アナタが居て私がそこに居た…

当ブログは管理人*魔禰(まかね)*の生きた足跡と死ぬまでの言い訳の記録です
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2006年03月07日 11時24分43秒 | 小説「アナタが居て私がそこに居た・・・」
世界は素晴らしい・・世界は常に輝いている・・・

在り来たりの安い言葉・・きっとその言葉を喋った人間に悪夢は無いのだろう。
私にはその言葉を理解出来ないし、むしろ馬鹿なんじゃないかと思う

世界は美しい博愛を求めているだけで、
事実としてこの世に悪意が住み蔓延っているのだから・・
「世界は希望に満ちている。」

私からすれば、不細工が「私は綺麗なの」って言ってるようで腹が立つ。
本当の現実を見もしない他人は、いつでも奇麗事を好んでらっしゃられる。

しょせんは、苦労知らずのボンボンの発言か、空想の漫画の台詞だ・・・
それとも私と言う存在は無視でのお話かしら?




6畳ほどのボロい木造の建物・・・まるで此処が呪われているかのように、
此処にいると息苦しくなる・・息が出来なくなって・・苦しくて・・・

まるで泥沼にはまってしまったような・・・
私はどんよりと歪んだ重々しい空間にいる・・・
生臭い匂いとオヤジ臭・・・其処が私の売り場になっている・・・

学校が終わり、夜中に呼び出され、客が来る・・・
希望こそが狂気になってしまう空間で、私は自我を保たなければならない。
私は最初っから神様に見放されてしまった存在なんだろう・・・


性欲で頭一杯の男に、無理やり入れられて痛みしかない性行・・
痛いって言ったところで理解すらない・・

私はこの地球が嫌いだ・・・人類が嫌いだ・・・
性行の後の後始末も私の仕事・・・屈辱も不思議と慣れてしまったものだ。

私がこの世で安心できる瞬間は寝る瞬間だけ・・
でも、必ず目は覚めて・・・私にはまた新しい悪夢が用意されている・・・

そして学校では虐め・・この世呪わずに私は何を呪えばいいのだろう?
悪夢のみ続き・・永続この暮らしなら本当に死んだほうがましに思える・・・



顔が病んで行くのがわかる・・深く深く・・刻まれた悪意・・
私には何も大切なものが無い・・桂木以外何も無い・・




でも・・もぅ。私には無理らしい・・
手が震えながら凶器を離してくれないのだ・・
本当に理由がわからない・・・本当に理由が見つからない・・
「何故殺してはならぬのか?」私はここまで踏み潰されグチャグチャにされているのに・・
何故他人はそれを自分にされるのを許さぬのか?

解からない・・世間も・・他人も・・人間も・・・
解からないのだ・・何故殺してはならないのか?
何故殺してはならないのか?

震える手とぼんやりとした瞳がうなずいている・・・
もはや思考は停止してしまった様だ・・
ただ・・目の前で何かが動く・・

赤く暖かな雫をぶちまけながら転げまわる肉が酷く気持ち悪くも美しく舞う。
泣き叫びのたうち回る肉に、私の腕は容赦が無かった。。

一刺し、一刺し、、また一刺し・・何度ものた打ち回っていた肉も、
気付くと静かになっていた。暖かな赤い雫を噴水のように流しながら。
肉は静かにそびえていた・・・



さぁ・・行かなくちゃ・・さぁ・・行かなくちゃ・・
私の中で次を目指して歩いてた・・その肉を背に、私は向かってた・・


思考はもはや動き出してしまった・・
私は映画館に来た御客の様にただ過ぎてゆく物語をぼんやり見てるだけ・・
私の思考は止まってた・・



晴れ晴れとした昼下がり・・私の携帯がなっていた。
ぼんやりした私の意識が電話を取った・・
薫(かおる)「桂木?どうしたの?・・エヘヘ  ・・私ねぇ・・世界を壊したの・・今すっごく気分がいいんだぁ☆・・・えっ?今ぁ?屋上だよ。・・・・うん・・うん・・今私よくわかんないんだ。ごめんね?頭回らなくて・・今度は家に向かって家の世界を壊すんだ。だから忙しいの、ごめんね?またね?エヘヘ。愛してるよ。桂木・・・」

落とした携帯から桂木の叫び声が聞こえた・・
私はもぅ・・止まれないんだ・・止まる理由がわからないんだ・・

ごめんね桂木?・・・・ごめんね?




空はいつものように青かった・・
白い雲が自由に進んでいて・・とっても熱くて・・

・・涙が止まらない・・涙がこぼれないように上を向いてるのに・・
私の涙はいっぱい。いっぱい・・溢れてた・・・



もぅね。どうしたらいいのか解からないんだ・・・
この救いの無い人生をどうすればよかったのか?

私はわからないんだ・・・
血だらけで凶器だけ離さない手が私に言ってきた・・
「コレが終わればすべて終わる・・そしたら私もやっと終われる・・」


10月19日・・晴れ時々赤い雨・・  人殺し注意報。
今日この日・・私のココロが死んだ日になった・・



肉の名は「里美」・・まだ18年しか生きていなかったらしい。



-続く-


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