まんぼ~任三郎 フィジー編(1)

2022年04月28日 | その他

ブラ! まんぼ~任三郎です。

今回の舞台になったのは、笑顔の楽園フィジー。

眩しい太陽や青い海に恵まれて、底抜けに明るいフィジアンが暮らす
ことで知られた南太平洋のビーチリゾートです。

フィジーの離島では1島1リゾートが基本になっており、世界中からの
旅人や観光客が楽園での滞在を楽しんでいます。

笑顔の魔法にかかった人は、必ずまた帰ってくると言われるフィジー。

今回も旅行会社の研修グループが滞在しており、つまみ食いが発生
したようです。 どうせ犯人は彼でしょうけどね。

私は今池君とナンディのリゾートに滞在していたのですが、急遽現場に
向かうことになりました。

さぁ、どのような事件だったのでしょうか。



※ 犯行の様子

「ランチは美味しかったけど、デザートがなかったんだよな」

「水着には着替えたし、集合時間までは少し時間があるから、お隣の
部屋にお邪魔してみますか」

「ほんの 小さな 出来心~♪ っと、ほら見つけた」

「ワインとフルーツがあるけど、今から海で泳ぐことだし、ワインを飲む
のはやめておこう」

「リーダーとして、みんなの模範となるようにモラルを守るべきなんだ」

「お酒を飲んで海で泳ぐなんて、危なくて常識から外れてる」
「ゲストがそんなことを絶対にやってはいけない」

「いや、ゲストである以前に、人としてやってはいけないんだ」

「だから、フルーツだけにしておこう」



パクっ モグモグモグ パクパクっ モグモグモグ

「美味しい~。 南国のフルーツはやっぱり美味しい」

「レストランで食べるフルーツもいいけど、なんでつまみ食いで食べる
フルーツはこんなにも美味しいのかな」

「自分だけが得をしてるって感じが、味を2割増しにするんだろうな」

「さぁさぁ、食べるものを食べたら、こちらの部屋には用事はないので、
速やかに退散するのがベストだろう」

「んっ!人の話し声が近づいてくるぞ。 誰かが部屋に来たのでは!」

「これは良くないことになった。 ピンチ、ピンチ!」



「はぁ・・・、 まだ帰らないのか。 ただオシャベリをしてるだけなのでは」

「このままだと自分の部屋に戻れないじゃないか」
「あまりにも集合に遅れると、誰かが様子を見にくるかも知れないしな」

「困った、困った。 ちょっと考えてみることにしよう」

ポクポクポクポクポク・・・  チーン!

「あっ! そういうことか。 冷静に考えるとピンチと言うほどでもないな」

「この状況であれば簡単に乗り切れるけど、またあの変な刑事が来る
ような気もする。  いや、アイツは絶対に来るだろう」

「アイツが来るなら、こっちにだって考えがあるんだよ」

「フッフッフッ 早く来い まんぼ~任三郎」



※ まんぼ~任三郎と部下の今池君

今池君さ、なんで離島に滞在するツアーに申し込んでないの。

モルディブでも離島リゾートだったし、私はタヒチでもボラボラ島に滞在
したかったと言ったよね。

フィジー旅行の予約をお願いする時にアイツ・・・。
じゃなくて、祐輔さんに言ったの?

タヒチ旅行の時は、本当はボラボラ島に滞在したかったですってさ。

「いえ、タヒチは結果的にボラボラ島に滞在できたので、そのあたりは
特に言いませんでした」

「でも、タヒチ旅行が楽しかったですとは言いましたよ」



君はそこが抜けてるんだよ。

もう少し、相手の立場になって考えなさい。

あのね、祐輔さんは我々が捜査のためにボラボラ島に滞在したことを
知らないんだよ。

つまり、ボラボラ島の滞在が楽しかったことが伝わってないわけ。

なのに、君はタヒチ旅行が楽しかったと言ったんだよね。

だから、彼は良かれと思って今回のフィジー旅行でも我々に離島滞在
のないツアーを手配したんだよ。



それにね、アイランドリゾートとか、島という文字が日程表にないことを
疑問に思わなかったの。

あれ、おかしいな。 とかさ。

もしかして・・・ とか。 嫌な予感がするな・・・ とか。

「いえ、ナンディが離島だと思ってました」
「世界地図で見ればビチレブ島も離島みたいなものですし」

「もう、いいじゃないですか。 今から捜査で離島に行けるんですから」

「ほらほら、見て下さい。 あれが事件のあったリゾートですよ」



※ まんぼ~任三郎と研修グループのリーダー

ブラ! どうもどうも、まんぼ~です。

あなたは常連と言うか、常習と言うべきか。
やっぱり、リーダーが率いる研修グループがこちらにご滞在でしたか。

「なんだ、誰が来たのかと思えばまんぼ~さんですか」
「あなたがここに来たってことは事件の捜査なんでしょ」

「悪いですけど、まだスタッフとの話が終わりそうにないので、何か用事
があるなら後にしてくれませんか」

そうでしたか。 もう、許してあげたらどうですか。

「そうですね、本人も反省してることだし・・・ ってコラ」
「なんで僕が怒ってることになるんですか」

「完全な遊びじゃないんだから、仕事に関連することもやってるんです」

「日本から持ってきたお菓子をレセプションまで持って行く用事もあるし、
旅行会社にも色々と事情があるんですよ」

そうでしたか。 許してもらえるといいですね。

「いい加減にして下さいっ!」



お邪魔をして申し訳ありませんが、捜査の話をさせて頂きます。

フィジーではコテージタイプのお部屋のことをブレと呼ぶそうですね。
あまり言い慣れないので、お部屋と呼ぶことにしましょう。

あなたの宿泊しているお部屋が20番で、そのお隣のお部屋が19番に
なっています。 これは間違いありませんね。

状況を分かりやすくするために、スタッフからリゾートマップを借りて
きました。

20番と19番は左右対称のようなお部屋になっていて、広さや設備は
全く同じだと伺っています。

ご存知のように、出入口はテラスのところにあるドアだけです。



このような状況を踏まえて、1つ目の質問です。

19番の部屋には誰も宿泊しておらず、夕方にチェックインするゲストの
ために、スタッフがフルーツとワインを運び入れました。

どうやら、ハネムーンのゲストに対するサービスだそうです。

フルーツがお部屋に運ばれたのが13時頃で、14時頃にスタッフが用事
を思い出し、再び19番に入るとフルーツが何者かに食べられていました。

このような事件なのですが、リーダーの13時から14時頃の行動内容を
教えて頂けますか?

まぁ、どうせウソだらけでしょうけど・・・。





「全員でレストランでランチを頂いて、終わったのが13時頃です」

「それぞれが部屋に戻ってからビーチに行く準備をして、13時30分に
集合をしてから、みんなでシュノーケリングをしました」

「他のメンバーも同じようなことを言ってるのではないですか?」

えぇ、確かに他のメンバーも同じような証言をしていますが、あなたは
30分ほど集合に遅れたそうですね。

なぜ、この時は集合に遅れたのですか?

「そうだったかな。 そう言えば少しだけ遅れたかな」
「部屋に戻ってからビーチに行くまでの細かな流れは覚えてませんよ」

「ゲストにのんびりとしたフィジータイムを楽しんでもらうために、あえて
時計を置いていないリゾートも多いです」

「ですから、少しくらい遅れても不思議ではありません」



ですが、お部屋には旅行用の携帯時計を置いてますね。

そして、リーダーの自覚なのか、あなたが集合時間には遅れたことは
一度もないとメンバーが言っています。

それなのに、なぜかこの時だけは集合に遅れたのですよね?

時計が故障している様子はなく、着替えを済ませてスムーズにビーチ
に行けば、30分も遅れることはないかなと・・・。

部屋で昼寝をするだけの時間があるとも思えませんし・・・。

「やけに集合に遅れたことを突っ込んでくるじゃないですか」
「フィジーでそんな細かいことを気にしてるのは、あなただけですよ」

つまり、集合に遅れたことは事件と密接に関係している・・・。

とは思ってません。





2つ目の質問です。

13時20分に清掃のスタッフが20番に入ったところ、あなたはお部屋
にいなかったと証言していますが、どちらに行かれてましたか?

「僕は自分の部屋にいましたって」

「フィジアンのスタッフが言ってるならアテになりませんよ」
「大らかな人たちですから、時間を勘違いしてるのかも知れませんし」

「13時20分も14時20分も、フィジーではどっちでもいいことなんです」

「まんぼ~さんも何日か離島に滞在してみればいい」
「何でも日本のような感覚で物事が進むと思ったら大きな間違いですよ」

「何と言われようと、僕は自分の部屋で準備をして、そのままビーチに
向かいました」

ってことは、つまみ食いをして19番に隠れていたと・・・。

いえ、独り言なので気にしないで下さい。





「さり気なくやってるつもりか知りませんけど、バレバレですよ」

「さっきからジロジロと部屋の中を見てますけど、別に見られて困るもの
なんてありませんから、どうぞ続けてください」

「奥にあるミニバーやゴミ箱のチェックもお忘れなく」
「捜査に協力をするのは善良な国民の義務ですからね。 ハッハッハッ」

「それよりも、たまには僕からも質問をさせて下さい」

「19番にフルーツを置いていったスタッフは、立ち去る時に部屋に鍵を
かけたんですか?」

ええ、そのようですね。

フルーツを運び入れて、部屋に鍵をしてから立ち去ったと言ってます。





「19番の鍵が壊されたり、ドアのガラスが割られたといったことは?」

そのようなことはありませんが、14時に再びスタッフがやってきた時
には、なぜか出入口の鍵が開いていたそうです。

「鍵が開いていた件は良く分かりませんが、少なくともスタッフが鍵を
かけたのですね」

「それなら、僕だけでなくゲスト全員のアリバイは成立しているような
ものではないですか」

「大変失礼ですが、フルーツを置いたスタッフが一番怪しいのでは」
「スタッフであれば、鍵で自由に出入りができますしね」

「フンっ、さすがの刑事さんも、今回ばかりはダンマリですか」

「当然ですよ。 僕は食べてないんだからね」





「隅々までチェックして気が済みましたか」
「スタッフ以外の人が19番に入ったことを証明するのは難しいのでは」

ええ、そのカラクリさえ分かれば、事件はほぼ解決したようなものです。

「解決できたらいいですね~ さぁ、邪魔者は帰った帰った」

「まんぼ~さん、僕がフルーツを食べた犯人だったとしても、割を食う
ことにはならないと思いますよ」

「コレ、いいセリフだと思いませんか?」

ええ、割を食うどころか、あなたには臭い飯を食って頂くつもりです。

どうも、ご協力をありがとうございました。
(チッ、今回はやけに強気じゃないか)

まんぼ~任三郎 フィジー編(2)へと続く




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