ASIA .... groups, solos and related works

20世紀最後のスーパーバンドのディスコグラフィー

ASIA IN ASIA (1983) その2

2007-12-29 10:37:16 | GREG LAKE

MTVが衛星生中継した「ASIA IN ASIA」の模様は、後に、完全とは言えない内容であったものの、レーザーディスクとビデオが発売されている。公式なDVD化は行われていないのだが、ブートDVDは「レーザーディスクから直落とししたもの(1時間弱)」「MTVの番組を録画したもの(2時間弱)」の2種類が出回っているようだ。 後者は、開演1時間前から生中継を開始しているといった内容で、待ち時間を利用して会場風景などを紹介している。その中で、番組司会のマーク・グッドマンの

We are back, a live from Tokyo for ASIA IN ASIA. It has been a long, long road to Budokan for this band. It ended the American tour just in time for preparing for tonight concert. Then there was an unexpectd change. John Wetton left the band, Greg Lake joined. And tonight is the reunion. It is the first time for Lake and Palmer peforming together since the breakup of ELP. It took ASIA nearly 2 months for preparing tonight show. We have compressed those 2 months to 27 minutes and 45 seconds. Here is THE ROAD TO BUDOKAN.

というコメントに続いて流されたのが、特集番組「THE ROAD TO BUDOKAN」である。 この特集番組については、John Wettonの公式バイオ「My Own Time」の中で、著者のKim Danchaが、

バンドが、それに入った割れ目から砕け散ろうとした時、逆にMTVは、今世紀最大のスーパーバンドを彩るビッグイベントを1つのものにまとめ上げた。それは「ASIA IN ASIA」と題され、立案当初から野心的なプロジェクトだった。オリジナル・メンバーが、バンド名にも冠した“故郷”であるアジアを訪れ、“聖地”武道館で東京公演を行う様を追跡するという企画内容であった。東京公演の模様は、北米時間の1983年12月6日23時に、全世界に衛星中継される手筈になっていた。こんなビックイベントであるから、繰り返し繰り返し宣伝広告が打たれることは避けられない。MTVの視聴者は、昼でも夜でも、Carl Palmer がその流暢な日本語で、「ASIA IN ASIA」招待キャンペーンに応募するよう勧める姿を目にしなければならなかった。キャンペーンでは、5人の当選者とその連れが東京公演を観るため日本にあごあし付きで招待されるだけでなく、同地でオリジナル・メンバーと会食することになっていた。一連の宣伝広告の中で奇妙だったのは、日本公演に参加するメンバーについては、必ずしも明確にされなかったことである。また、宣伝広告は、残る3人についてはそれまでの公演の中から様々な演奏シーンを取り上げていたものの、John Wetton のベストショットはなぜか後ろ姿だけだった。

「ASIA IN ASIA」中継に先立って、MTVはバンドを取り上げた特集番組「THE ROAD TO BUDOKAN」を放映した。オリジナル・メンバーそれぞれが登場して、音楽的背景とバンドの将来を語る内容である。番組は、北米ツアーを終えて機材を梱包する、移動中のバンドのシーンから始まる。John Wetton は、MTVのスタッフが自分のパートの撮影を始めた際に、何かおかしいと感じたことを今も覚えていた。

「MTVのスタッフは、北米ツアーに帯同していたんだが、その時点で既に、何かおかしい、と感じ取らなきゃいけなかったのだろう。彼らは搭乗口につながる通路を歩き去る姿を撮影したんだが、他のメンバーは誰も、そのシーンには入ってこなかった。自分だけが出発ゲートに続く通路を独りで歩いていくんだ。もっともデトロイト空港で彼らは、レンズ越しに、さて次のシーンを撮影しなくちゃっていう視線を送って寄越してはいた。だからこっちも撮影はまだまだ続くぞと思い込んでいたんだ。特集番組の中で自分は、空港の通路を歩いて行って、カメラに向かって See you later とか何とか挨拶すると、次のシーンでは日本のどこかに立っていることになるんだろうと考えていた。当時、裏で何が起きているのか分からなかったので、自分のパートの撮影がそれだけで終わってしまった時でも、そんなもんだな、などと呑気に考えていたんだよ」

などと紹介している。なるほど、John Wettonならずとも、歩き去るシーンを延々撮影されれば、違和感は覚えるだろう。寂しい構図である。

(続く)


ASIA IN ASIA (1983) その1

2007-12-28 20:41:25 | GREG LAKE
自分はこれまで、スタジオ音源こそミュージシャンが楽曲を理想の形に録音したものと確信して、ライブ音源を軽視してきた。ただ、歳を取ってから、必ずしも全ての楽曲がスタジオ音源となるわけではなく、また、ライブ音源こそ、スタジオ音源以上に、忘却の彼方に消え去ってしまうことを遅まきながら理解するに至った。ASIA に関していえば、Glag Lake (1983年12月)、John Young (1989年8~12月)、Pat Thrall (1990年6月~1991年4?月)の3人が、メンバーとしてライブ活動に参加しながら、遂にスタジオアルバムを残すことなくバンドを去っている。2007年はバンド誕生から25周年にあたる記念の歳であり、その甲斐あってオリジナル・メンバーでの来日公演も実現し、嘘か本当か来春には新作が発売されるという僥倖にも恵まれることとなった。ただ、それだけの年月が経っているということは、“考古学的”なブレークスルーでもない限り、幻のメンバーに関する新しい情報が出てくる可能性は皆無に近いのである。

ASIA 初の日本公演は、1983年12月6~9日(以下、特に断りない限り日本時間)に東京・大阪で行われた。前半3日が武道館で行われており、その中日である7日公演の模様は「ASIA IN ASIA」と題されて、MTVによって全米に衛星生中継されたのである。Glag Lake は、その日本公演の期間のみ、“歌って踊れるベーシスト”として、John Wetton の代役を務めたわけである。ただ、1983年12月の日本公演については、後述するように、「全米に衛星生中継された筈の12月7日公演のセットリストすら分からない」という状況に至っている。ここでは、ASIA の1ファンとして、微力ながら当時の状況を再現することに努めてみたいと思う。

というわけで、まずは朝日新聞に掲載されたウドー音楽事務所の宣伝広告(社会面の下の方の短冊形の2段広告)の流れを調べてみた。

日本公演の宣伝広告が最初に掲載されたのは、1983年8月16日の紙面であり、そこには8月28日より前売開始となる旨が記載されている。そして8月28日の紙面には、「初来日決定」「本日より前売開始」「新時代の到来を告げるスーパーグループ!」「4人の個性が完全燃焼」などのキャプションとともに、12月6日および12月7日のいずれも18時30分から、合わせて2回の東京公演(S席4500円、A席3000円)が武道館にて行われる旨が告げられたのである。なお、この時点では、John Wetton の離脱もMTVによる衛星生中継も、特別に言及されてはいない。

それが、9月27日の紙面に掲載された広告では、東京公演の日程が、いきなり12月6日および12月8日の2回に変更されている。「12 / 7 は12 / 8 に変更」と理由もなく記載されているのである。この時点では、小さな短冊型の宣伝広告には、変更の理由には一切触れられていない。12月7日18時30分の最初のチケットは既にファンの手元に行き渡っていたのだが、それらの回収・交換の手続きは取られなかった。「12月7日18時30分」のチケットで、12月8日18時30分の東京公演を観ることとされたのである。したがって、当時のチケットの半券で、「12月7日18時30分、S席4500円、A席3000円」と記載されたものは、12月7日の東京公演のものではなく、12月8日の東京公演のものである。

10月4日の紙面に掲載された宣伝広告に至って、遂に12月7日の「追加公演決定」が告げられた。「日本初の衛星中継コンサート」「世界No.1のスーパー・ライブをMTVで武道館から全世界へ同時中継」「日本初の興奮を体験してみてはいかがでしょうか」などのキャプションが興奮を誘う。追加公演のチケットは10月9日より前売開始となったのだが、おそらくは衛星生中継のために14時開演となるためか、放送時間の制約があって他の日本公演に比べるとセットリストが短縮されるためか、スポンサーがついたためか、S席3000円、A席2000円の割安料金が設定されたのである。なお、この時点の宣伝広告には、依然として John Wetton の名前が記載されている。前売開始当時の10月9日の紙面に掲載された宣伝広告には「SATELITE SPECIAL CONCERT」の文字も躍っている。Greg Lake の名前が出てくるのは、ここからである。

その後は、11月10~12日にかけて、「売切間近」とファンを煽る宣伝広告が掲載され、また、12月6日以降は、当時の定石どおり、「当日席あり」という宣伝広告が連日掲載された。実は、「ASIA IN ASIA」は、MTVによって衛星生中継されただけでなく、TVKテレビによって12月7日の14時00分から14時53分という時間帯で、「独占生中継!ASIA IN ASIA武道館コンサート」として生放送されたのだが、これは直前の紙面に掲載されたアルバム「ALPHA」の宣伝広告の中で触れられていた。

(まとめ)

①1983年12月の日本公演は、8月の前売開始の段階では、Greg Lake ではなく、John Wetton が参加するものと考えられていた。

②日本公演のうちの東京公演の日程は、当初は12月6日(18時30分開演)、12月7日(18時30分開演)の2回であったが、追加公演が行われてその模様がMTVにより衛星生中継されることとなって、12月7日公演がチケットを刷り替えることなく、12月8日(18時30分開演)にスライドされた。

③12月7日(14時開演)の追加公演は、何らかの理由で、S席3000円、A席2000円という格安料金が設定された。また、その模様は、MTVだけでなく、国内でもTVKテレビが生放送した。

④公演当日までにMTVによる衛星生中継は周知の事実となっていたが、当時の日本でどれだけの人間がWestwood One(全米最大のラジオ・ネットワーク)が「Superstar Concert Series」と題打って録音中継することを知っていたかは定かでない。少なくともウドー音楽事務所の宣伝広告には一切言及がなかった。

(続く)

EMERSON, LAKE & PALMER / IN THE HOT SEAT (1994)

2007-10-13 02:07:37 | GREG LAKE
(1) Hand Of Truth
(2) Daddy
(3) One By One
(4) Heart On Ice
(5) Thin Line
(6) Man In The Long Black Coat
(7) Change
(8) Give Me A Reason To Stay
(9) Gone Too Soon
(10) Street War

Bonus Tracks
(11) Pictures At An Exhibition
a. Promenade
b. The Gnome
c. Promenade
d. The Sage
e. The Hut Of Baba Yaga
f. The Great Gates Of Kiev
(12) Hammer It Out

Lynn B. Davis (cho) on (11)
Keith Emerson (key,keyboard programming)
Grag Lake (vo,g,b)
Paula Mattioli (b.vo)
Linda MacCrary (cho) on (11)
Ricky Nelson (cho) on (11)
Keith Orsen (b.vo) on (2)
Carl Palmer (ds,per)
Fred White (cho) on (11)
Bill Wray (b.vo)

Produced by Keith Olsen

いまのところ、ELP の最後のスタジオアルバム。新作を制作中の1998年、Greg Lake が脱退を宣言して ELP はその活動を停止することになる。(10)は、Greg Lake と Geoff Downes の RIDE THE TIGER プロジェクトの成果物であるが、Geoff Downes はクレジットはされていない。

EMERSON, LAKE & PALMER / BLACK MOON (1992)

2007-10-13 01:50:06 | GREG LAKE
(1) Black Moon
(2) Paper Blood
(3) Affairs Of The Heart
(4) Romeo And Juliet
(5) Farewell To Arms
(6) Changing States
(7) Burning Bridges
(8) Close To Home
(9) Better Days
(10) Footprints In The Snow

Bonus Track
(11) Blade Of Grass

Keith Emerson (key)
Greg Lake (vo,g,b)
Carl Palmer (ds,per)

Produced by Mark Mancina

ELPowell や 3 を別にすれば、オリジナル ELP として「LOVE BEACH(1978)」以来、14年ぶりのスタジオアルバム。(11)は日本版のみのボーナストラック。最近の欧米版には、(1)(2)(3)(4)のシングル編集版がボーナストラックとなっているようである。(3)は、Greg Lake と Geoff Downes の RIDE THE TIGER プロジェクトの楽曲。

GREG LAKE / FROM THE UNDERGROUND VOL. II (2003)

2007-10-06 00:06:29 | GREG LAKE
* Subtitled "DEEPER INTO THE MINE"

(1) Black Moon
(2) Check It Out
(3) Love Under Fire
(4) Cold Side Of A Woman
(5) Step Aside
(6) Preacher Blues
(7) Hold Me
(8) Heart On Ice
(9) Blue Light
(10) You're Good With Your Love
(11) You Really Got A Hold On Me
(12) Epitaph
(13) Fanfare For The Common Man

(2)(3)(9)
Geoff Downes (key,drum programming)
Greg Lake (vo,b,g)

Greg Lake のオフィシャルブートレグ第2弾。(1)(5)(6)(8)(12)(13)がライブ録音。(2)(3)(9)は、Greg Lake と Geoff Downes の RIDE THE TIGER プロジェクトとして1988年夏に録音されたもの。(3)は以前発表されたものとは別バージョン。全6曲を録音しながら、それぞれが母体バンドのリユニオンに呼び戻されて、遂にアルバムの完成を見ずに終わった。5曲までが RIDE THE TIGER 名義で発掘されたが、残る1曲は ELP の「IN THE HOT SEAT(1994)」に収録された「Street War」の原曲になったと言われている。

GREG LAKE / FROM THE UNDERGROUND... (1998)

2007-10-05 23:44:19 | GREG LAKE
(1) Touch And Go
(2) A Man, A City
(3) Don't Go Away Little Girl
(4) Medley: Still You Turn Me On / Watching Over You
(5) Daddy
(6) Retribution Drive
(7) Heat Of The Moment (Recorded on December 7, 1983 in Japan)
(8) The Score
(9) Love
(10) Affairs Of The Heart
(11) Learning To Fly
(12) Lucky Man
(13) 21st Century Schizoid Man

(7)
Geoff Downes (key,b.vo)
Steve Howe (g,b.vo)
Greg Lake (vo,b)
Carl Palmer (ds,per)

Greg Lake のオフィシャルブートレグ。(3)(9)を除く全曲がライブ録音。その中には、John Wetton の代打で ASIA の一員として日本公演をこなした際の(7)も含まれている。Geoff Downes との RIDE THE TIGER プロジェクトの産物である(10)は、ELP の1992年7月25日ニューヨーク公演の録音。

THE GREG LAKE RETROSPECTIVE (1997)

2007-10-05 22:00:47 | GREG LAKE
* Subtitled "FROM THE BEGINNING"

(1) The Court Of The Crimson King
(2) Cat Food
(3) Knife Edge
(4) Lucky Man
(5) From The Beginning
(6) Take A Pebble Emerson
(7) Still
(8) Still...You Turn Me On
(9) Jerusalem
(10) Karn Evil 9: 1st Impression Part 2
(11) I Believe In Father Christmas
(12) C'est La Vie
(13) Closer To Believing
(14) Watching Over You
(15) 21st Century Schizoid Man

(16) Nuclear Attack
(17) Love Too Much
(18) It Hurts
(19) Retribution Drive
(20) The Lie
(21) Let Me Love You Once
(22) Manoeuvres
(23) I Don't Know Why I Still Love You
(24) Touch And Go
(25) Lay Down Your Guns
(26) Love Under Fire
(27) Money Talk
(28) Black Moon
(29) Paper Blood
(30) Affairs Of The Heart
(31) Daddy
(32) Heart Of Ice

(26)(27)
Geoff Downes (key,programming)
Michael Giles (ds) on (26)
Greg Lake (vo,g,b)

Produced by Greg Lake and Geoff Downes

Greg Lake の2枚組のアンソロジーアルバム。Greg Lake は、1983年12月の日本公演を前に John Wetton が解雇されると、“歌えるベーシスト”としてその代役を務めた。John Wetton 同様に KING CRIMSON 出身であり、Carl Palmer とは ELP で同じ釜の飯を食べた関係。その ELP の残る2人が Robert Berry と組んで 3 を興した頃、Greg Lake は Geoff Downes と共に RIDE THE TIGER プロジェクトに取り組んでいた。John Wetton が1989年に ASIA を再興した際に、Geoff Downes の復帰が遅れたのも、このプロジェクトのためである。このアンソロジーアルバムには、未発表の RIDE THE TIGER マテリアルである(26)(27)のほか、同じくプロジェクトの成果物でELP のアルバム「BLACK MOON(1992)」に収録された(30)などが収録された。(26)は John Payne も「AQUA(1992)」で歌っている。RIDE THE TIGER は全部で6曲録音され、いずれもアルバムクオリティのデモトラックに仕上がっていることが後日確認される。