思いいれ深い作品なんで全曲紹介。
Pat Metheny & Lyle Mays "As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls" ECM1190 1981
視聴
1 As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls
2 Ozark
3 September Fifteenth(dedicated to Bill Evans)
4 "It's For You"
5 Estupenda Graca
Lyle Mays(piano, synthesizer, organ, autoharp)
Pat Metheny(electric and acoustic6&12 string guitars, bass)
Nana Vasconcelos(berimbau, percussion, drums, vocals)
"As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls"
20分45秒のタイトル曲。暗示に富んでいて凄くメッセージ性が強い映像的音楽。無理やり、「これ聴け!」と聴かせてみて、その人に、「どんな思いや風景が浮かんだ?」と訪ねてみたい。車のカセットテープにも入れてある曲なんで僕とドライブしたことある人は多分知らず知らずに聴いてるはず。うるせーなあこれとか思われてなかったかしら(笑)ヘッドホン推奨。実に細かい音使いを楽しめます。打ち込みと生演奏のバランスが絶妙でテクノが好きな人にもおすすめします。
0:00~00:24
人々のざわめき。絶叫している人の声 【ひとびとのくらし。潜む扇動者】
0:024~2:35
ざわめきにベースが重なる。ここからギターで奏でられるメロディは軽快だけどどこかに陰がある。ベース音が低く低く同じ音をかなでているせいかな。【忍び寄る影】
2:35~6:09
アジア的メロディ。【水田に沈む落日。】
6:09~(9:57)~11:00
ここからはNanaのパーカッションが同じリズムをただひたすら刻み、それにLyleのシンセサイザーが幾重にも重ねられる。一体いくつ重ねられてるんだろう検討つかん。爆撃のような音、ガラスを引っかくような音、波のようにうねる音。9:57から、笛系のシンセ音が内省的に静かに静かに、胸に染み入る。ここではいつも"胸に手を当てて何かを考えさせられる"
【多分戦場の情景を表現しているんだろうな。降り注ぐ銃弾や爆弾の雨。9:57は戦闘で束の間の休息。遙か故郷を思う兵士ってとこか】
11:00~12:20
lyleは楽器をオルガンに変える。教会のお葬式で流れてそうな曲調。
【レクイエム】
12:20~14:10
不穏なベース音。ギュワァーンという暴力的な、上昇音が唐突に入り、直後に、2:35~と同じアジア的メロディがより激しくかなでられる。
【一発の爆弾によって戦闘再開。倒れていく兵士達】
14:10~15:45
シンセのロングトーンが幾重にも重ねられる。安堵感と浮遊感がある。thirty-eight...fourty-two...fifty-five....three.... という声が入る。何なんだろう? 死んだ者の年だろうか。【魂の救済】
15:45~18:25
空間を埋めるようなシンセ。それの後ろには、空港でのアナウンスのようなもの。口笛。子供達の遊ぶ声。【無事帰還した者の出迎えかな】
18:25~20:45
キラキラした音、重厚間のある音。様々なシンセ音が重ねる。曲中で一番明るい部分。ニュースが読まれるような声。表現されてるのは朝なのかな。オルガンのロングトーン~子供の遊ぶ声で長い長い曲は終わる。【きらめく朝日。再び始まる日常。破壊から再生へ】
僕がこの曲から感じるのはこんな感じだな。色んな人の色んな解釈が聞いてみたい。
"Ozark"
イギリスのどっかの片田舎の伝統音楽みたいなメロディ。爽やか。ピアノが踊る。
"September Fifteenth"
1980 9/15はピアニストビルエバンスの命日。このアルバムのレコーディング中に亡くなったそう。曲自体は彼の死の前にできていたんだろうけど、Lyleはビルエバンスを敬愛していたから、この曲のタイトルはこれしかない!って思ったんじゃないかな。PatとLyleのデュオ。幽かなoberheimシンセが曖昧な感情の流れや空気の存在感をかもし出し、そこにPatのアコギが感傷的に絡む。言葉じゃ足りなくて伝えられない悲しみだって楽器に卓越すれば伝えられることもあるんだね。
""It's For You""
オープニングでPatがかき鳴らすギターの音が底抜けに明るい。その後のLyleによるAメロが絶品。どこか悲しげで、でも希望いっぱいで・・。アメリカの雄大な景色が目の前に広がる。行ったことないけどとにかく広がる。いやおう無しに広がる。無駄な音一音も無し。アルバム中で一番突き抜けている曲。悲しげな曲の後にこれを置くのは大正解だな。この人たち、このアルバムを作ったとき、大体今の僕と同じくらいの年なんだよね。あんたら何者だ(笑)。
"Estupenda Granca"
正直この曲ではNanaいらない・・・・。ボーカルかなり音痴なんで美メロ殺しちゃってるよー!感情たっぷりに歌ってるのは分かるんだけどね。