兼題「根釣り」
岩陰に根釣りの一人見えかくれ
夕波に糸引き寄せる根釣りかな
一人づつ陣取る岩の根釣りかな
朝露やつま先ぬれし宿の下駄
崖越えのシヨットの決まる秋茜
蟋蟀の厨に立てばつと止まる
季題 「初秋」
初秋や雨の前線とぎれなし
初秋や千早の村を雲流る
大神の黒き鳥居や秋の空
裏庭に蝉の出口のおちこちに
梅花藻や旧家の鯉の赤よぎる
秋風や自転車の子等一列に
季題「昆虫一切」
バッタ大群アフリカの村喰いつぶす
かなぶんや夕暮れ時の停留所
翅開き閉じて開きて天道虫
宙に舞う尺取虫や枝の先
石仏の頭に休む糸蜻蛉
緑陰を大塔めざして列みだる
兼題 「みどりの日」
雲流る大和三山みどり日
山の辺を歩きたくなるみどりの日
みどりの日こよなき鳥の声振り来
山藤の色たおやかに崖っぷち
東塔の 落慶法要風薫る
スティホームや亡父の躑躅満開に
ウイルスが地球揺るがす蜃気楼 大変な事に 我慢して乗り越えられる事を願うばかりです。
兼題「桜蕊降る」
桜蕊降る廃校の滑り台
石仏の頭に降りし桜蕊
御室御所踏石に降る桜蕊
青丹よし佐保川曲る花筏
芽柳の影揺れゐたり蔵屋敷
今回は久しぶりの吟行万博の日本庭園へ
五百回の記念の句会で後で千里中央にて
中華料理をご馳走になりました
フカヒレスープからいろいろみな美味しく
和気あいあいの一日でした
春立や句会は万博五百回
春時雨句会の宴時忘れ
太陽の塔高々と雀の子
ものの芽に話掛けつつ二歩三歩
春雨や鴨の泳跡心字池
本棚に掛かるはしごや菜の花忌
コピット19地球揺るがす春疾風
兼題「二月 如月」
如月や水面に塔の影落とす
如月やざわめく藪の真夜の風
下萌えや信楽焼きの窯覗く
下萌えや靴紐緩む熊野道
ひび割れし白鳳の鐘春夕焼け
お山焼き塔の相輪浮きたてり
季題「笹鳴き」
笹鳴や黒猫の耳つと動く
笹鳴きのとぎれとぎれや四阿に
篁の日差しやわらぎ笹子鳴く
滝道の茶店閉ざされ笹子鳴く
日本晴れの初富士ラインの友へかな
七草粥のほど良き味をお代わりす
令和の初句会 今年も良い句がたくさん出来ますように
初詣 初富士 先生と皆さんの笑顔楽しい句会でした
まわりのあらゆる皆様自然の恵みに感謝してまいります
四方錦令和の帝都入る
兼題「寒」
寒晴れの篁の風抜けゐたり
日溜まりに寄り添ふ鳩や寒の宮
朝まだき上弦の月寒に入る
禅寺の渡り廊下の寒の風
大根焚き口とがらして雲二つ
干し柿の影に重さのありしけり
季題「神無月」
神の留守朽ちし回廊鳩一羽
大雨の決壊重なる神の留守
日本列島荒ぶる雨や神無月
校倉を出でし宝物冬隣
天平の美と技に触れ文化の日
夕暮れて古刹に灯る石蕗の花
季題「葡萄」
葡萄棚の波打つ河内山低し
すき間なき葡萄一房選びけり
朝まだき鋏持ちだし葡萄棚
山の辺の朽ちたる塀や烏瓜
風そよぐ甘樫の丘花芒
明日を待つ足の痛みや夜の秋
兼題「○○忌」
夢二忌や柳通りの下駄の音
去来忌や蓑の掛かりし庵来し
手賀沼の松の並木や広重忌
秋空やドローンの探る百舌鳥古墳
指の傷やっとほどけし桃を向く
百一回高校野球や子規忌かな
兼題「馬肥ゆる」
近江路のサイロの高さ馬肥ゆる
馬肥ゆる北の大地の夕陽負ふ
タピオカを含む口元馬肥ゆる
神木の温もりよよと秋高し
鞍馬駅の天狗の面や初紅葉
法師蝉一色となる糺の森