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全保連・保育研究所
逆井氏が講演
不安なことは不安だと
きちんと表現しよう
子どものためなのだから
菅内閣が6月25日に基本制度案要綱を決定し、2013年度の本格実施に向けて段階的に実施するとされる「子ども・子育て新システム」は、市町村が実施責任を負っている現行の保育制度を全面的に解体し、保育の全面市場化を進めようとするものです。
新システムでは、国の保育基準を撤廃し、現行の幼稚園、保育園を廃止したうえで新設する「子ども園」として一体化します。
また市町村の保育の実施責任も撤廃。「子ども園」など事業所と父母の直接契約制度を導入し、利用料(保育料)は応能負担(所得税に応じた負担)を廃止し、市町村が定める公定価格を基本としながらも、それより高い利用料を施設が決めることも認める方向です。
さらに民間企業の参入を促進し、保育の全面市場化を進めるものとなっていることも重大です。
この問題で東毛地区保育園連絡協議会は2日、全国保育団体連絡会(全保連)・保育研究所の逆井直紀(さかさいなおき)氏を講師に迎え、太田市福祉会館で講演会を開催しました。
関心があるなら、誰でも参加できるということだったので私も参加しました。
財源が十分に確保できるのか
逆井氏は新システムで「心配なこと」として、まず財源に言及。
政府は「保育園に入園していない子どもにもサービスを給付」と言いながら、「政府の文書には『財源を増やす』とは、どこにも書いていない」と指摘。政府の言うように、仮に消費税を増税しても、大企業減税もやろうとしていることを考えると、保育の財源は確保されないのではないかと指摘しました。
5歳児一人への幼児教育・保育に対する公的支出は、韓国をのぞくOECD諸国のどの国よりも少ない
そのうえで、OECDが2009年に発表した資料「5歳児一人あたりの保育・教育における公的支出(勤労年齢の世帯の所得の中間値に対する割合、2003年)」では、日本は28カ国中、韓国の28位に続いて27位であり、大幅に子育て予算を増やすことが必要と強調しました。
市町村に丸投げで大丈夫?
逆井氏はまた、政府が子育て関連の国の財源や労使の拠出金を一括して特別会計をつくり、市町村に交付する問題に触れ、市町村は、現金給付(子ども手当)と保育サービスなどをどう組み合わせるか、どんな子育て施策をするかを独自に決めて提供するとしているが、これでは市町村丸投げで、こうした政府の「地域主権改革」は、子育てや保育に対する国の責任の放棄につながると指摘しました。
急な幼保一体化で混乱は?
結局、不足する保育園の代わりを幼稚園にさせて、安上がりな待機児解消策にしかならない危険性もあることを逆井氏は指摘しました。
福祉の視点がない
逆井氏はさらに、政府の文書のどこを読んでも、社会的擁護の対象となる子どもや障がいをもった子どものことが、まったく触れられていないことを強調。
貧困、虐待問題への対応は、現行の保育料の応能負担を廃止し、「子ども園」など施設と父母の直接契約制度を導入するやり方では無理と力説。
障がい児はどこが受け止めるのかと強調しました。
新システムで保育はどうなる?
逆井氏はさらに、新システムが、すでに破綻した介護保険や障がい者自立支援法をモデルにしていることにも言及。
新システムの「要保育認定」が、父母の勤務時間などによる「保育サービス利用」の上限設定につながる危険性に触れ、結局は、急な残業の場合の「認定外」の「超過料金」発生など父母の負担増が予想される問題を解明しました。
また負担増によって、介護保険にみられる利用抑制が、保育でも現実に起こりうる問題であると警告。
いまの保育園のさまざまな行事も、「認定外」となれば、「超過料金」を払わなければ子どもが参加できなくなる恐れもあると指摘しました。
さらに、介護保険や障がい者自立支援法をモデルにすると、「利用すればするほど、負担が増える」仕組みとなる問題を指摘。
介護保険でも障がい者自立支援法でも、実際に現場で起こっている問題として、必要だから利用したいにもかかわらず、利用料の負担増が原因で、利用抑制が起こっている問題を強調しました。
施設(保育園)にとっても、「要保育認定」によて、介護施設や障がい者施設のように、収入が保育時間単位となることで、結局は減収となる可能性が高いことを指摘しました。
さらに企業参入を促進しても、企業はもうからないとなれば、介護保険のように、簡単に撤退することもあり、保育の受け皿がなくなる危険もあることにも言及しました。
また逆井氏は、ある経営コンサルタントがインターネット上で「子ども・子育て新システム」を紹介し、民間企業にとって大きなビジネスチャンスと宣伝している事例も報告。
政府の進める保育の全面市場化が現実的なものであることを強調しました。
逆井氏は、「新しいシステムで、本当に子どもは守れるのか。大きな声を上げることが大事」とし、「資源の少ない国(日本)では、子どもに(公費として)お金をかけることが、よい国づくりにつながっていきます。しかし、いま子どもにかける公費が世界と比べても少ない日本で、保育をもうけの対象としたら何が起こるのか。不安なことは不安だと、きちんと表現していきましょう。子どものためなのだから。黙っていても、いいもの(制度)は絶対生まれません」と結びました。
会場の参加者からは、「市町村に働きかけるときは、どんなことが大切でしょうか」などの質問がありました。
逆井氏は、「この問題では、市町村もある意味で当事者。幼稚園関係者も含めて、問題を共有することが大切。市町村からは、『拙速な制度改定の中止を』、いま大切なこととして『国の保育制度を充実してほしい』と意見書を上げることが大切と答えました。
保育は福祉の心を忘れてはならない
講演会の最後には、主催者側から、「保育は福祉の心を忘れてはなりません。なのに、政府は、保育の市場化をめざして企業の参入を進めようとしています。不安でいっぱいですが、よりよい保育のために、がんばっていきたい」と謝辞がありました。
●全保連が公表-子ども・子育て新システムの基本制度案要綱に対する見解/2010年07月30日/本ブログ
●政府が創設狙う「こども園」 親の経済力で保育に格差-公定より高い利用料も/2010年7月20日/本ブログ
●子ども・子育て新システム-園長先生が「とても心配」/2010年7月15日/本ブログ
●現行保育制度を解体 政府が要綱 「子ども園」に一本化/2010年06月26日/本ブログ
●「強い社会保障」は雇用増やす?/規制緩和 → 非正規激増も/2010年7月14日/しんぶん赤旗(子ども・子育て新システムの問題、介護保険導入で市場化が持ち込まれた介護現場の実態を報道)
●厚労省 保育「新たな仕組み」/国・自治体の責任放棄/党女性委員会責任者/広井暢子さんに聞く/2009年1月9日/しんぶん赤旗
●保育制度解体で子ども守れない/保育園に予約金2万円 1歳児の補助金カット/3団体が共産党国会議員団と懇談/2009年5月21日/しんぶん赤旗
■関連キーワード
●保育・子育て
●保育所の最低基準
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全保連・保育研究所
逆井氏が講演
不安なことは不安だと
きちんと表現しよう
子どものためなのだから
菅内閣が6月25日に基本制度案要綱を決定し、2013年度の本格実施に向けて段階的に実施するとされる「子ども・子育て新システム」は、市町村が実施責任を負っている現行の保育制度を全面的に解体し、保育の全面市場化を進めようとするものです。
新システムでは、国の保育基準を撤廃し、現行の幼稚園、保育園を廃止したうえで新設する「子ども園」として一体化します。
また市町村の保育の実施責任も撤廃。「子ども園」など事業所と父母の直接契約制度を導入し、利用料(保育料)は応能負担(所得税に応じた負担)を廃止し、市町村が定める公定価格を基本としながらも、それより高い利用料を施設が決めることも認める方向です。
さらに民間企業の参入を促進し、保育の全面市場化を進めるものとなっていることも重大です。
この問題で東毛地区保育園連絡協議会は2日、全国保育団体連絡会(全保連)・保育研究所の逆井直紀(さかさいなおき)氏を講師に迎え、太田市福祉会館で講演会を開催しました。
関心があるなら、誰でも参加できるということだったので私も参加しました。
財源が十分に確保できるのか
逆井氏は新システムで「心配なこと」として、まず財源に言及。
政府は「保育園に入園していない子どもにもサービスを給付」と言いながら、「政府の文書には『財源を増やす』とは、どこにも書いていない」と指摘。政府の言うように、仮に消費税を増税しても、大企業減税もやろうとしていることを考えると、保育の財源は確保されないのではないかと指摘しました。
5歳児一人への幼児教育・保育に対する公的支出は、韓国をのぞくOECD諸国のどの国よりも少ない
そのうえで、OECDが2009年に発表した資料「5歳児一人あたりの保育・教育における公的支出(勤労年齢の世帯の所得の中間値に対する割合、2003年)」では、日本は28カ国中、韓国の28位に続いて27位であり、大幅に子育て予算を増やすことが必要と強調しました。
市町村に丸投げで大丈夫?
逆井氏はまた、政府が子育て関連の国の財源や労使の拠出金を一括して特別会計をつくり、市町村に交付する問題に触れ、市町村は、現金給付(子ども手当)と保育サービスなどをどう組み合わせるか、どんな子育て施策をするかを独自に決めて提供するとしているが、これでは市町村丸投げで、こうした政府の「地域主権改革」は、子育てや保育に対する国の責任の放棄につながると指摘しました。
急な幼保一体化で混乱は?
結局、不足する保育園の代わりを幼稚園にさせて、安上がりな待機児解消策にしかならない危険性もあることを逆井氏は指摘しました。
福祉の視点がない
逆井氏はさらに、政府の文書のどこを読んでも、社会的擁護の対象となる子どもや障がいをもった子どものことが、まったく触れられていないことを強調。
貧困、虐待問題への対応は、現行の保育料の応能負担を廃止し、「子ども園」など施設と父母の直接契約制度を導入するやり方では無理と力説。
障がい児はどこが受け止めるのかと強調しました。
新システムで保育はどうなる?
逆井氏はさらに、新システムが、すでに破綻した介護保険や障がい者自立支援法をモデルにしていることにも言及。
新システムの「要保育認定」が、父母の勤務時間などによる「保育サービス利用」の上限設定につながる危険性に触れ、結局は、急な残業の場合の「認定外」の「超過料金」発生など父母の負担増が予想される問題を解明しました。
また負担増によって、介護保険にみられる利用抑制が、保育でも現実に起こりうる問題であると警告。
いまの保育園のさまざまな行事も、「認定外」となれば、「超過料金」を払わなければ子どもが参加できなくなる恐れもあると指摘しました。
さらに、介護保険や障がい者自立支援法をモデルにすると、「利用すればするほど、負担が増える」仕組みとなる問題を指摘。
介護保険でも障がい者自立支援法でも、実際に現場で起こっている問題として、必要だから利用したいにもかかわらず、利用料の負担増が原因で、利用抑制が起こっている問題を強調しました。
施設(保育園)にとっても、「要保育認定」によて、介護施設や障がい者施設のように、収入が保育時間単位となることで、結局は減収となる可能性が高いことを指摘しました。
さらに企業参入を促進しても、企業はもうからないとなれば、介護保険のように、簡単に撤退することもあり、保育の受け皿がなくなる危険もあることにも言及しました。
また逆井氏は、ある経営コンサルタントがインターネット上で「子ども・子育て新システム」を紹介し、民間企業にとって大きなビジネスチャンスと宣伝している事例も報告。
政府の進める保育の全面市場化が現実的なものであることを強調しました。
逆井氏は、「新しいシステムで、本当に子どもは守れるのか。大きな声を上げることが大事」とし、「資源の少ない国(日本)では、子どもに(公費として)お金をかけることが、よい国づくりにつながっていきます。しかし、いま子どもにかける公費が世界と比べても少ない日本で、保育をもうけの対象としたら何が起こるのか。不安なことは不安だと、きちんと表現していきましょう。子どものためなのだから。黙っていても、いいもの(制度)は絶対生まれません」と結びました。
会場の参加者からは、「市町村に働きかけるときは、どんなことが大切でしょうか」などの質問がありました。
逆井氏は、「この問題では、市町村もある意味で当事者。幼稚園関係者も含めて、問題を共有することが大切。市町村からは、『拙速な制度改定の中止を』、いま大切なこととして『国の保育制度を充実してほしい』と意見書を上げることが大切と答えました。
保育は福祉の心を忘れてはならない
講演会の最後には、主催者側から、「保育は福祉の心を忘れてはなりません。なのに、政府は、保育の市場化をめざして企業の参入を進めようとしています。不安でいっぱいですが、よりよい保育のために、がんばっていきたい」と謝辞がありました。
●全保連が公表-子ども・子育て新システムの基本制度案要綱に対する見解/2010年07月30日/本ブログ
●政府が創設狙う「こども園」 親の経済力で保育に格差-公定より高い利用料も/2010年7月20日/本ブログ
●子ども・子育て新システム-園長先生が「とても心配」/2010年7月15日/本ブログ
●現行保育制度を解体 政府が要綱 「子ども園」に一本化/2010年06月26日/本ブログ
●「強い社会保障」は雇用増やす?/規制緩和 → 非正規激増も/2010年7月14日/しんぶん赤旗(子ども・子育て新システムの問題、介護保険導入で市場化が持ち込まれた介護現場の実態を報道)
●厚労省 保育「新たな仕組み」/国・自治体の責任放棄/党女性委員会責任者/広井暢子さんに聞く/2009年1月9日/しんぶん赤旗
●保育制度解体で子ども守れない/保育園に予約金2万円 1歳児の補助金カット/3団体が共産党国会議員団と懇談/2009年5月21日/しんぶん赤旗
■関連キーワード
●保育・子育て
●保育所の最低基準