」
とんと理解できずにいれば、ビニール袋を突き出される。頭上に目には見えない疑問符を盛大に散らせつつ、eもそれを受け取った。

「お肌、大切に!」
受け取った瞬間に、隣で横着な家計簿をつけていたyがわざわざ大きな声を出した。


写真集が出ます

2005-07-22 01:45:51 | 歌劇
「写真集がでまーす」
「こないだも出してなかったっけ?」
「あれはD全員ででしょ。今度のはオレ一人だけだから」
「そうなんだ。おめでとう」
えっへへ、と嬉し恥ずかしと言った感じでyが笑う。

「一人三冊ね。ノルマ」
「は?そういうのって普通タダでくれるんじゃないの?」
「現実はねー、甘くない、ってこと」
ふははは、と尊大にyが笑う。

eはoの過去もちゃんと知っている。(oe)

2005-06-28 20:07:57 | 歌劇
ざざぶざざぶと3人分の食器を本日の皿洗い担当であるeが洗う中、少し離れたところにあるいつも通りなグリーンソファの上では彼の携帯が流行の歌を着信の音としてけたたましく鳴り出した。」その音に気付くもeの大人寸前にまで育っている手は泡と水にまみれて皿を掴んでおり。手を濯いでタオルで拭いて駆け付けた頃には恐らく着信の相手は留守番電話を案内するお姉さんの声に変わっているに違いなくて、どうしようかな、とむず痒そうにeが顔を顰めた時、靴磨きの担当を終えたyがさも無茶苦茶疲れましたとばかりに、どかりとソファの上に腰を下ろした。
隣でeの携帯が鳴っているのに、それは自分のものでは無いから、とでも言いたげに一瞥すら加える様子も見せず、彼は真っ先に、目の前に据えられているテレビのリモコンを手に取る。
「y、ちょっと携帯出て」
「ん?いいの?オレが出ちゃって」
「いいよ、その音ってoからの着信だから」
「そうなの?じゃ、いっか」
リモコンを持つ手とは逆の手で、隣に置かれていた携帯を取り、yは片手で開き、自然な流れで以って液晶を見た。
「e、oからの着信じゃないみたいだけど?」
「え?oでしょ?その着うたってoにしか設定してないし」
「エー?だって、液晶んとこ、『ミスター東』って出てるけど?」
「それoだって。いいから出て!早く!!」
「えー……?」
ぶつくさと文句を尚も言いつつ、yは受話器が持ち上がっている絵のあるボタンをぷちりと押した。
『もしもし?』
受話口から聞こえてきたのはeが言った通りにoだった。






***********************
(oたんは昔、ミスター東(高校ナンバーワンイケメンの意)という肩書きつうかあだ名があったとです)

男は切り立った思考の崖口に立ち尽くしていた。

2005-06-03 00:53:28 | 歌劇
「…時々、お前のことがわからなくなるんだ」
「……」
沈黙を置き、テーブルの向かいに座り神妙な顔をするtの顔も見ず、yはゆっくりとひとつ頷いた。
「うん、オレも……時々、tのことがわからなくなる。ねえ、どうして?」
「どうして……って、言われても……。俺には……耐えられなくて」
視線で射抜かれているわけでも無いのに、妙に気まずくて、tもyから顔を反らし、視線には机を這わせた。そこには、tの分として与えられた手付かずの料理が皿に盛られている。辿り着いたそこから少し視線を上げ、tはyの隣を見た。顔色に浮かぶ気疲れは濃くなる。
「……お前のことも、ちょっと理解しづらい…」
「そう?」
yの隣に居たeが咀嚼を続けながら小首を傾げる。tはげんなりした。
「…と、俺は思う」
ただでさえ塩分過多気味なスナック菓子を更に塩ゆでしてエビと相性が良いサウザンドソースと和える奇妙な食い物が夕飯だなんて。(今晩の夕飯担当はy)スナック菓子は味の違うものを使った(ベジタブルとピザと関西だしじょうゆ)と弁明されても食欲はまるで湧かなくて。そしてそんなものをeは意気揚々と食べているなんて。(明らかに積極的に口へと運んでいる)

信じられないなあ、とげんなりするtの前で双子のような少年二人はそんなtが逆に不思議なようで。3人揃って不可思議そうに首を傾げた。

ねこかってます。(テレビネタ@ブログタイプ)

2005-05-29 04:30:14 | 歌劇
「猫、ってうまいこと言うね、eも」
「は?」
不審気にeはtを見上げる。隣ではyがテレビに没頭している。二人が座るソファの背後で、tは少しばかりの苦笑いを浮かべた。
「猫って、yのことなのかと思った」

すぐに、戯けてみせたyがニャーゴと鳴いてeに頬擦りしてみせた。

We play basketball

2005-05-26 02:37:53 | 歌劇
天気は五月晴れ。
「……バスケット」
ぽつりとyは呟き乍ら、手にしたフライパンを奥へと勢い良くコンロの上でスライドさせた。燦々と窓越しに注ぐ日の光を背景に卵3つ分の巨大な目玉焼きがひらりと舞って熱され続けるフライパンの上へとするりと落ちた。
yが何が呟いた、とtは床で唸らせていた掃除機のスイッチをふと切り、「なんて?」とyに向けて尋ねた。くるりとyがキッチンで振り返る。
「バスケットしたい。オレが流川ね」
「俺は?」
「tは……花形とかでいいんでない?」
なんでそんな、微妙に微妙な配役なのか。背が高いから?
「じゃあ、eは?」
「eはオレとライバル且つ仲良しなんだから、リョータじゃない?」
それって何か穿った見方だなあ、とtは首を傾げた。

次の光の為に。

2005-05-08 04:16:04 | 歌劇
「あれ?yは?」
「k姉んちで泊まりシゴキだって」
「夕ご飯は?」
「…どうしてそれを夕飯の席で聞くの…。tってやっぱどっかずれてるよね?」
そんなことない、とムクれるtは夕餉の支度の手伝いをしていたくせに。いつもの3人分ではなく2人分だったことに、どうして今、夕飯も終わりの時点で気が付くのだろう。
変だよなあ、と咥え箸をしたままでeは首を傾げた。
「yには弁当持たせたから」
「e手製?」
「…もち」
「いいなー。俺も食べたい」
「……いやいやいや。tは今、オレ手製の晩飯食べてるわけだからさ…」
「でも弁当がいい。愛情携帯だし、弁当って」
「……」
ああ、もう。図体ばかりはでかい(しかも規格外サイズ)くせに、どうしてこう妙なわがままを言うのだろう。目の前で口をヘの字に曲げている大人は。
そんなに弁当がいいのなら、目の前の皿の上にある料理を今すぐ弁当箱に詰めてどこかへと出かけていけばいいのに。

そうeが嘆息を吐いた瞬間、いつもyと並んでテレビを見るのに使うグリーンソファの上に放置しておいた携帯がeを呼んだ。夕飯の手を止めて、eは慌ててそちらへと走った。
メールの着信音では無く、電話での呼び出しの着信音だったものだから。しかも相手はyが世話になりに行っているkから。
「もしもし?」
ピッ、と小さく電子音で着信音を止め、携帯電話を耳に宛てがえば、向こうからも大人のわがままが突撃してきて、eは声を上擦らせて相手の台詞を反復した。
「k姉もオレの弁当が食べたいって……、ちょ、そういうワガママなし………いや、yの弁当が羨ましいとかそうやってゴネないでよ……もういいトシなんだから……え?18?そういうウソつくなって…。オレ、k姉の歳知ってるし……うん、うん……大人でしょ?大人だよ、24は。や、子供は19までだから……ね?うん。わかった、yが次行く時はk姉の分も持たせるから……うん。うん。じゃあね、y、よろしく面倒見てやってね。うん。じゃあね。おやすみー。はい、はいはーい」
通話終了。

テレビネタ(ウルルン)

2005-05-01 23:09:15 | 歌劇
「あれ、そういえばオレ、oからおみやげもらってない」
「オレは貰ったよ」
「え、うそ。いつ!?」
「こないだの…木曜?」
ぼんやりと頭上を見上げ乍ら、記憶を思い出しつつわざわざ答えているのに、問いを投げかけたy本人はいつの間にやらテレビにじいっと見入っては、画面に映るふんわりとした焼き菓子に興味を奪われていた。
「うまそー」
「……」
二人が大人しく座ってテレビを見ているソファから少し離れたシンクで、米をざくざく洗い乍らtはつい苦笑した。微笑ましいなあ、と思って。

yが突飛に、そして様々に画面へと突っ込みを入れている間に、放送は終わり、スタッフロール流れるエンディングへ。

「………っ!」
がたん、とその最中にeは突然立ち上がった。そんなeを不思議そうにyは見上げて、どうしたの、と訊いた。eが立ち上がったのは、oがホームステイ先の少年とチュッと可愛らしくキスした場面だった。
尋ねたyに返答もせず、立ち上がった勢いそのままにeはずかずかと玄関へと向かって行き、慌ててyもその後を追う。靴を乱暴に履くeの旋毛を見下ろし乍ら、どうやら何か怒っているらしいとyはふと気付いた。
ひょこりと、まだシンクで布巾を殺菌液に着けているtへと顔を覗かせる。
「tー、ちょっとoの家まで行ってくる」
「え?こんな時間から?」
「eが嫉妬に燃えたぎってんの。ばっかだよねー、あんなの挨拶なのにさ」
「y、うっさい!」
「ワー、コワーイ」
「あんまり遅くならないようにな。oにも迷惑だろうから」
「遅くなりそうなら泊まってくるから」
覗かせていた顔をひょいっとまたドアの向こうに戻して、yも玄関に揃えられた自分のスニーカーへと足を突っ込んだ。

「えっ!?ちょっ!二人して!?………お、俺も行く…!」
まだ2、3枚、殺菌液に浸かっていない布巾も台の上に放りっ放しでtもわたわたと玄関へと駆けた。


テレビネタ

2005-05-01 02:28:43 | 歌劇
「プップップ、って、なに、今の!すっげかわいい!!やべえって!」
目の前に置かれたテレビに映された光景を見て、そこに先程まで映っていたe本人を隣に置いたまま、yはきゃっきゃと腹を抱えてはソファの上で飛び跳ねた。それを気まずそうにeは横目でただ眺める。
「だって、台本にあったから……」
「それにしたって、今のやばくね!?つかまじやばいって!犯したいくらいかわいい!」
「おか……」
絶句。
「あー、もーっ、tってばすっげもったいなくない!?これが流れてる時間にたまたまコンビニ行ってるなんてさー」
そしてけたけたとyは姦しく笑った。
彼がはしゃぐ度にソファが小さく揺れるのを感じつつ、テレビの下に置かれた録画機器がジー、と音を立てている事にふとeは気付いてしまい、tの用意周到さに迄、気付かざるを得なかった。

彼は普通に褒めてくれるだけだといいのだけれど。


時事ネタ

2005-04-30 02:29:46 | 歌劇
「遂に公式発表、ね」
マウスのボタンを添えた人差し指でカチカチと無為に叩き乍ら、不意にyが言った。その不穏な声音に床上でこくりこくりと船を漕ぎ出していたeは顔を上げた。寝ぼけ眼をごしごしと擦って、パソコンの前に座り込んでいるyを見れば、彼はぷうと頬を膨らませていて。
「ああ、卒業の?」
彼が見ているページを後ろからのっそりと覗き込めば、小さなウィンドウの中にeの卒業の一報が書かれている。同じ舞台に立つyは事前に知っていただろうに、今更、どうしてそんな不貞腐れた顔をしているのだろうかと、少しばかりeは不思議がった。
「なに?まさか、寂しいとか」
「寂しいに決まってんじゃん。せつなーい。泣きそー。e君、卒業しないでっ」
冗談めかして泣き真似をするyにeは今度はくすりとひとつ笑う。本気なのだか冗談なのだかわからない。
「泣きたいなら、いくらでも胸貸してあげるけど?」
「ばーっか」
両手を塞いでいた手をぱっと離して、軽くeの額を弾き、また不機嫌そうにyは顔を顰めた。
「泣くのは当日まで我慢してやんよ」
eの顔をまじまじと見詰めたまま、お前の為だけに泣いてやるよと、yは頬杖を付いた不機嫌な顔で言い、またマウスのボタンをカチカチと叩く。
パチン、という音も無く、ディスプレイ上の小さなウィンドウは閉じられた。