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maffnaff living

世界のどこかでこっそり生きているマフナフのちょっぴり孤独で気ままな生活をご紹介します。

世界で一番暑い夏 五輪峠のおもひで

2007年08月05日 | 旅のおもひで
今は昔、ある暑い夏の日、わたくしは独り、五輪峠を歩いておりました。

五輪峠は岩手県は江刺市と遠野市の境にある峠で、いまでは車の交通もまばらです。わたくしはその峠道を、重い旅荷を背負って、えっちらおっちら歩いておりました。

その日は大変暑い日で、日差しが容赦なく照りつけました。ふきだした汗は、またたくまに塩の結晶となって、首筋がじゃりじゃりしました。あたりの空気はむされて、よどんで、鳥の鳴き声だけがこだましていました。

それでも、木陰は涼しい空気で満たされていました。わたくしはいくどもいくども木陰でしゃがみこんで休憩をとりながら、峠道を登っていきました。

持っていた1リットルの麦茶はまたたくまに飲み干してしまいました。この麦茶は峠の入り口の農家で、おばあちゃんに頼んでいただいたものでした。この時ほど麦茶がおいしく、尊く思えたことはありませんでした。

五輪峠を越えて、遠野へ下り、わたくしは小友の集落へといたりました。峠道を下り終えたところで、てきとうにマットを敷いて寝転び、しばらく夏の空を眺めていました。

とんびが、飛んでいたでしょうか。

こんな一日が、わたくしにとって一番暑い夏でした。


r: Rumelaj / Besh O Drom

ロンドンのおもひで ふと立ち寄ったマーケット

2007年05月19日 | 旅のおもひで


ロンドンを歩き回ったときに、鉄道の高架下で開かれていたマーケットに立ち寄りました。食料品のマーケットで、活気にあふれてとてもにぎやかでした。野菜、果物、肉、チーズ、魚。さまざまな食材が、山のように積まれています。マーケットは見ているだけでも楽しいものです。

当然、その場で食べるものも売られています。あたりには香ばしいにおいがたちこめています。ところが私の胃は直前に食べたフィッシュ&チップスに占領されていて、すっかり胸焼けをおこしていました。なにも食べる気が起きません。私は目と鼻でマーケットを味わうことにしました。

偶然たちよったマーケットでしたが、とても印象に残っています。ふだんからあんなマーケットで、お店の人と話をしながら買い物ができたら、生活はさぞかし素敵になるだろうと思います。


v: Nobody Cares for Me  /  The Be Good Tanyas


ロンドンのおもひで ~ロンドンアイ

2007年05月03日 | 旅のおもひで

ロンドンアイはテムズ河のほとりにある巨大な観覧車です。建設当時は賛否両論あったそうですが、今ではロンドンのパノラマを一望できる人気のアトラクションとしてすっかり定着したようです。

ロンドンアイの搭乗券はウェブで購入することができます。しかし私のロンドン滞在は短く、予定もはっきりしていなかったので事前の購入はしませんでした。ロンドン滞在は週末にあたっていたため、当日の搭乗はほとんどあきらめていました。

その当日、テートモダンへ行く途中でロンドンアイへ立ち寄ってみると、予想通りものすごい人の列です。チケット売り場も観光客でごったがえしています。

即座にあきらめました。私はちょうどトイレに行きたかったので、チケット売り場のある建物へと入っていきました。すると入り口で老人の男性に声をかけられました。

「失礼、あなたはおひとりですか?」
「はい」
「よろしければ搭乗券を差し上げたいと思うのですが」
「え、ロンドンアイのですか?」
「そうです」
「ありがとうございます。とても乗れないと思ってあきらめていたところです」
「さあ急いで。すぐにあの列に並びなさい」

老人はチケットを手渡して、順々にカプセルに乗り込んでいる人の列を指さしました。

「ありがとうございます」

私はぺこぺこ頭を下げてお礼をすると、すぐに列の最後尾につきました。大変な幸運を喜ぶと共に、こみあげてくる尿意に焦りも感じていました。このままではせっかくの眺望を味わう余裕もなくなってしまうのではないかと心配でした。ロンドンアイは一周するのに(たしか)20分くらいかかるのです。

しかしカプセルに乗り込み、地上から離れて眼下にパノラマが広がり始めると、そんな心配は吹き飛んでしまいました。360度の素晴らしいロンドンの眺望を楽しみました。街はどこまでもどこまでも広がっているように見えました。

再び地上に降り立つと、私は急いでトイレへとかけ込みました。そのあと人ごみの中に老人の姿を探してみましたが、見つかるはずもありませんでした。

おじいさん、素晴らしいおもいでをありがとう。


v: Inspiration(ilham) / Souad Massi

イギリスのおもひで (ウェルタースオリジナル)

2007年03月27日 | 旅のおもひで

イギリスの旅の功労賞は、Werther'sOriginal(ウェルタースオリジナル)にあげたいと思います。

ウェルタースオリジナルは日本でも広く流通しているバター味のキャンディですが、この濃厚な甘みが私の旅を支えてくれたのです。

イギリスへの旅は期間にして12日間、おおよその移動を自転車で行うというものでした。
とにかく冬は日が短いので、日中あんまりのんびりとし過ぎるわけにはいきませんでした。くわえてイギリスは物価が高く、値段相応の食事にありつくことが出来る確立はあまり高くないように思えました。そこで私は朝食と夕食をたっぷりとって、昼間はスナックでしのぐことにしました。スナックとはハイカロリーなエナジーバーの類や、ウェルタースオリジナルでありました。

いつもポケットにウェルタースオリジナルを忍ばせ、在庫が切れかかってくると雑貨店で買い求めました。他の飴には目のくれませんでした。

結果、12日間の旅で私は五袋ほどのウェルタースオリジナルを平らげました。

私にとってウェルタースオリジナルは、思い出の味がします。


b: Amantito / Titi Robin

京都のおもひで その二 (おおきには魔法の言葉)

2007年03月14日 | 旅のおもひで

京都へは修学旅行も含めて三回しか行ったことがありません。今回もごく短い小旅行だったわけですが、その中で「おおきに」という言葉がとても印象に残りました。

「おおきに」を辞書で調べてみますと、つづりは「大きに」で、非常に、大いにという意味の副詞であり、関西で広く使われていて「おおきにありがとう」の略である、とあります。

京都では店員さんが「毎度おおきに」と言ったり、「おおきに、ありがとうございます」と言ったりしているのを耳にしました。

「おおきに」の母音がooiiで、あまり口を動かさずに発音するせいもあるのでしょうか、とても柔らかで耳に優しく響く言葉です。堅苦しさもありません。
私は聞くたびにとても良い気分になりました。

「おおきに」という言葉には魔法の響きがあって、コミュニケーションの潤滑油となっているのではないでしょうか。

ですから自分の経験上もっともひどいホテルに宿泊したチェックアウトの時、フロントの人に無愛想なのに「おおきに」と言われてしまうと、まあいいかと思ってしまうのでした。


v: What Are They Doing In Heaven Today / The Be Good Tanyas