ケースワーカーうぐぐ日記~生活保護~

生活保護ケースワーカーの愚痴スペース

「孝」の朝鮮人 「忠」の日本人 ~民族性の問題~

2005-12-28 00:37:33 | 「外国人」と保護を愚痴る
在日1世の母親について、生活保護の申請手続をしに事務所を訪れた焼肉屋経営の長男(62)の話である。
前回の続きですね。

さて、最初その長男とは上司と2人で面接していたのだが、外国人への生活保護は「日本国の義務ではない(=在日外国人の権利ではない)」ため、少々イレギュラーであり、いくつか出てきた確認事項を解決すべく上司は面接室から離れた。
後は長男と僕との二人きりである。

「在日韓国人・朝鮮人」問題に興味を持ち、半島ウォッチャーでもある僕
彼等の日本政府・日本人への不満は「的を得たもの」もあるが、「恣意的な曲解」や「無知ゆえの誤解」が非常に多いのだ。突き詰めて行けば、論理破綻・矛盾だらけである。
彼等在日半島系人が何を不満に思い、何を誤解しているかのポイントは押さえている。
そこで、今回は彼等への同情的スタンスを採り、長男と生活保護云々とは直接関係ない話をする。
僕は彼等の言う「歴史問題」に興味を持っており、大学時代には在日半島系人の知人も身近にいた旨伝えた。
と、長男は相好を崩し、「我々の歴史に興味を持って頂いてありがとうございます」「お若いのに珍しい」などと言いながら、少し頭を下げた。
それからお互い年齢差はあるものの少し打ち解けて来て、日本人と朝鮮人(半島系人)の違いを長男が語り始める。
日本で生まれ、日本で育ったとは言え、親から朝鮮人として受け継いできたものは抜けないし、そのことで日本人との絶対的な違いを感じるのだという。

それは、

「日本人は『忠』を重んじる。我々朝鮮系の人々は『孝』なんですよ。」
ということらしい。
確かに正解である。的を得ている。
日本人は「忠義」を重んじ、ときとしては「親族」よりも「主従関係」などの社会的な繋がり・立場を優先する。
「公」を大事にするのだ。
対して、朝鮮人は「孝行」を重んじ、社会的な立場などよりも「親族」「身内」を何より大切にする。
朝鮮人が有する「孝」の理念においては、常に親孝行が求められ、子が親に逆らうことなど考えられない。
長男自身、片脚を失い障害者となっていた父が死ぬまで怖かったという。
アジア的な非常に良い話ではないか。
かつての日本もそうだったのであろう。

しかし、

「親族」優先・「身内」優先の社会は非常に厄介だ
「身内」の範囲は場面や状況によって、コロコロ変わるからだ。
例えば、日常生活においては親や兄弟が「身内」であり、これら親族を大切にするという美談レベルで済む。
これが韓国国内という範囲で捉える場面となると、「身内」は同郷の人々すなわち「地域」であり、熾烈さと根深さで有名な「地域対立」という政治・経済面で深刻な事態を生じている。「○×道出身者と△□道出身者は気が合わず、仲が悪い」などといったレベルでは済まないのだ。
さらに国内問題を超えると、「身内」は「国民」「自国」となる。
「身内」である「国民」「自国」優先なのであるから、「外国」を理解しようとする動機付け・スタンスは非常に弱いものとなってしまう。
その「外国」が「日本」であった場合は、なおさら「身内」たる「韓国」が優先され、「日本」に対しては何をしても良い…といった極端なスタンスになりかねない。
彼等は「日本」がただひたすら「朝鮮人」を搾取し、「朝鮮」の発展を阻害したと学校で教わり、強固な共通世論となっているからだ。
馬鹿馬鹿しい話である。
なお、結果として日本人の方が遵法意識が高く、韓国人は低いということにも繋がっている(最近の日本人は韓国人に近づいているかもしれない)。

長男は「日本人は『忠』の精神が強すぎます。逆に韓国人は『忠』の精神が薄いので、ドライですよね。会社から会社へ亘り歩くなんて、普通ですよ。」「顔もよく似てるんですけどね、民族性というのは抜け切れないですよ。」とまとめていた。
長男の分析(誰かからの受け売りかも知れないが…)は正しいが、その「違い」「民族性」は上記のような由々しき事態の根源を担っていたりするのである。

民族性というのは確かにある
そして、島国住人である日本人は、その重大性・影響力に対して、余りに想像力が乏しい。
同じ東アジアであっても民族性の違いは現に存在する。
マスコミや政府などに、そのような観点・切り口が余り見られないのは恐ろしいことである。

母はかつて日本人だった~在日1世~

2005-12-26 23:17:52 | 「外国人」と保護を愚痴る
在日1世の女性について「生活保護」の申請を受理した
その女性は40年来リュウマチを患い、特にこの20年間は入院生活を続けている。
関節という関節は人工関節で、常に介護・見守りが必要な状態。
大正15年生まれだが、頭はまったく呆けていない。
貧乏な家庭を支えるため学校に行かせて貰えず、日本語の読み書きは全くできない。

実際に申請手続をしたのは長男(62歳)である。
その長男は焼肉店を営み、かなり繁盛している。
しかし、10年程まえに中華料理店を出して失敗。1億円の負債を抱える。
今は何とか負債を6千万円にまで減らした。

兄弟全員で母であるその女性の面倒をみて来たが、兄弟は皆経済的に苦しく、それを悟った母の希望で「生活保護」という選択肢を採ったということらしかった。
聞けば、10年程前に亡くなった父親も片脚のない障害者だったという。
高給を求めて働いていた工事現場で事故に遭ったという話であった。

長男は62歳という実年齢よりは5歳以上若く見える。
家が貧しくて中学校までしか出ていないというが、生真面目な紳士である。
父も母も懸命に働いて来たし、自分も懸命に働いている。
だから余計に「お国の世話にはなりたくない」と彼はハッキリ言う。
その文脈で彼はこう続けた。
「日本人というのは本当にムゴイ民族ですよ。我々やお父さんお母さんがいかに不当な差別を受けてきたか、いかに苦労してきたか…」

「ええときだけ、それもいっときだけ日本人扱いして散々おだてといて、戦争に負けたら僕等は外国人扱いですか!?」
今回長男である彼は兄弟の代表として「生活保護」の申請に訪れている。
そのような嘆きは「生活保護」には関係なく意味がない。
彼も頭脳明晰な常識人だけあって、そのことはよく分かっている。
しかし、在日1世である父母の苦労を見てきているだけに言わずにはおれなかったようだ。
在日1世は「日本人」であったのに、戦後数年にして「朝鮮民主主義共和国」か「大韓民国」に属する在日外国人となり、差別は単なる「民族差別」ではなく「国籍問題」にまで発展し、さらなる苦汁を味わってきたのだ。
そのことを我々若い人間にも知っておいて欲しい、とにかく聞いて欲しい…そんな雰囲気が感じられた。

だが、

「日本籍」を日本政府によって奪われたというのは誤解である
日本政府は当初、「台湾」・「朝鮮」出身の在日者に対しては、人道上・国際法上の観点から「中華民国籍」・「朝鮮籍」か「日本籍」を選択できるように配慮すべきと考え、国会での政府答弁でもそのようなやりとりがなされている。
にもかかわらず、戦後成立した「朝鮮民主主義共和国」と「大韓民国」がお互いに対抗意識を燃やしつつ、南北両政府が「朝鮮半島出身者における日本国籍の放棄」を日本政府に一方的に宣言したのが真実である。

これに対して日本政府は朝鮮半島の両政府に抗議したのは勿論であるが、正論にもかかわらず無視されたのであった。サンフランシスコ条約締結・発効の前であり、厳密に言うと「無効」ではあるが、敗戦国であって国際的な発言権がないに等しい当時の日本に「正論」を押し通すだけの力はなかった。
南北政府はメンツにこだわり、半島出身在日者の立場を真剣に考えていた訳ではなかった。
このような無法・無慈悲を働いた片翼である韓国政府が「国交締結時の対日賠償権放棄」に対して「無効」であったなどと語るとしたら、呆れるほかない。

今の「在日」問題にまで思いを致したとき、半島出身在日者の状況を真剣に受け止め将来を考慮に入れるといった観点の殆どないままに、ただひたすら南北の張り合いの中で「メンツ」にこだってしまった未成熟な南北両政府の姿勢はより責められるべきであろう。
その責任は「朝鮮民族自身の未成熟」にあったとしか言いようがない。

ハングル教育に選挙権、そして被選挙権
これらは戦前の朝鮮半島において、間違いなく保障されていたものである。
「台湾」では「現地語」は公的に認められていなかったにも関わらず、「朝鮮」では「現地語=朝鮮語」が学校教育をはじめとする公的な場面で認められていたというのだ。
「その証拠に朝鮮総督府編纂のハングル教科書があり、日本内地にて刷られた国政選挙のポスターにハングルも併記されていた」という事実がある。
しかし、そのような歴史的事実をもって、在日1世の人々に対して「違和感」を覚えるのは酷である。
朝鮮併合により我々には到底推し量ることのできない鬱屈を半島の人々や半島出身の人々は感じたに違いない。
いずれにしても、一般の在日1世達は、南北両政府のお陰で「日本国籍」を奪われたなどと知る由もなかったのかもしれないし、それを知っていたところで「その意味を理解し、その事態に抗う術はなかった」のである。

「すぐに国に頼ろうなんて発想は我々の世代にはないですよ」
長男はそう言う。
民族・国籍云々は関係なく、日本の最近の若者へ反感があるようだ。
にもかかわらず、自分達が「生活保護」という国の制度に頼ろうとしている自己矛盾が歯がゆいらしかった。
なかなか興味深い人物・事例であり、今後も投稿することとする。

ケースワーカー刺殺事件の顛末

2005-11-12 15:30:54 | 「ケースワーカー」の境遇を愚痴る
市職員刺殺で懲役15年 長崎地裁、68歳男に判決

長崎市高島町の高島行政センター内で5月、生活保護担当の職員を刺殺したとして殺人罪などに問われていた同市高島町、無職大津秀敏被告(68)に対する判決公判が11日、長崎地裁であり、林秀文裁判長は「犯行は執拗(しつよう)で悪質。自治体の生活保護行政に及ぼした悪影響は非常に大きい」として懲役15年(求刑懲役20年)の実刑判決を言い渡した。 判決によると、大津被告は5月20日午前9時15分ごろ、同行政センター1階の相談室で、生活保護の相談に応じていた長崎市市民福祉課職員谷崎健一郎さん(当時56)の胸や腹などをナイフ(刃渡り14センチ)で数回刺し、殺害した。 大津被告は捜査段階で殺意を認めたが、初公判から一転して起訴事実を否認。弁護側も「殺意はなく、傷害致死に相当する」と主張していた。 これに対し、判決は「確定的な殺意があった」と認めた。 (2005年11月11日13時41分 朝日新聞)

生活保護の相談に応対した長崎市職員を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた同市高島町の無職、大津秀敏被告(68)の判決公判が11日、長崎地裁であり、林秀文裁判長は懲役15年(求刑懲役20年)を言い渡した。 論告によると、大津被告は5月20日、生活保護の申請に訪れた同市高島行政センターで、市民福祉課の主査、谷崎健一郎さん=当時(56)=の胸などをナイフで刺し、殺害した。 数日前からセンターを訪れ、谷崎さんに生活保護について相談をしていたが、ギャンブルなど生活態度をたしなめられ、激高したという。 公判で大津被告は「殺すつもりはなかった」と殺意を否認。弁護人は傷害致死罪の適用を求めていた。(共同) (11/11 13:21 産経新聞)

今年5月20日に起きたケースワーカー刺殺事件の判決が昨日出ました。
生活保護が貴重な血税をジャブジャブ費やしている制度である以上、一般市民の理解を得られないような生活保護受給者の言動は注意しなければならない。それは公務員の責務であり、生活保護ケースワーカーとしての職務の一環である。
僕も生活態度に問題のある多くの受給者に口頭で注意することは日常的な業務となっている。
お客(受給者)の中にはアル中や元(?)シャブ中や精神障害者など発作的な行動に移るおそれのある方も少なくないし、場数を踏んで彼等の扱いに慣れた今日であっても、やはり応分のリスクはあるなと実感した事件であった。
それにしても、自己の非を省みることなく激高して殺人を犯した者が懲役15年か。求刑は20年だったのになあ。
刑務所はどこも満杯だし、被告も高齢なので、実際は10年ほどで娑婆に戻ってきて、今度こそ生活保護を受給するのであろう。
仮釈放というやつですね。

刑務所上がりの老人を支える制度となれば、生活保護しかない
これで先々本当に生活保護を受けるとなれば、何たる皮肉。
生活保護の申請を希望していたような68歳の老人に損害賠償なんて出来ないだろうし、谷崎健一郎さんは本当に殺され損ではないか!!まったく何てことをしてくれたんだ!!! 書いてて、改めて怒りが込み上げてきた。

谷崎健一郎さんのご冥福を謹んでお祈りし、ご遺族にお悔やみ申し上げます。

「メル友」世帯~メル友男性を追う母親達~

2005-11-11 23:06:36 | 「母子」と保護を愚痴る
生活保護受給世帯に母子家庭が占める割合は少なくない
理由は色々あるが、世間の皆様が思いつく理由のほか、未婚の母が増えたことや、母子家庭に対しては生活保護費の基準が高いために保護からの離脱が困難で長期化することなどが挙げられる。
不倫の子や行きずりの行為で出来た子達を母親とともに生活保護で養う例も多い。
また、例えば母子5人・家賃相当額込みで毎月30万円という生活保護基準を上回る所得を稼ぐ母親などそうそう存在しないだろう。
当事務所は最も高い基準(1級地…)ということもあるが、なにしろ毎月公称30時間(実際は倍以上ですが、人事部門の締め付けがきつく、申告させて貰えない…)の残業をしている僕の給料(手取り26万円)よりも多い訳ですから。グスン(泣)。。
そんな母子家庭の中にも、一定のカテゴライズが可能であり、特に我々が呆れかえることの多いカテゴリーの人々がいる(あくまでも我が福祉事務所での話ですが((汗)))。

それが通称「メル友」世帯である
「メル友」世帯の定義は、「子供を一人または数人抱える独身の母親が主として携帯電話などの「出会い系」サービスなどを通じて知り合った遠方の男性と盛り上がり、その男性の居所の近辺に転居して交際を図るも夢は叶わず、見知らぬ土地ゆえに生活基盤の確立が困難で生活に困窮したなどの理由によって、生活保護を受給するに至ったもの」とでも言えようか。

彼女達は離婚・未婚の母親であるが、若くか弱い女性として少なからず男性を求める(らしい)。
求める先は今流行りの「出会い系」であり、そこで彼女達曰く「メル友」になった男性を追いかけて引越しまでしてしまうのだ。
もともと資力に乏しい母子家庭がわざわざ見知らぬ土地へ転居するというのは、もうそれだけで家計は破綻に近づく。
頼みのメル友男性達も、気分転換のために時々会って性交の快感を味わいたいだけで、まあ「遊び」のことが多い。資金援助はおろか、面倒臭がられて交際そのものが途絶することが通例である。
そうなると、もう「生活保護」しかない。で、「縁もゆかりもない我が市に落ち着く」訳ですね。

最近(平成17年4月~)だと「京都府城陽市」「神戸市北区」「兵庫県高砂市」「滋賀県大津市」「東京都西東京市」といった所からメル友男性を追いかけて転居した方々がたちまち生活困窮し、生活保護申請、無事生活保護適用となっております。しかも、なぜか3人以上の子持ちが多いので、20万円以上の手取り(家賃込み)を確保して悠々自適に暮らしている方が多いです。

20万円以上のお金がタダで貰える…
多いでしょ?ホンマたまらないですわ。呆れるし、腹も立つ。
児童扶養手当のみを受給しながら、働いて子供を育てている多くの一般シングルマザーが聞いたら絶対「キレる」でしょう。
その気持ち、僕等現場のケースワーカーも同じです。
で、「メル友」世帯の元の住所が当事務所職員の出身地だったりすると、攻撃(?)対象になったりする訳です。ストレスの捌け口というか(笑)。
最近の例でいうと、京都市・神戸市・高砂市出身の職員がたまたまいて、しっかり攻撃対象になっております。
京都出身の係長に「また変なん来ましたよ~」なんてボヤいてみたり、神戸や高砂出身の同僚に「訳分からん母子世帯を送り込んでくるなよ~」なんて濡れ衣を着せたりですね。
係長も「あほ、わしゃ一応京都市内出身じゃ」などと必死に抗弁してらっしゃいましたけど(笑)。
神戸の子も「僕は灘ですから」などと必死の抗弁。
高砂の子も「よう言うてですわぁ」などと播州弁で切り返してきたり。
こんな風に、上司・部下または同僚間でアホなことを言うております(反省)。

「メル友」世帯の一般的傾向
「メル友」の母子家庭は、前述のように経済的に恵まれているので一般に自活・自立意欲が低く、また、子供の養育があるためになかなか就労が困難だと主張する割には子供の養育がきちんと出来ていない場合が多いため、かなり手がかかります。
母子とも無茶苦茶です(泣)。。
禁止されている車を入手して乗り回すわ、昼間から酒は飲むわ、貯金して東京ディズニーランドに遊びに行くわ(僕は行ったことない…)、まあ生活保護を受けていない一般の母子世帯が聞けば怒るようなことが多いです。
『この現状を納税者の皆様に知っていただきたい』(ドンっ[机を叩く音])などと激しく思う今日この頃です。  

またメル友男性を確保して、どっか他所へ転居してくれないかなあ…。
「メル友」世帯としての特徴をフルに発揮して欲しい。。

おっと口が滑りました。これは冗談。

おやすみなさい。

余りに苦情が多すぎる~挿花額界~

2005-11-10 23:16:22 | 「学会」「宗教」と保護を愚痴る
「なんで、あいつらをワシ等の税金で養わなアカンねん」

生活保護ケ-スワーカーをしてたら嫌なことは幾らでもあるが、一般市民からの苦情を聞くのは僕にとって最も嫌なことのひとつだ。
なぜ?って、物の言い方はともかく、大概の場合「その苦情内容が正論であって僕個人としては全く同じ意見であるにもかかわらず」生活保護法を実際に運用するケースワーカーの立場からすれば、その苦情の対象行為が必ずしも生活保護法(及び規則・通知・通達等)違反ではないため、何も出来ないからだ。
中でも電話・投書を問わず、最も多い苦情は「学会」関係者についてのもの。
皆さんがご存知かどうか知らぬが、生活保護受給者における「学会」会員の割合は驚くほど高い。
たとえば、僕が抱える約100ケースのうち、1割強から2割弱は「学会」会員である(酷いときには25%近いときもあった)。
彼等の自宅にいくと、たいてい先祖の遺影よりも一段高い位置に「先生」の写真が飾られている(位置は先祖の遺影と同じ高さだが、「先生」の写真が一回り大きいというパターンもある)。その写真には「○○の○○先生」とキャプションが付けられていたりする。一番印象に残ったのは「我が人生の目標は『学会』員の勝利の人生である」「日本を挿花の王国にする」などといったキャプションだった。いずれも「先生」のお言葉らしい。
彼等は福運をもたらす「先生のお手紙」(○教新聞)を購読し、「○○極まる日○の悪行を告発する」など何処か左翼調、または学生運動調の記事を熟読しているらしい。
この辺りまでは(個人的好悪はともかく)「信教の自由」の範囲内であろう。僕がとやかく言うことでもない…と思う。

問題は働く能力があるにもかかわらず働くことなく「学会」活動や「選挙」活動に励む「学会」関係の保護受給者が相当数に上ることである。

働く能力があったとしても様々な事情で職に恵まれず「生活保護」の受給に至るというケースは少なからずある(無論、そういう人の場合は基本的に長期間の保護には値しない)。
このようなケースで「学会」関係者の場合、「早期就労による早期自立」を指導しても実際は「学会」活動に燃え燃えだったりすることがよくあるのだ。「地域集会」だけでなく、「布教」活動にも燃え燃えなものだから、当然目立つ。一方で、いくら僕達が「生活保護」受給の事実が分からないように気をつかっていても、定期的に訪問調査を行うものだから、周辺の地域住民にはそれとなく知れ渡ってしまう。
そんな彼等は選挙のときともなると諸葛亮党のために燃え燃えに頑張る。普段、僕達ケースワーカーが訪問した際などは「学会と諸葛亮党とは何の関係もあらへんからね」「完全に別団体」などと言う彼等なのに、小学校時代同学年やった人とか(同窓会名簿とかを見やるんでしょう)文字通りタダの「知人」にまで電話したり、家に行ったりする訳で、目立つどころの騒ぎではない。熱の入れように差こそあれ、これが選挙の何ヶ月も前から続く者もいる。

どう見ても五体満足なオバチャン受給者達が働きもせず、上記のような活動に勤しんでいるのも真実なのだ。
これを一般市民が見て憤らないはずがない。すなわち、生活を「生活保護」に依存して(我々の税金に依存して)働くことなく「学会」活動に諸葛亮党後援活動に専心しているってことだもん。
だもので、僕も「元気なのに働かんと、そないな活動ばっかりしてるのはどうかと思うよ」と注意に及んだことは何度もある。僕の場合、受け持ちのお客さん(受給者)が理解してくれて、半日はパート仕事に出るようになったという前進・改善ケースもあった。
しかし、同僚のケースワーカーの場合は違った。「学会」活動(選挙後援活動にも!?)熱をあげる「学会」関係の受給者に注意したところ、市会の議員から上司に苦情(いや注意、いや指導、いや抗議、う~ん)の電話が入ったのだ。その議員はもちろん諸葛亮党所属である(同僚ケースワーカーに注意を受けたお客が御注進に及んだものと思われる)。
詳しいやりとりは分からないが、上司は「『学会』と『諸葛亮党』とは関係ないはずでは?」と思わず反問しようかと一瞬考え、現にそう言いそうになったらしいが、後が怖いのでやっぱりやめて、ただひたすら謝ったということである。

確かに首を傾げる面がなくはないが、個人的にはそんなお客達を一方的に責める気にもなれない。
「学会」関係でも頑張ってるらしい僕の受け持ちのお客さんの中には、何だか「ギュウ」と抱きしめてあげたくなるくらい可愛らしいお婆ちゃんもいる。
ただ、一般市民からの苦情が多い背景というのは、御理解頂けたと思う。

ちなみに本文最初の一行は「某民生委員」が僕に向けて放った言葉である。
周辺住民からの苦情がその民生委員のもとに集まったこともあって、余程腹に据えかねたと見える。

生活保護とは(-_-)

2005-11-09 22:11:01 | 生活保護
生活保護の理念
生活保護とは、憲法25条に規定されているとされる「健康で文化的な『最低限度』の生活を営む権利」、いわゆる「生存権」を具現化した法律「生活保護法」による公的扶助です。
その目的は、憲法25条の理念を実現するのみならず、その延長線上にあるとも考えられる「自立を助長」する点にあります。
保護の制度・仕組を丁寧に説明してあるHPもあるので、ここでは簡単に重要な基本原則を説明します。
ちょっとくだけた表現も使用いたしますが、ご勘弁を。


生活保護の基本原則
「生活保護法」(以下、法という)の基本原則のうち、特に重要なものは以下のとおりです。

*無差別平等の原則(法2条)
「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。」
本条のポイントは①「国民」②「無差別平等」です。
①については、生活保護は権利的側面が強いとはいえ、恵与的側面もあることから、保護の対象を「日本国民」に限定したものと考えられます。実際の運用上は、法制定よりほどなくして出された厚生省からの通知によって「当分の間、外国人も保護する」こととしています。
この通知のおかげで、半島にルーツを求めることができる方々をはじめとした「在日外国人」についても、保護を適用することが可能となりました。
ちなみに、「当分の間」が数十年に亘っております。
②が曲者です。非常に曲者です。「過去は一切問わない」という意味。
簡単にいうと「アリもキリギリスも強姦魔も元ヤクザも、現時点で保護の要件に全て該当すれば保護してあげるよ」ということです。
自活の努力を重ねたにもかかわらず運に恵まれず生活が困窮した人も、不適切な消費生活によって(遊蕩して)生活困窮に至った人も、一般市民生活の平穏・平安を著しく損ねた(今後も損ねる可能性がある)人も、「等しく」保護の対象となり得るのです。
例をひとつ挙げると、交通事故等の賠償金数千万円をまたたく間に競艇や競馬などのギャンブルで「すって」しまい、生活に困窮した人も保護の対象になり得る訳です。
社会生活の大原則といえる「自己責任」や「信賞必罰」とは、かなり掛け離れた発想の条項と言って良いでしょう。

*補足性の原則(法4条)
簡単に言うと…
①活用し得る資産や能力を事実上「全て使い切った」「全て出し切った」のに、結果的に生活が困窮している者を保護の対象とする。
②保護よりも民法上の扶養義務が優先され、例えば子や兄弟・親など扶養義務者から援助が貰えるのであれば貰わなければならない。それらの援助によっても厚生労働省が定める基準に足りないとなれば、不足分を「生活保護」の制度によって補ってあげる。
③生活保護以外で生活の足しになる扶助を受けることができる法律があるならば、まずはそちらの法律が優先され、それらの法律による扶助によっても厚生労働省が定める基準に足りないとなれば、不足分を「生活保護」の制度によって補ってあげる。
…ということです。


生活保護による扶助の種類
で、生活保護法による扶助の種類ですが、以下の8種類が定められています(法11条)。

(1)「生活扶助」
食費や衣料費や光熱費など、基本的な生活費としての扶助です。

(2)「教育扶助」
義務教育課程在学者に対する扶助。
教科書代をはじめとする「教材費」や「給食費」はおろか、「学級費」や「制服代」なども支給対象です。

(3)「住宅扶助」
借家や借地などに住む人への家賃や地代を限度額内で支給したり、持ち家に居住する上で相応の影響ある問題が生じたような場合に補修費用を支給したりする扶助。
家賃の限度額については、厚生労働省が各自治体ごとに指定するようです。

(4)「医療扶助」
医療費に対する扶助。
保護を受ける前まで国民健康保険加入対象者であった場合は、健康保険の対象となるべき医療行為について、医療費が「全額無料」となるという素晴らしい制度です。
社会保険加入者の場合は、自己負担の「3割分が無料」となり、これまた結果的には「全額無料」となります。いずれにしても、かなり「オトク」な制度です。
このため、受給者が「大した病気でなくても」病院に行きまくる傾向にあり、国・自治体はかなりの財政負担を強いられています。相当問題だと思います。

(5)「介護扶助」
介護保険制度の枠内で行われる扶助です。
これまた、基本的に自己負担はありません。

(6)「出産扶助」
出産やそれに先立って実施される検診などに対する扶助。
指定された病院でしか産めませんが、これまた基本的に自己負担はありません。
生まれた子供に対して(「国の宝」である子供を大切にしようといった発想の)保護による手厚い保障が待っていることと相まって、出生率の向上に寄与してるんじゃないでしょうか…。

(7)「生業扶助」
生業確保のために援助してもらえるという扶助です。
平成17年度から高校生の「授業料」や「教科書代」、「制服代」や「学級費」などが、「生業扶助」として支給されています。
また、条件は厳しいですが、運転免許所得費用も支給対象です。

(8)「葬祭扶助」
葬式代として支給される扶助。
①生活保護を現に受けている世帯内でお葬式をする場合や②一定の扶養義務者内にお葬式をあげてくれる人がおらず、民生委員などがお葬式をあげる場合に対象となります。



生活保護の大雑把なところは、こんな感じです。突っ込んだ内容は他のHPで調べて頂きたいのですが、概要はお分かり頂けるはずです。

はじめまして

2005-11-08 23:01:47 | はじめまして
わたしは某自治体にて、現在は生活保護業務を担当し、その制度の運用に現場で携わっている者です。
「ケースワーカー」と呼ばれています。

唐突ですが、わたしは「生活保護といえば『学会』『』『精神』『在日』だ」…という心無い断定を一般市民から聞かされたことがあります。
生活保護がかなり誤解されているなあと感じました。
制度に対する偏見が少なからずあるな、と。
実際、かなり誤解されているようですし、誇張もされていると思います。
その背景には「自分たちには関係ない」「自分たちが保護を受けることはないだろう」「所詮、他人事」という感覚があるのかも知れません。

生活保護は法定受託事務で、厚生労働省の事務を地方自治体が行っているものであるため、同省からの各種通知でがんじがらめ。
その実、決して使い勝手の良い制度ではないです。
また、その目的の重要なひとつである「自立助長」を現実として促進できているかというと決してそうでないなど、種々の問題を抱えていることは確かです。
ですが、生活保護は日本社会における「セーフティネット」の役割を期待され、少なからず機能していることも確かです。

生活保護は言うなれば「最後の砦」ですので、このような制度を利用しなくて済むように常日頃心掛け、人生設計を立てるべきなのは言うまでもありません。
しかし、そのように生きてきたつもりでも、何が待ち構えているのか分からないのが人生です。
そのようなときに利用するかも知れない制度だと考えてください。
矢尽き刃折れ、力尽きて自殺するよりは保護を受けましょう。
そんな「あなた」のための制度でもあるのです。

ともあれ、生活保護に対する皆様の偏見・誤解も解いていけたら…とも思います。
一応、そのような志も抱いてはいますが、とにかく業務広範で多忙な職場なので(お客様のご狼藉によってしばしば警察官が来る職場でもあります)、愚痴の方が多くを占めるでしょう(むしろ、愚痴ばかりかも)。お客様からも、役所内からも、かなり「虐げられてる♪」感のある職場であることは間違いありませんので。。

更新は間違いなく遅いと思いますし、ブログ初心者なのでヘマもやらかすことでしょう。
また、単なる長時間労働に終わらない職場で、日々心身ともに張り詰めた自分にとっての「憩いの場」としたいので、「生活保護」受給に関するご相談などは基本的にはお受けできません。
受給に関するご相談は、しかるべきHPなどでお願いします。検索すれば、すぐ見つかるはずです。