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別館片隅

オールジャンルにテキスト書き殴り。中途半端上等。文法超無視。
コメントはご自由に。

ループ (te+y)

2006-09-11 22:07:33 | 歌劇
不定期に、というと堅っ苦しい。
彼の態度から察するに、『思い付いた時に』。

そう。思い付いた時に、tは先に寝ているeの前髪を上げ、額にキスを落としてからベッドに入る。
既にeとyとが眠りについている3人用のベッドへ。
tがそうすることに理由も意味も本当に何も無い。
ただ『何となく』そうしたくてそうして、勝手にやっている。
何も知らず隣で眠るeの寝息はとても平穏なもの。
それを聞きつつ、tは瞼を閉じて眠りに落ちていったのだった。






隣でtの寝息が上がり始めた頃、eの瞼がそろりと上がる。きょろりと瞳が動き、tを見た。
そして腹上にかけたブランケットから手をもぞりと出し、己の額へと指先を宛てがう。
この人は何がしたいのだろうと寝顔のtをまじまじと見詰め乍ら思い、額上に当てた指でこそばゆそうに触れられた部分を擦った。
まさか彼は気付いていないだろう。
自分がこうして起きていたことなど。
彼がした悪巧み(?)に気付いていることなど。

…もっと明るいうちにすればいいのに。
そう思考を進ませれば、eの顔は少し火照った。
「…俺も結構バカかも」
両隣の寝息の挟間でeはそうして己の思考を嘆く息を吐き出したのだった。




彼は気付いていないだろう。
yが実は寝たフリをしながらこっそりと起きていることなど。
宙に投げ出された様に見えた独白も、tからeへなされた密やかなキスも、その一部始終を知っている人間がすぐ隣にいることなど。
きっと彼は朝が来ても気が付かないだろう。
yは零れそうになる笑いを必死に飲み込み、懸命に穏やかな寝息(っぽいもの)を立て続けた。

蒙古斑(oe)

2006-08-01 21:41:12 | 歌劇
部屋着のハーフパンツはウエスト部がゴム。
引っ張れば、びよーんと間抜けに伸びる。
そんなeのハーフパンツのウエスト後部に指を突っ込んで、oがびよーんと引っ張った。
何事かとeが振り返れば、oは中を覗き込んでいて彼の髪が額に垂れ下がっている様が目に映り込む。
「…なに?」
「ホントにまだ子供なんだ、って思って」
oは顔を上げ、引っ張っていた指を離す。
伸張されていたゴムは音を立てて元のサイズへと戻った。
「………」
eはゆっくりとoへ振り返り、彼の腰へ水平に腕を伸ばし、ぐるりと彼の身を反転させた。
目の前いっぱいにはoの背中。
oのスウェットのウエストもゴム内蔵。
自分がされたように、eはoのウエストを後ろから引っ張った。そしてまた同じように中を覗き込む。
「…………無い」
「俺はもう大人だから」
なんなら前も見る?
戯けた顔で肩越しに振り返られ、eはこっくりと赤い顔で頷いた。


テレビジョン観覧車 (t+e)×y

2006-07-23 00:56:27 | 歌劇
うれしそうにyがそれを眺める度、eを捕まえてはtは何かもの言いたげな目をする。

「よその男が買い与えたものが部屋に置いてあるのが気に食わないって感じ」
eはその時のtの目をそう形容する。
事実、eがtへとそう指摘すれば、tはその通りだと神妙な顔でうなずいた。

「でも、その代償で、」
ぱかん、とeは折畳式の携帯を開き、tの眼前へと画面を突き付けた。
「このyの表情で、かつ、楽しそうなyが家で見られるワケだからさ」
「…許せるといえば、許せる」
「でしょ?」
「でも…」
「許せない?」
小首を傾げて尋ねれば、歳よりも幾分か幼く見える不貞腐れた顔でtが再びうなずく。
「許せない、っていうか、許したくない」
「tもワガママだよね」
くすりとeは小さく苦笑を浮かべる。
そしてその微苦笑を薄れさせてから、ゆっくりと観覧車前でうきうきとしているyを振り返る。
「…でもまあ、」

俺も同じ気持ちかも。
口の中でそう呟いたeに穏やかな表情は無かった。

スカートひらりひるがえし 走り出したい時がある (y+t)×e

2006-07-19 01:15:59 | 歌劇
こっちおいで、と手招きされ、夕飯終わりの食器を洗う手を止めてまで容易く近寄ってしまうeが、
全て悪い。

…多分。




キュッ
と捻られる水道のコックは無条件に夏のイメージ。
eが立てたその音を聞きながら、yはクイックルワイパー片手に部屋の隅を華麗にターン。
くるりと回る際は華麗さをより引き立たせる為、空いたもう一方の手を垂直に上げて。



ぎゃー!
と可愛げも無い悲鳴が上がり、yはブレーキを利かせてターンを止め、声のした方向を見た。
この部屋は3人と2匹(近頃、tが犬を飼い出した)しか住んでいない。
響いた悲鳴は人間のもの。当然、yのものなどでは無いから、残りは二人。tとe。

yが視線を遣った先には洗濯物を畳む途中らしく周囲を折り畳んだ衣服に囲まれたtと、その脇に立ち、tに片腕を捕まれて足下から小さな扇風機で風を送られているe。
eは何故かハーフパンツが隠れる程にぶかぶかなワイシャツをきっちりと着せられていた。
下から送られる扇風機の風で、ワイシャツの裾はひらひらと揺れる。そしてそれを掴まれていない方の手でeは必死に押さえつけようとしているらしかった。
そんなことをしているeの表情は慌てふためき、翻って逃げようとするeの手をがっちりと掴むtは悪戯が成功したことに酷く楽しそうな様子。

ハーフパンツを履いているのだから、シャツの裾が捲れたところで押さえる必要ないだろうに。

それでも、裾が捲れないように押さえつけるeの姿は必死そのもの。
yは手にしていたものを床に放り出し、tとeへと小走りに駆け寄った。
近付いてきたyに気付き、tは「モンローみたいじゃない?」と笑顔でeを指差した。
yはきらきらした目でtにこっくりと大きくうなずき、ひらひらとシャツの裾を舞い上がらせているeの足下にころんと転がった。
「うわ、このアングル、まじやばい」

ひゅーひゅー、とyが冷やかせば、eが声にならない声を上げた。


事の発端はザテレビジョン携帯サイトを御覧下さい(ye)

2006-07-16 04:30:29 | 歌劇
炊事洗濯料理などなどなど、の家事は当番制。
今日の料理番はyだった。

どどん、とeの前に置かれたのは真っ黒に焦されたチャーハン1皿。
向かいに座るtの前にもチャーハン皿は乗せられているが、彼の分はきつね色程度。y自身の分もtのものと変わらない。
eは今一度、自分の今日の夕飯を確かめ、それからゆったりと隣のyへと顔を向けた。
「俺いじめなの?これは」
「おこげ大絶賛だったからオレからのサービスなわけよ」
「おこげと炭は違う…」
「ふはは。食い物の恨みは恐ろしいということをその身で体感するがいい!」
そしてyはがつがつと己の分をかっ食らい始めた。
tはeを置いて食べ始めても良いものかどうか悩んでいるらしくスプーンを握った手が所在無げに宙で止まっている。
「e、俺の、半分わけるか?」
「…ううん。いい。ありがと」
わーははは、と有頂天なyを横目で見乍ら、eは炭と化したチャーハンを掬った。
思いきって口に入れる。苦い。
とても食べられたものではないと思うが、それでもeはきちんと咀嚼して飲み込んだ。
そんなeをじっと見つめながら、tが心配そうな面持ちで口を開く。
「コゲってガンの原因になったりするって聞いたことあるし、やっぱり俺の半分やるよ、e」
tのその一言で、ガハガハと笑いながらチャーハンを頬張っていたyの手がぴたりと止まる。
あまりの急ブレーキぶりに、スプーンの端から米粒がぽろりと落ちた。
「ガン…?」
不安気な声色でyが恐る恐る尋ねれば、eが意地悪く目を細めた。その手には二口目の黒焦げチャーハン。
「そうだよ」
「ガ、ガン…、ってあのガン?」
「あのガン。本当かどうかは知らないけど、火のないところに煙は立たないっていうし。…なのに、yは俺にこの仕打ちだもんね。さぞかし、俺に早死にして欲しいんだ?」
「…な、ないないない!思ってない!そんなこと!!」

生きろ! とyはeの手をがっしりと掴んだ。

K池T平 ([e+y]×t)

2006-07-12 23:22:13 | 歌劇
映画のCMだったり、
ニキビ用洗顔料のCMだったり、
歌番組だったり医療ドラマだったりバラエティだったり。

彼をテレビで見つける度に、eとyはそちらを向く。

「なんていうか……。ねえ、e?」
「あ、やっぱりyも思った?」
「そりゃ思うでしょ。なんてったってさあ……」

グリーンから夏らしいスカイブルーの色へ、ソファカバーは変わった。
その上にちょこんと乗っかる二人組がぽそぽそと密談し合う様を遠目に眺めつつ、tは商売敵だから気になるのだろうかと首を傾げた。
アイドル、というカテゴリでくくれば、彼等と彼はそう呼んでも差し支えは無いだろう。
しかし、首を傾げる一端で、話題に入れないことや、まったく知らない誰かのことを囁かれていることに、小さな嫉妬心も感じる。

「犬っぽいもんねえ」
「そーそー。しかも子犬?」
「うんうん。子犬子犬」
「見る度に思っちゃうよね、」

犬っぽい、というカテゴリでくくればtと同系列だと言っても、差し支えが無いような有るような。


ふたりきりのよる(YE)

2006-07-08 21:32:18 | 歌劇
今晩、Tは彼の友人らと呑みに出かけて帰ってこない。
帰りは朝になるだろうから、とTが言っていたことや夜が更けたこともあり、揃ってベッドに潜り込んだ。3人がずらりと並んで寝られるキングサイズのベッド。

先に寝息を立て出したのはE。
寝るフリをしながら薄目を開けてEが眠りに落ちる場面をYはこっそりと目撃していた。
一息目の寝息が口をつく瞬間もYだけが見ていた。
本人に黙って、眠る横顔を眺めているこの行為は、なんだか不埒な罪を犯している気分にさせられる。
それでもYはじいっとEの横顔に見入る。
ここは神聖な裁きの庭でも何でもなく、役者3人がただ共同生活をしている賃貸マンションに過ぎない。
誰も「異議あり!」と大声で人さし指を突き付けてきたりしない。


そうしてじいっと眺め続けて5分か10分か。


不意にYはのそりと体を起こした。Eはその隣で胸の上下運動を続けている。
そんなEへと膝立ちの格好でEへと近付き、彼が寝ているのをいいことに彼の腹へとまたがった。
ゆっくりと腰を下ろせば、流石にYの重みで眼下のEが「う」と短く唸った。
眉間に浅い皺が寄る。
再びゆっくりと身を倒し、Eの頭の両脇に手を突く。
視界いっぱいにEの寝顔が近付く。相手の鼻先がこちらの鼻先に付く。彼の額に自分の垂れ下がった前髪がかかる。
唇の 距離は極めて僅か。


そうしてその格好のままYが静止して1分か3分か。


不意にYは身を起こし直し、這いつくばりながらベッドを下りると、前屈みになりながら寝室を出ていった。
間を少し置いて、水洗トイレの流れる音が聞こえる。
Eは薄く目を開けた。
自分が肴にされる決定的瞬間を本人に黙って見てしまった今の心地は、酷く背徳的だった。

それから、自分でも立派にその役目を果たせるんだなあ、と場違いに感心してしまった。



寂しがり

2005-11-18 01:55:29 | 歌劇
「t、遅いね…」
「遅いとか言うレベル?eって時間感覚ダイジョブ??」
夕飯の並ぶ食卓で、それぞれの椅子に座り乍らeとy。
最初は湯気も立ち上っていた机上の夕飯達も今ではすっかり冷めきってしまって。
そんな状態になっても二人が手をつけなかったのは、tが夕飯の時間までには帰ると告げて出ていったきり帰ってこないせい。
tが出向いて行った先はkの家。
何の用事で出かけていったのかはyもeも知らないけれど、夕飯には帰ると言ったのだから帰ってくるのだろうと思っていつも通りの時間に夕飯を二人で作って机に並べて椅子に座って。

そして待ち続けてもう3時間が経つ。

「ねえ、もう流石に電話かけてもいいんじゃない?」
「えー……でも、帰ってくるって言ったし。催促っぽいのはさあ」
「eはね、もっと積極性を持たないと。うん。だめだめ。伸びないよそんなんじゃ」
「k姉と二人で話し込んでるだけかもしれないし」
「それだとしたって、夕飯には帰るって言った約束破ってんだぜ?既に」
「そうだけどさー……」
「もう、いい。かける。かけちゃうよオレは。もう短気の域じゃないって3時間はっ!」
言うが早いか動くが早いか、yは椅子をさっさと下りて自分の携帯を取りに向かった。そして手早くtの番号をアドレスの中から探し出してボタンをポチリと。

数秒間の機械音がして、慌ただしい声でtが電話に出た。
「もしもし?t?いつまでも何やってんの?もう3時間なんだけど!約束の時間から!!ご飯も冷めてるしeは気長過ぎるし――――、って、え?kが何、ちょ、なんか周りうるさいんだけど!?今どこ?まだkの家?うそ、なんでこんなうるさいの……って、ああ、そう、kが騒いでんの………うん。それで?なんで帰ってこないの?…うん?うん。はあ?帰るなって泣きつかれて帰れないって…………、また?ちょ、kと変わって」
やけに早口でyが返事をしているものだから、tも早口なんだろうなあ、と傍らで耳をそばたてていたeもぼんやりと思う。
そして、yが『また』という言葉を使った意味もわかる。
kの家に行くといつもそうなのだ。誰もが”その目”に遭う。
「もしもし?k?ちょっと、はやくt返してよ。オレらtが帰ってこないから飯食べられないんだけどっ。寂しいとか言ってもだめ!じゃあどうして一人暮らしなんかしてんのさ。一人暮らしなんだから仕様がないでしょ、一人で寂しいのは。うち?もう駄目だよ。定員いっぱいなんだから。tが図体でかいから二人分みたいなもんなんだって。食べ盛りはt以外にも二人いるしさあ。ウサギは寂しいと死ぬ?あのね、馬鹿言わないの。ウサギってのは縄張り意識が強いからむしろ一人の方がリラックスなんだよ!!ウサギが寂しいと死ぬっていうのはガセ!…ガセだっつの!ウサギ飼ってんだからそれくらい知ってるっつの!!もう、いいからホント早く返せって。腹減り過ぎて死にそうなんだって。オレもeも」

その後も、ぎゃいぎゃいとyとkの論争は小一時間に渡って続いた。

smiling  [(y+t)×e]

2005-10-14 00:58:36 | 歌劇
「e、止めてっ!ここで止めてっ!」
とあるDVDを流すと、決まって同じ場所でyはそうやって映像の一時停止を叫ぶ。
そこは丁度、eがくしゃりとそれまでの淡々とした相好を崩して、くしゃりと笑ってしまっている場面で。
「……」
どうして自分がちょっとしたアクシデントに噴き出してしまっている場面をこう何度も見なくてはならないのか。場面が行き過ぎたせいで今度は巻き戻しをせがむyとはどえらいテンションの差を抱えてeはげんなりと肩を落とした。
そんなeの頭上から、
「……あ」
ふと腕が伸び、手にしていたリモコンを奪われる。eとyとが揃って顔をほぼ真上に向けると、そこにはテレビを直視し、巻き戻しのボタンを押すtの姿があった。
「………t、あのー…、何 してんの…?」
「何、って巻き戻し」
ウィウィウィーンとDVDプレイヤーはtに操られて巻き戻しを続ける。
「あーっ、t、ここっ!ここからスローで!!」
場面を見つけたyがtへ叫べば、彼のお望み通りである先程の場面がスロー再生でテレビに映り出す。
eが反射的な笑いを隠しきれなくて、くしゃりと笑顔を晒してしまっている場面。
「やっぱ、ここのeってチョーイイんですけど」
「同感同感。すっごいかわいい」
「…や、かわいいとか嬉しくないから……」
剰え、スロー再生の途中で一時停止を食らう。
でれでれと脂下がる二人組を置いて、eはそっとソファを立ち上がった。

遅れてきたカリスマ(テレビネタ)(わたしが漸く見られた、とも言います)ey

2005-08-16 00:26:28 | 歌劇
yはテレビを見終わるまでは比較的大人しい。妙にテレビへ向かって突っ込みはするが、体はソファの上から動かないから、”比較的”。
ただし、テレビを見終わった後はせわしい。
「カリスマー!髪の毛切ってー!!」
遅い風呂を終えて出てきたeの腹に横からがっしりとタックルもどきで抱きついて、そう大声で一言。
「だから、アレはテレビの中だけのお話なの。y、わかってる?」
「わかってるけどオレの髪切れって!」
絶対解ってない…
自然と湧いた半笑いを隠すことなくeは表情に乗せ、腰元にyをくっつけたままで頭を拭きつつチェストへ近付くと、一番上の引き出しをごそごそと漁った。
「なに?なにが出てくんの!?」
eの腰元から見上げるyの目は無邪気にきらきらと輝いて見える。人慣れした子犬(しかも生粋の日本犬)とその様はダブる。
「カリスマグッズを探してるとこ」
引き出しの中を尚も漁り乍ら、yのわがままに乗り気めいてeが返事をやる。途端にワーとかキャーとか、取り敢えず期待がはち切れたと言わんばかりにyから歓声が涌く。
「あー、あったあった」
「え、えーと……e、オレ、幻覚見えてないよね?」
「だいじょぶでしょ?はい、カリスマグッズ登場ー。これで素敵にyの髪を”刈って”あげましょうネー」
「e、あのさ、あのさ、オレ、思うんだけど…っっ!」
ぱっ!とそれはそれは勢い良くeの腰元から離れ、リビングの机の下にまで逃げて潜り込み、そこからyは、
「それ、どう見てもバリカンなんですけど…っっ!!!!?」
大声で抗議の声をあげた。
ひたひたと素足のeの足音が次第に近付いてくる。勿論、その顔は楽しそうに笑顔。笑顔。笑顔。
「んー、彼氏、目鼻立ちがぱっちりだからー、坊主もばっちりキマっちゃうんじゃないかなー?」
「断固拒否っっっっっ!!!」
「おいおい、夜中だぞ、静かにしろよお前らー」
遠くからは静観するtの声。