インドのカタック舞踊☆東京ガラナ

インド古典舞踊「カタックダンス」舞踊家、振付家の前田あつこのブログです。カダムジャパン主宰。atsukathak.com

インド声楽を聴きに。

2011-08-24 | 公演案内 performance
夢のようなうっとりとした時間を過ごしました。

甘い甘い蜂蜜のような歌声にとろけてゆく感覚。

昨夜はカウシキ・チャクラバルディさんという可憐な女性の
インド古典声楽の東京公演でした。

インド古典声楽にもいくつかのジャンルがあり、私はどれも魅力的だと思いますが
ドゥルパッドやカヤール、南インドのカルナーティックなどいろいろあると思います。

インド音楽の中のインド音楽と評される声楽の世界。

ラーガという旋律の波をどう行ったり来たりするか
一緒に音の波を漂いながら、歌い手のいざなう方へゆらゆらと感覚をくゆらす時間。

彼女のアーラープは何とも甘美な艶やかなしらべ。
インド女性の持つ独特の奥ゆかしくも魅力的な雰囲気が漂っていた。

いくらもしないうちにタブラの音が加わり、
彼女の歌はビートをしっかりと帯びた、リズミカルな世界へ変化をして。

様々に七変化するメロディーラインが複雑に入り組んで混沌と古典の世界へ導く。

古典の世界。
私はインド古典音楽は客席で聞くばかりでまともに勉強をしたことが無いけれど
それは奥深く、舞踊の世界にも通じている。

彼女の正確に紡ぎだすメロディーとリズムの入り組んだカオスに
ストイックな稽古風景と、幼少より叩き込まれた血を感じた。

もう技術は血の中に溶け込んでいて、自在に操られている。

肩に力の入ったところが全く無いのが多くのアーティストと違うところ。
サラブレットゆえ?
裏打ちされた実力ゆえ?

若さゆえにさわやかさと潔さを感じた。
その反対に私の知らない旋律の世界へ予想に反してどんどん入り込んでゆくので
迷子にならないように森の中を走り抜けるように懸命に後を追ってゆくと
時々見た事もない美しい湖や、開けた場所に到達して
悲しきもちになったり、感動して涙が出そうになったり、すごくスッキリしたり。
連れて行かれるのでした。

もう2時間近く3曲も歌ったのに、似ていて飽きてしまうようなことが無くて、
その引出しの豊富さにもっと、もっと。と客席が引き込まれていくのを感じた。

感動に包まれた観客は、時を忘れて拍手をし続け、
歌うはずのないアンコールに、一つのヴァンダナを歌った。

神に捧げるうた。
プログラムの始めに歌ううた。

ちょっと困った笑顔を見せつつ、このコンサートは私の初めての日本公演だから
最後にバンダナを歌う事は通常ないことだけれど、ガネーシャヴァンダナを。と。

ちょうどカタック舞踊でガネーシャヴァンダナを稽古していた私たちには
これほどのプレゼントはなかったの。

曲の情感、ムード、感覚を一つづつ書き写すように自分の中へ残してゆく。

ミラのバジャンもそうだった。

カタック舞踊を踊る上で、その解釈に苦しんでいた、練り込んでいたところを
答え合わせをしていくように彼女の中に探す作業。重ね合わせて、感じて感じて。

彼女に魅力を感じるからこそできる作業。

あ~楽しかった。

集中した後のほうっと疲れもあって。気持ちいい。


客席に集まったインド音楽仲間たちと久々にお喋りをしたり
珍しくCDを買って、サインをおねだりしたり(笑)

シーシャちゃんがぱちりと納めてくれました♪

帰り道、なんかテンション高ーい。って笑われたけど、
だってだって。幸せだったんだもん。

至福をかみ締めたのでした。


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