アナタが居て私がそこに居た…

当ブログは管理人*魔禰(まかね)*の生きた足跡と死ぬまでの言い訳の記録です
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2006年02月27日 11時43分21秒 | 小説「アナタが居て私がそこに居た・・・」
セミの必死の鳴き声が聞こえた  ・・あの日は凄く熱かった・・・
喉は渇き、汗まみれで・・・とても日差しの眩しい日 
 ・・あの日私は私の存在を話してしまった・・・



薫(かおる)「この前もね、はっきり言われちゃったの・・・『お前なんかおろしちまえば良かった。金ばっかり食いやがって!』・・・てね」

時間って概念が個々によって違う価値観をもって流れているなら。
私はあの時自分の時を・・・1秒を3秒ほどに長引かせてしまっていたんだろぅ?

その時の私の心臓はドラムの様に高鳴り。肉体は締め付けられていた。
世界が白黒になって、セミの鳴き声も今は耳にも入らなかった。



やけに世界が息苦しくて、怖かった瞬間だ・・・







桂木(かつらぎ)「大人っていつでも自分勝手だよな。」
   ・・・魔法の様だった・・・
さっきまで背中越しに心臓の音が聞こえてしまいそうな緊張感も、指一本動かせない重圧も・・


まるで空の雲が晴れてゆく様に優しく晴れ渡っていった。
私はどんな言葉が返ってくるのか解からなかったのに、
やけに安心をして、胸から熱い想いが溢れて。
それは静かに私の涙になった。





桂木(かつらぎ)「大人って汚いよな?子供に適当な優しさ振りまっておきながら、いざって時にはすぐ見放して・・・そのくせこっちがそれすると総出で罵声をはやし立てて。」





桂木(かつらぎ)「ちょっとごめんな」
急に桂木が私を抱き上げてきた。私は思わず
薫(かおる)「いやぁ!!」
不覚にも普段出したことの無い、恥ずかしい声を出してしまった。

桂木(かつらぎ)「あははははは、マジレアな声聞いちゃった☆」
顔から火が出るってこんな思いなんだろぅなぁ?
私は顔を真っ赤にして泣き出した。
薫(かおる)「うぁぁ・・馬鹿ぁ、死ね・・」
桂木(かつらぎ)「うぁわぁ!ごめんごめん。まじごめん!!」
泣き出した私に慌てて桂木は屋上の隅におろして、頭をさすって謝り続けた。
今思えば、人前で無くなんて何年ぶりだったんだろう?
恥ずかしくて泣いたのなんて生まれて初めてだった。

桂木(かつらぎ)「はい!マイスペース。マイスペース。」
急に桂木が背中から抱きつく様に腕を組み出した。
人に抱き付かれるのは慣れて居なくて私は今度は違う緊張感でドキドキしてた。


薫(かおる)「・・えっ?  ・・な・何これ?」
桂木(かつらぎ)「マイスペースだよ。絶対に他人に侵されない自分の領域の事。あれ?知らない?スペースウォーズって映画でやってたんだけど?」

薫(かおる)「はぁ?意味が解かんない。なにそれ?」
桂木(かつらぎ)「このスペースやると安心すんだってよ。映画でやってて、女の子泣き止んでたからさ。・・・泣き止まないかな?って」
困った顔で頭を掻いている桂木が異常に馬鹿に見えてしまった。



薫(かおる)「あははは。馬鹿じゃないの?はっ・・あははははっは・・お腹痛い・・はは」
桂木(かつらぎ)「あぁ!!笑ったな?笑ったな??この美形桂木様を!??お前この野郎!!」

足でがっちり捕まって逃げ場の無い私に桂木は脇腹やわきの下をくすぐってきた。
触られるのに弱い私には拷問だった。

薫(かおる)「あはははははははははっははははごめん!はははごめんなさい!!あははあは。ごめんなさい!!」
桂木(かつらぎ)「解かれば宜しいのじゃ。もっとわしを敬いなさい」
炎天下の中屋上で暴れて貧血で酸素不足な私にはきつかった。
私は少し熱いコンクリートの上に横たわって息を切らせていた。
薫(かおる)「はぁはぁはぁ・・・ふうふぅ・・・・・ばか・・」
ぐったりとぼんやりとした意識の中。私は空を見ながら汗だくになっていた






桂木(かつらぎ)「何かイヤな事あったら俺ん家来いよ。話くらいしか聞いてやれないかも知れないけど、いつでも聞いてやるからさ。」




















・・・空が青かった。雲が気持ちよさそうに、白く自由に泳いでいた
世界はとても気持ちよさそうに時間を流していた。






でも・・・僕のココロはその瞬間
今まで溜め込んでいた真っ黒い意識を吐き出してしまった。

僕のココロは、桂木の一筋の優しさと言う希望にすがってしまったんだ。
僕のココロはあっけなく決壊してしまった・・・











私はとても冷え切った気分の中、半開きの目で空を仰ぎ
ゆっくりと口をあけ、僕の悪意を解き放った。。。



薫(かおる)「桂木・・・   ・・・私ね・・・もぅ汚れちゃったの・・・」






きっとコレは彼を試したいと想った私の救われたい気持ち。

きっとコレは彼を突き放す最後の言葉。。。
私はすべてを失ってしまわなければ生きていけないと言う
私を生かそうとする悲しい生存意識




そっと私から逃げて・・・
じゃないと私はアナタを殺さなきゃ生きていけなくなっちゃうから。


自分がどうせ捨てられるなら、最初っから希望なんて持ちたくない




桂木(かつらぎ)「・・えっ?」




重い重いこの住みづらい世界。
私は何も手に入れてはいけない孤独なボロボロの人形・・
手にしたらきっと、今度はソレが私のココロを切り裂いてしまうから・・・

焼き爛れ、腐食するその前に・・私はすべてを壊してく。


コレは運命・・生きる為の憎しみを持った意識・・・







神様・・・私をどうかもぅ。静かに眠らせてください・・・




薫(かおる)「・・私の身体ね・・・もぅ・・玩具 ・なんだ・・・」



青い青い空の下。
雲はずっと白いのに・・・

私のココロは汚れてる・・・私の意識を無視して汚れてく・・・

青い青い空の下・・・私はすべてを壊してく・・・・・




-続く-


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