昭和30年代の『講談社の絵本』はとても質の高いものでした。印象的なものはいくつもありますが、中でもインパクトがあるのがこの「ふしぎなランプ」。絵のタッチも色使いも強烈で、見たこともない異国の雰囲気をちょっと怖いタッチで描き出していますが、この絵本の作者がスゴイ。文章は川端康成、挿絵は蕗谷虹児なのです。
川端康成は言わずと知れたノーベル文学賞作家。蕗谷虹児は、大正ロマンの少女文化を花咲かせた人物です。日本画やデザインを学んでいた若き蕗谷虹児は、竹久夢二との出会いがきっかけとなって挿絵画家としてデビュー、一世を風靡します。こんな一流の人たちが子供向けの本の仕事をしていたなんて、豊かな時代だったのですね。
大量生産、大量消費の波がやってくる以前の日本ですから、すべてのものに手作り感があります。そういうものには命が宿っていて、1つひとつの存在感が大きい。そういうものを手にしながら育った子どもたちは幸運です。
絵本は子どもが最初に出会う本ですから、子どもの感性を育てるには物語に合った挿絵が必要です。怖い物語には怖い絵を、やさしい物語にはやさしい絵を、昔話だったらそれ風の挿絵が。そういうものが、この時代にはあったのだと思います。
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