写真は抑制栽培としては遅い方になる7月16日播種の第二基本枝の着果状況です。
赤い数字で各花房の大体の場所を示してみました。
2-1(3):第二基本枝の一花房目、普通栽培の第三花房目
2-2(4):第二基本枝の二花房目、普通栽培の第四花房目
2-3(5):第二基本枝の三花房目、普通栽培の第五花房目
連続摘心栽培を初めて見る方は、上段花房が低段花房より下にあることを奇妙に思われるかもしれません。
第四基本枝の葉が一部焦げています。これは10月8日の台風18号の影響です。この日は予報より東へ少しずれ、県内唯一のPing.macroserasの自生地付近へやって来たので、このままだとこちらを直撃するか?、というような状況でしたが、その後北上しました。暴風が吹き荒れるなか朝から晴天で、昼まで換気をすることが出来ませんでした。幸い少し一部の葉が焦げた程度(今のところ)で大きな被害を受ける事も無くホッとしました。
公的機関からはこの作型での栽培に外部遮光を薦められていましたが、今までその必要を感じませんでした。10月8日は遮光があれば無難に過ごせたかもしれません。もっとも、暴風で外部遮光は厳しいので現実的には内部遮光という事になると思います。
写真はしばらく前のものですが、低設ベンチへ定植された促成トマトです。普通栽培と比べるとかなりの若苗定植です。普通栽培では一般的に若苗定植をすると草勢をコントロールするのが困難で暴走し易く、一度コントロールできなくなると収量品質ともに非常に厳しい結果となります。「トマトの連続摘心栽培」の特徴の一つが若苗定植ですが、育苗管理を大幅に軽減できる点も良いところです。この促成トマトの低設ベンチはこの後、エバフローを上に向けベッド中央へ少しずらし、三角屋根とシルバーポリで被覆されます。この促成栽培で使用する低設ベンチは地温(根圏温度)を維持できるようになっています。単管で配管されていながら、リバースリターンと同じ効果を発揮する優れものです。
現在収穫中の抑制栽培は高設ベンチで越冬用に培地を加温できない代わりに真夏に培地温度を実用程度にまで下げる事が出来ます。鉢物用として使用している写真を以下のスレッドのreply#13 photo 5で見ていただくとお分かりいただけると思いますが、水稲育苗箱を利用した簡易ベンチです。
http://icps.proboards.com/index.cgi?board=byblis&action=display&thread=2348
トマトを栽培するときは各ベッド片側の水稲育苗箱に生籾殻4リットルを入れて栽培します。こんな薄っぺらな培地で夏の高温期に根圏温度が上昇するのを心配される方も多いかと思いますが、とても簡単な方法で電気などエネルギーを使用せずに培地温度を下げています。因みにハウスは遮光をしていません。
さて、もみ殻培地耕ですが、消毒もせずなぜ土壌病害が出ないのでしょうか?とても不思議です。出来るだけ清潔に回収保存をしていますが、もともと露地で風雨や土ぼこりを被っていたわけです。
1:何年もたまたま偶然が重なって土壌病害が出ない。
2:物理的に、または栽培管理上で、土壌病害が出るような水分管理になっていない。
3:ヌカなどに繁殖する菌類が土壌病害菌の繁殖を抑える。
4:その他
科学的に証明する義務は無いのですが、トマトの土壌病害の深刻さを考えるととても不思議な現象です。
7月1日播種は第三基本枝の捻枝が終わり第四基本枝の第二花房あたりをトーン処理しています(通常栽培の第九花房)。右側のベンチに見えているのが第二基本枝です。イレギュラーがありますが、下垂後水平方向へ誘引されています。左のベンチは第一基本枝とその約70cm上方に第三基本枝が完全に下垂しないように誘引されています。
7月16日播種は右のベンチで黄色い花が見えていますが、すでにトーン処理も終わり着果が始まっています。この花が咲いている部分が第二基本枝の三花房目で通常栽培の第五花房に当たります。左のベンチを見ていただくとまだ第三基本枝が下垂していないのが分かります。早いものが第三基本枝の第二花房の処理が終わり捻枝した段階です。
抑制栽培は7月1日蒔きと7月16日蒔きの二つに分けてあります。7月1日蒔きが着色しました。
ストライプブランドを心待ちにしていらっしゃる方も多いかと思いますが、今しばらくお待ちください。
ストライプブランドとは:9月22日の記事中のストライプ模様(星模様)のトマトの画像を使用して作製したシールの貼ってあるもの。
ここはトマト栽培自体に興味の無い方は斜めに読んでいただくかスキップしてください。
トマトの連続摘心栽培は千葉県(栽培書を書かれたときは、千葉県農業試験場)の青木 宏史先生によって考案された栽培(整枝)方法です。これを基本にこちらの都合でほんの少しアレンジしています。詳しくは先生の著書をお読みください。トマトの連続摘心栽培は連続二段摘心とか二段摘心と呼ばれる事もありどちらかと言うと後者の二つに馴染みがあるので、このブログの中では連続二段摘心とか二段摘心と呼ぶ場合があるので予め御容赦ください。
ここでの栽培の特徴としては、
@高設・低設ベンチでの栽培:高設ベンチは抑制栽培など、低設ベンチは促成栽培です。低設ベンチは地温を確保できるようになっています。
@各基本枝を完全に下垂させない。:通常は第一基本枝のみを完全に下垂させない様にしますが、すべての基本枝を完全には下垂させません。特に抑制栽培は下垂後水平方向へ誘引するためかなりの幅を取ります。第一基本枝と第三基本枝に各2段、第二基本枝と第四基本枝に各3段、合計10段を確保する場合にここでは高さが約120cm強、株間30cmに対して基本枝の下垂させる(東西方向)幅は120cm強という通常の連続摘心栽培ではありえない株の幅になります。
この写真では第一基本枝が下垂していて分かり難いのですが60cmほどの高さのベンチ上で栽培されています。
捻枝部分のクローズアップ:太い方の枝が左横へ少し捻れる様に倒れていますがこれが元々の主枝です。上方へ伸びている枝が花房直下からの側枝です。
こちらの方が分かりやすいでしょうか?