真理の喧嘩日記

子宮頸がん闘病記録

入院前夜そして入院

2002年10月27日 00時00分00秒 | Weblog
入院前夜。
学くんと斉くん、3人で病院の隣町で飲む。
明日午前10時入院だ。

家を出る時、まめぢと足袋にキッスしてきた。
まめぢはこの数日間いらいらと落ち着きがなかった。
何かを察知していたのだろう。
足袋は無邪気にじゃれついてくる。
わたしが帰って来る頃には大きくなって
子猫じゃなくなってるだろうな~。
覚えいてくれるかな?
「いい子でお留守番していてね。」

その夜は3人でベロベロになるまで飲んだ。
最後に飲んだバーを出たのは午前3時頃だったと思うが、記憶にない。
ただ、かすかに残った記憶の中でわたしはワンワン泣いていた。
初めて声を上げて泣いた。
道端に座り込んでただただ阿呆のように泣いていた。
学くんと斉くんがどうしていたのか分からない。
きっと黙ってそばについていてくれたんだろう。
わたしが泣き止むのをずっと待っていてくれたのだろう。
翌日わたしの掌には3人分のハンカチが握られていた。
二人は完璧に二日酔いだった。
わたしは大丈夫。
肝機能は良好らしい。

入院手続きをする。
個室(一般病棟の個室)を希望していたが
満室とのことで4人部屋に決まった。
一般病棟の場合、重篤な患者を優先して個室に入れるのだ。
空いたら移動、ということだった。

その時には思いが至らなかったが
空いたら、ということは
患者が無言の退院をしたら、ということだったのである。

わたしは見かけによらず小心者なので
見知らぬ人たちと同室だと眠れない。
十二指腸潰瘍で入院していた時もそうだった。
変なところで神経質だから困る。
少し憂鬱な気分だった。

荷物が山のようで学くんも斉くんも
「これ何人分?」とぶつぶつ文句を言う。
二日酔いで頭も痛いらしい。

4階B棟。案内係りの人についてエレベーターに乗る。
ドアーが開く。・・・・
フロアーのロビーに点滴をつった人がふらふらと歩いているのが目に入る。

ほとんどの人の毛髪がない!!
たじろいだ一瞬だった。


部屋は小奇麗でさっぱりとしており、淡いピンクの花の蕾の壁紙。
仕切りのカーテンは爽やかな緑のチェック。
床は象げ色のリノリュームでピカピカに磨き上げられている。
窓の外は大学側なのでコンクリートの建物ばかり
見るべきものは空だけだ。
因みにここの窓は午後9時になると施錠される。
自殺防止らしい。
個人専用にロッカー1つとテレビ(カード式)。
テレビの台、これが整理戸棚になっている。
それにベッドテーブル。
引き出しが1つついている。
部屋に1つ洗面台。
ロッカーに衣類をしまい、整理戸棚に洗面道具やタオルを入れる。
いっぱいいっぱいになってしまった。
テレビの周りにはまめぢと足袋の写真たて。
Hの娘さんが折ってくれた折鶴。ティーセット。
あとは、ポータブルCD、CD、携帯の充電器、筆記用具、国語辞典・・・
既に置くところがない。
最低2ヶ月の入院なのだ。
これでも必要最低限のもののつもりだが・・・。

カッターシャツとスパッツに着替える。
「入院患者っぽくないよ、それ・・・」
「いいじゃんか、服装の注意なんて入院のパンフに書いてなかったもん!」

検査が入っていることもあって、
二人には引き上げてもらう。

検査の呼び出しがあるまで、事務の女性がB棟の案内をしてくれた。
部屋の前が丁度バスルームになっていて
ホワイトボードに時間割が仕切られてある。
空いている希望の時間枠に自分の名前を書き入れる。
先着順だ。
一人の割り当て時間は30分。
バスタブにお湯を溜めて入るにはちょっときついかも知れない。
その裏側に共同の洗面所がある。
そこにはシャンプー台が1つあり
希望者は看護師にシャンプーしてもらえるとのこと。
クリーニングは1日1回。
洗面所にあるバスケットに名前を書いて依頼書と共に入れておく。
すると翌日には仕上がって各人に配達してくれるらしい。
バスタオル1枚20円。パジャマ100円。安い。
但し、絹、ナイロンは不可。
その向かいがトイレ。
ウォシュレットなのが嬉しい。
隣が採尿室。
尿を計量する機械と蓄尿しなければならない人のためのビニール袋がおいてある。
これは伊東の市民病院と同じだ。
でも大きな違いは、匂いが全くしない。
どこを見ても感じることだが
掃除の行き届いていることには感心させられる。

「海老沢さんも今日から尿の計量してくださいね。」
「はーい。」
腎臓機能をチェックするためだそうだ。
機械に尿を入れれば自動的に記録してくれるのだが
いちいちコップに採尿しなければならないのが面倒だ。


ナースステーションの脇にワゴンがあって
氷水、お茶、お湯のポットがそれぞれ3個ずつ置いてある。
トレーの中には常時蒸しタオルが入っていて
使い放題だそうだ。
使い終わったタオルは洗面所のバケツの中に入れる。
毎週火曜日に体重測定。
座ったまま計れる体重計があった。座ってみる。
54,5キロ。服を着たままとは言え体重が増えている!あら・・・。