昨夕、ニュース番組の特集で不思議な光景を目にした。
広島の里山、野生のキジが人になついている。
だれかれ構わずというわけではない。
見知った人にだけ警戒心を解くという。
番組に出演されていた写真家の浅尾省五氏のFBに番組未公開映像のりんくがあったので貼っておきます。
⇒https://www.facebook.com/shogo.asao/posts/1047293038721384?pnref=story
ふと以前読んだ本を思い出した。
『ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯』 (クレア・キップス 著/梨木香歩 訳)
筆者・キップスが障害を持ったスズメ・クラレンスとの出会いから極度の老衰で亡くなるまでの
12年と7週と4日の記録が綴られている。
筆者が「誇り高いスズメ」として扱い大切に育てたクラレンスは驚くべき能力を開花させる。
スズメ界の奇才・クラレンスと心優しいピアニスト、寡婦キップスの種の垣根を越えた交流がそこにある。
若葉マークバードウォッチャーとして野鳥について書かれている本を何冊か読んだが
この本は人間側の心の持ち様についていくつもの示唆が含まれていて
突き詰めると哲学的示唆ともいうべき格調高いものであった。
それにしても、障害のあるスズメを12年間育てるとは並大抵のことではない。
個をもったスズメとして敬意をもってクラレンスに接するキップス、
それにこたえるかのようにスズメとしては特出した才能が花開くのだ。
幾分特殊な事例(障害を持ったスズメのヒナの保護)ではあるが
人と動物の関係性もこちら側の接し方次第でいくらでも変わっていくものではないか。
そんなことを感じる。
スズメ・クラレンスもTVでみたキジのケンちゃんも人間側に相手の尊厳を守るといった
謙虚な姿勢があっての関係性なのだ
・・・そんなことを思ったのであった。
わたしもバードウォッチングの際、観察対象である野鳥に対して
謙虚な気持ちで向き合いたいと思う。
ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯 (文春文庫) | |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
蛇足なんだけれど
読んだ本の中でデータ作成を先行して野鳥に対して愛のない本はきらいだった。
愛という抽象的な言い方はよくないかもしれない。
同じ時を生きる個をもったひとつの命といった感性を文中に感じることが出来る本が好きだった。
何冊かの本を読んだおかげでバードウォッチングのとき自分がどのような立ち位置で捉えているのかが
クリアになったように思う。