お母さんのお助けブログ 中高生編

息子が見えない。娘がわからない。でも、母親の心が柔らかくなれば、きっと違うものが見えてきます。ほんの少し、なごむ時間を。

わが子は私に似ていない?

2009-04-19 | お母さんの気持ち
親とは、知らず知らずのうちに「自分と同じもの」をわが子に求めているものです。
ですから、自分では文句を言っているつもりではなくても、「うちの息子(娘)は、私に似てないのよねえ・・・」と言っている時の顔は、大抵が不満げで、少なくとも「ほめている時のセリフ」ではないでしょう。
 自分の中での「良いポイント」は、是非似て欲しいと願い、「悪いポイント」は何とか修正して伝えたい!これがわが子への親の思い、愛情だと思います。
 確かに、大人になれば自分の悪い点はよく見えているものです。それまでの人生の中で、その悪い面が災いして失敗を繰り返していたとすれば、まさに自分自身で苦笑の思い・・・とても恥ずかしいと思いつつ、その面があったが故の失敗談を時には開示し、是非とも真似をしないように!と教えます。

 しかし、そういう素直な面がある一方で、親はみな、意識しないうちに「自分に似ていない部分を見とがめ、どうもこの子の『この部分(似ていない部分)』は理解不能だ・・・」と感じているもの、なんですねえ。
いったい、それはなぜでしょうか?
それは・・・知らず知らずのうちにきっと、わが子のことを常に「理解していたい!わかっていたい!」からなんでしょうね。
自分と同じ思考サイクル、自分と同じ価値基準、自分と同じような反応をする子であれば、親は努力をしなくても、わが子を理解できます。少なくとも、「うちの子は理解不能だ。うちの子は宇宙人のようなものだ」と思わずにすむわけですよね。

 でも。
はたして、わが子が自分のコピーのようでないといけないでしょうか?

 私には、親としての苦い経験があります。
私の父親は非常に厳しく、私は幼い頃からよくぶたれもしました。今思えば、教育的見地から叱られたというよりも、むしろ、父の機嫌に左右されて叱られていたように思います。
 ですから、私と母は常に父の顔色を見て、自分のことよりも最優先で父のことを考え、父にとって居心地の良い家庭の雰囲気を作ろうとしていました。
私は、一人っ子ということもあり、常に父にとっての良い娘、自慢の娘であるために、最大限の努力をしてきました。そういう意味では、私にとっての家庭、家族とは、「もっとも神経の使う、一番リラックスのできない空間」だったのです。
 幸いなことに当時は、それが私にとっての「普通の生活」でしたから、それほど自分が不幸な?生活、気詰まりな生活、自由のない生活をしている意識はありませんでした・・・

 しかし。
私が母になって、息子や娘に対して考えたことは・・・家庭というものが、彼らにとって、もっともリラックスできる場所であってほしい、ということでした。
それが子どもであっても 家から一歩外に出れば、「たくさんの敵」がいるものです。敵という表現が適切でなければ、「味方ではない人」と言えば良いでしょうか。
だからこそ、家庭の中くらいは、ほっとできる場所、リラックスできる場所、気を遣うことなく、自分が自由に振舞える場所であるべきだ・・・そう考えました。

ところが・・・です。
私が思った通り、「家庭をあたたかい雰囲気」にするために母親として家庭づくりをしていくと・・・当然のことですが、子ども達は親に対して最低限の気配りをする程度で、とてもリラックスして、自由奔放に、楽しそうに暮らしていました。
 すると・・・困ったことに、私の心の中に「イラッとする部分、何だかむしゃくしゃする部分」が生まれてくるんです。私がそれを望み、それを欲していたのに、子ども達が自由で、楽しそうに暮らしていると、何と言うのでしょうか・・・親としての気持ちではなく、「かつて子どもだった自分」の心が頭をもたげてきて、そして無意識のうちに思うんですねえ・・・
 「何なの?いったいこの子達は、何者なの?どうしてこんなに楽しそうなの?どうして、自分の思ったことを、パッと言葉にしてしまうの?何で平気で、親を相手に緊張感もなく話すの?・・・」
 そうなんですねえ・・・
わが子なのに、彼らの態度、彼らの様子は、まるで「私が子どもだった頃」の自分とは全く違う、「別世界の思考を持った、全く違う子ども達」でした。
 私はとても戸惑いましたし・・・自由に会話する彼らに腹もが立ちましたし・・・
思えば、あの頃の私は、「私とあまりにも違う反応、あまりにも違う世界観を持ったわが子達」を「ちっとも私には似ていない子、わが子ながら理解しにくい子」と考えていたのだと思います。そして、そういう「自分と違う」ということに対して、『生理的な嫌悪感』を感じていた・・・そんなふうに思うのです。不思議な感覚ですよね・・・
 でも、いかがでしょうか?きっとみなさんにも、わが子に対してなぜか「ねたむ思い」を持ったことはないでしょうか?
 きっとそれは、親でありながら、かつて自分が「子ども」の立場であった時の心理に心が支配される瞬間があるからなのでしょうね。

 自分とは違う・・・自分に似ていない・・・そう思うことが、わが子への「優しい思い」「優しい眼差し」に影を落としてしまう・・・
 気持ちをコントロールすることは難しいものです。けれど、「なるほどねえ、今の私はそういう心理状態なのねえ・・・」と苦笑し、客観的に自分を眺める時間は、きっと、良い親子の関係につながっていくことでしょう。