ケースワーカーうぐぐ日記~生活保護~

生活保護ケースワーカーの愚痴スペース

生活保護とは(-_-)

2005-11-09 22:11:01 | 生活保護
生活保護の理念
生活保護とは、憲法25条に規定されているとされる「健康で文化的な『最低限度』の生活を営む権利」、いわゆる「生存権」を具現化した法律「生活保護法」による公的扶助です。
その目的は、憲法25条の理念を実現するのみならず、その延長線上にあるとも考えられる「自立を助長」する点にあります。
保護の制度・仕組を丁寧に説明してあるHPもあるので、ここでは簡単に重要な基本原則を説明します。
ちょっとくだけた表現も使用いたしますが、ご勘弁を。


生活保護の基本原則
「生活保護法」(以下、法という)の基本原則のうち、特に重要なものは以下のとおりです。

*無差別平等の原則(法2条)
「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。」
本条のポイントは①「国民」②「無差別平等」です。
①については、生活保護は権利的側面が強いとはいえ、恵与的側面もあることから、保護の対象を「日本国民」に限定したものと考えられます。実際の運用上は、法制定よりほどなくして出された厚生省からの通知によって「当分の間、外国人も保護する」こととしています。
この通知のおかげで、半島にルーツを求めることができる方々をはじめとした「在日外国人」についても、保護を適用することが可能となりました。
ちなみに、「当分の間」が数十年に亘っております。
②が曲者です。非常に曲者です。「過去は一切問わない」という意味。
簡単にいうと「アリもキリギリスも強姦魔も元ヤクザも、現時点で保護の要件に全て該当すれば保護してあげるよ」ということです。
自活の努力を重ねたにもかかわらず運に恵まれず生活が困窮した人も、不適切な消費生活によって(遊蕩して)生活困窮に至った人も、一般市民生活の平穏・平安を著しく損ねた(今後も損ねる可能性がある)人も、「等しく」保護の対象となり得るのです。
例をひとつ挙げると、交通事故等の賠償金数千万円をまたたく間に競艇や競馬などのギャンブルで「すって」しまい、生活に困窮した人も保護の対象になり得る訳です。
社会生活の大原則といえる「自己責任」や「信賞必罰」とは、かなり掛け離れた発想の条項と言って良いでしょう。

*補足性の原則(法4条)
簡単に言うと…
①活用し得る資産や能力を事実上「全て使い切った」「全て出し切った」のに、結果的に生活が困窮している者を保護の対象とする。
②保護よりも民法上の扶養義務が優先され、例えば子や兄弟・親など扶養義務者から援助が貰えるのであれば貰わなければならない。それらの援助によっても厚生労働省が定める基準に足りないとなれば、不足分を「生活保護」の制度によって補ってあげる。
③生活保護以外で生活の足しになる扶助を受けることができる法律があるならば、まずはそちらの法律が優先され、それらの法律による扶助によっても厚生労働省が定める基準に足りないとなれば、不足分を「生活保護」の制度によって補ってあげる。
…ということです。


生活保護による扶助の種類
で、生活保護法による扶助の種類ですが、以下の8種類が定められています(法11条)。

(1)「生活扶助」
食費や衣料費や光熱費など、基本的な生活費としての扶助です。

(2)「教育扶助」
義務教育課程在学者に対する扶助。
教科書代をはじめとする「教材費」や「給食費」はおろか、「学級費」や「制服代」なども支給対象です。

(3)「住宅扶助」
借家や借地などに住む人への家賃や地代を限度額内で支給したり、持ち家に居住する上で相応の影響ある問題が生じたような場合に補修費用を支給したりする扶助。
家賃の限度額については、厚生労働省が各自治体ごとに指定するようです。

(4)「医療扶助」
医療費に対する扶助。
保護を受ける前まで国民健康保険加入対象者であった場合は、健康保険の対象となるべき医療行為について、医療費が「全額無料」となるという素晴らしい制度です。
社会保険加入者の場合は、自己負担の「3割分が無料」となり、これまた結果的には「全額無料」となります。いずれにしても、かなり「オトク」な制度です。
このため、受給者が「大した病気でなくても」病院に行きまくる傾向にあり、国・自治体はかなりの財政負担を強いられています。相当問題だと思います。

(5)「介護扶助」
介護保険制度の枠内で行われる扶助です。
これまた、基本的に自己負担はありません。

(6)「出産扶助」
出産やそれに先立って実施される検診などに対する扶助。
指定された病院でしか産めませんが、これまた基本的に自己負担はありません。
生まれた子供に対して(「国の宝」である子供を大切にしようといった発想の)保護による手厚い保障が待っていることと相まって、出生率の向上に寄与してるんじゃないでしょうか…。

(7)「生業扶助」
生業確保のために援助してもらえるという扶助です。
平成17年度から高校生の「授業料」や「教科書代」、「制服代」や「学級費」などが、「生業扶助」として支給されています。
また、条件は厳しいですが、運転免許所得費用も支給対象です。

(8)「葬祭扶助」
葬式代として支給される扶助。
①生活保護を現に受けている世帯内でお葬式をする場合や②一定の扶養義務者内にお葬式をあげてくれる人がおらず、民生委員などがお葬式をあげる場合に対象となります。



生活保護の大雑把なところは、こんな感じです。突っ込んだ内容は他のHPで調べて頂きたいのですが、概要はお分かり頂けるはずです。