中小企業診断士であり、経済評論家で活躍されている三橋貴明さんのブログを読んでいてびっくりしてしまったので、ここにご紹介します。
その内容は、SAPIOの4月号から、須田と書かれている人は、須田慎一郎氏で、青山さんは、青山繁晴氏です。
「須田 いや、日本でエコノミストを名乗るには、ちゃんと"資格"が必要なのですよ。
青山・三橋 冗談でしょう?
須田 国家資格でもなんでもありませんが、実際にエコノミストという肩書は勝手に名乗れません。日本経済研究センターという公益社団法人の研修生になってマクロ経済学を学んだ人だけに、エコノミストを名乗ることが許される。
官庁エコノミストも民間エコノミストもそこで研修を受けて、GDPとは何か、GDPと成長率はどう計測するのかなどの一定のルールを勉強する。それは彼らの間で”お作法”と呼ばれます。お作法を会得した人たちは「CPI=日本流コアCPI」という共通言語で話すわけです。
三橋 官庁が望んだとおりの経済学的な理解をしないとエコノミストを名乗れないということですか?
須田 そうです。過去にエコノミストを名乗っていた人が途中から肩書を変えたケースがありましたが、あれはクレームが付くから。お作法を得とくしていない人は、例えば抜け道で「国際エコノミスト」と名乗るケースは有りますが、ズバリ「エコノミスト」と名乗ることは許されない。
青山 噂には聞いていたけれど、ジョークだと思っていた。
三橋 私、エコノミストを自称してみようかな。さて、クレームは来るでしょうか(笑)。」
エコノミストになるには、医者なんかと同じように免許でもあるのでしょうか?
インターネットで調べると、「経済の動きや諸問題に関する調査・分析・予測などの仕事をする専門家」としか書かれていません。
日本経済研究センターのホームページを見てみると、研修の案内があります。
「次代の経営幹部・エコノミストを養成
日本経済研究センターの委託研修は、各社の若手・中堅社員を1-2年間お預かりし、経済予測などの実践訓練を通して、論理的判断力や経済・経営を見る目を養うプログラムです。毎年25名余りの各社の精鋭が集い、切磋琢磨する場となっており、業種を越えたネットワーク・人脈作りの場としても高く評価されています。1400人を超える人材を経済界に送り出しており、企業のトップや著名エコノミストも数多く輩出しています。日常業務からは生まれにくい新たな視点・視野から発想する土壌も整えます。」
エコノミストを養成と書かれています。
研修費用は1年で230万円と結構な額になっています。
普通の大学の学費の2倍くらいの費用です。
「1.経済予測コース
四半期ごとに発表する「短期予測」と、5-10年先を見通す「中期予測」の2チームがあります。指標の見方やデータ分析の手法を身に付けた上で、景気循環や経済成長、産業構造などの行方を考えます。中期では、地域再生や環境・エネルギー問題も取り上げています。」
とあります。5-10年先を見通す「中期予測」のチームに入れば5年先が見通すことができるので、楽しみです。
理事長が元日銀副総裁の岩田一政氏なので、大丈夫でしょう。
日本経済研究センターの提言のいくつかを見てみると面白い論文がありました。
「破綻リスク膨らめば国債金利10%も
-海外保有比率高まり18年から28年にも-」
日本政府の財政は900兆円ほどの債務がありますが、今後この債務が膨らみ続ければ国内消化も限界に近づき海外からの国債購入に頼らなければならないようになり、長期国債の金利が10%になるかもしれないと書かれています。
企業と家計の金融資産残高から政府債務の総額を引いた残金がGDPの105%を割ると長期金利の反応係数が大きくなり金利が上がるそうです。
そうなる危険性が2018年から2028年頃で、長期国債の利率は10%前後になり、海外の日本国債の保有率は2~3割になるそうです。
その時にギリシャと同じように日本の財政が破綻する可能性があるという結論を出しています。
それを避けるために、2016年から2020年にかけて毎年2%の消費税を増税していかなければならないという議論を展開しています。
財務省が泣いて喜ぶ論文です。
企業と家計の金融資産残高から政府債務の総額を引いた残金がGDPの105%を割ると長期金利の反応係数が大きくなり金利が上がるという理屈が解りません。
政府債務だけが取り上げられていますが、政府債権の額は全然考慮に入れられていません。
政府債務が大きくても債権の額が同じように大きければ債務の負担は減ります。その部分の考慮がはいっていないのはおかしいです。
つまり、政府の借金が900兆円あったとしても、債権が800兆円あるのと債権がほとんどないのとでは借金の負担の割合は異なるのにそのことが全く考慮されていません。
また、日本の長期国債の金利が世界で一番低金利で、本日3月11日には、何と0.65%です。
一番リスクが少ない国債ということが金利からわかります。
また、この国債は円建てで購入します。日本円立てでの購入している以上、財政破綻はありえません。
このような論文を書く方がエコノミストという称号を与えられるのでしょうか?
〇道の家元のような機関であると思います。
2020年頃にこの論文を思い出し、このように財政破綻を煽っていた研究所があったことを確認します。