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Life Line

18年続いたteacupでの活動をこちらへと引き継ぎました

日々を綴ります 生きている限りにおいて

2024-06-07 11:48:23 | fragment
「こんにちは また海を見ているんですか」

「うん。海はいいよね。泳ぐのはいやだけどね」

「海水浴しないんですか?」

「もう20年くらい泳いでいないかな。海水はへんな臭いがするし、べたべたするし。めんどうだね」

「海をぼーっと眺めるなんて無駄だって普段の貴方なら言いそうですけどね」

「海を眺めるのは無駄ではないよ。僕がこれまで出会ってきて、生別、死別した全ての人々と、このときはどこかでつながっているような、そんな気がする。わかる?」

「さあ。。何を言っているのかわからないですね」

「芸人さんの受け売りだねえ 本当に分からないのかな?なんとなく好きなことは大切にしたほうがいいと思うね 今は言語化できないだけで、そのうちどうしてそれが好きなのか、わかるかもしれないからね」

「はあ。 そろそろ昼休みおわりですよ。」

「じゃあ、筋肉労働にもどることにしようか。」
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2024-05-20 12:17:07 | fragment
「あどうも 何をしてるんですか」

「水彩画だよ」

「珍しいですね」

「いつもどおりの光景だね 川があって、橋がかかっていて、河原にはいくつか花壇があって少し花が咲いている 何人がキャッチボールしたりドローンを飛ばして遊んでる」
「難しいけど、結構おもしろいんだよ 絵具で色を混ぜてつくったり 光と影の状態を観察したり」

「新しい趣味、ですか」

「なんというかね、この世の中に貢献している気分になりたくてね。僕みたいな無能な人間は働いても仕方がなかったじゃない? 同僚らに、めいわくをかけるばかりで、組織の生産性を下げまくって。つまり僕は世の中にマイナスの効果を与える人間なんだ。それでも下手な絵のひとつもこの世に生み出せたらましなのかなって」

「それもまた極端すぎる表現じゃないですか。バランスの問題でしょう。プラスしかない人間もいないですよ 貴方を慕ってる人たちだってたくさんいたのに突然いなくなってみんな困惑していましたよ」

「もう居たたまれなくなって、耐えられなかったね やり直すにももう遅い」

「あ、ちょっと筆かしてください」

「いいよ?」

「ここに白を入れて、、、で、ここに茶をこういれるといいですよ」

「! ちょっと手直しするだけで一気に立体的に、ビビッドになった!すごいね!絵やってたの?」

「中学のとき少しだけ絵画教室にいってました」

「しらなかったな。すごいテクニックだね」

「ありがとうございます。でも、丁寧な下絵あってこそです」

「こちらこそ、どうもありがとう」

「じゃあまた、また時々絵の様子を見に来ますよ」

「またね」
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Playback

2024-05-14 11:52:13 | fragment
「ああ、それは世間が、簡単にスカッとするもので満ちているからだね、コーラみたいにシュワッとするけどなんの栄養もないみたいな。それに、みんなが人生の華やかな主人公になりたがっているからだ。で、酒とか、すぐに楽しめる短い動画とか 驚愕!激安グルメ!みたいな飲んだり食べたりすればすぐに脳が報酬をくれるようなやつ そういうのに一日中浸りきっているからね」

「それで何が悪いの?個人の自由でしょ」

「もちろん自由さ。ただ、 うまそう → 食った → うまい → 満足
面白そう → 動画10秒見た → 面白いガハハ とか、ろくに脳を使わんだろ?虫みたいじゃないか。もちろん虫じゃないよ。でも反射だけで動いてる。
、スマホ見ながらトラックに突入して死ぬんだよ。まんま、電気殺虫機に吸い寄せられて死ぬ虫だろ。 あ、光だ → フラフラバチッ」

「なるほどねえ」

「やっぱ人間悩みが必要だよ成熟のためにはね。葛藤とか、逡巡とかね。なんでもいいんだけどね。成長していく中でどこかでこういうのと、戦わなくてはいかんと思うの。自分は凄くはない、ただの凡人だって知る過程が必要だと思うよ。度が過ぎると病気になってしまうから、それは程度問題だけど、自分自身と戦うのを避け続けて、簡単な刺激物でスカッとしてばかりだと虫化してしまうんだよ。いつまでも自分はすごい主人公で、想定の範囲内の刺激をくれるものにうつつを抜かしていると、成人になれないの。虫みたいなものになるの」

「で、そういう君はどうなの?」

「虫だよ虫 もう完全に」
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考えろ

2022-01-06 22:37:00 | fragment
日々考えていかなければならない。
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休日の運転

2013-12-22 10:30:00 | fragment
「まったく、めんどくさいことだな」

とぼやきながら、ぼくは駅の券売機で切符を買った。

昨夜、唐突に部署で飲み会をひらこうじゃないかという提案があり、気の進まないままに、ホルモン屋のもうもうとした煙の中で酒を飲んだので、車は会社に置いてこざるを得なかったのだ。車を回収するためには、電車で最寄駅についたのち、さらに徒歩で少し歩かなければならない。

酒はともかくとして、ホルモンというやつは苦手な食べ物だ。目の色を変えてぐにゃぐにゃした豚や牛の臓器をがっつく同僚たちを尻目に、ぼくだけが先行してビールが進んでしまい、まだ少しこめかみが痛い。


"肉の部位は、どこか隠語的な響きがする。どこでもいいから、肉やホルモンの部位の俗称を10回つぶやいてみるといい。異様な響きではないか。スラングは大嫌いだ。スラングは"


などと肉について考えながら電車に揺られ、20分ほどで目的駅についた。寂れた商店街を抜け、コストと実用本位しか考えていません、美に関心などありませんという佇まいの工業地帯にたどり着く。



駐車場には、ほかの従業員たちの車が巻き上げて行った砂埃を浴びた、安い大衆車一台のみ。僕の車だ。車は丸めで、時速60km/hでれば充分だ。



だが、クルマ好きな社員の中には、ヨーロッパを20往復できるくらいの価格の車に乗っている人もいる。僕は酔狂なことだと思うが、彼らからすれば、数十万円のカネをはたいて、言葉も分からない場所にときどき行こうとする僕の行為こそが酔狂なことにほかならないんだろう。そんなこと意味あるの?と。


育ちが違う。思想価値観が違う。
お互いが衝突しないよう、すみ分けて行くしかない。


ひとそれぞれ、何かしらこだわりはあるんだろう。だが、大きすぎるこだわりを持つことは人生にとって損失にちがいない。


そんなことを考えながら、サンデードライバーで埋め尽くされた郊外の直線道路を、僕は65km/hで疾走した。
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