登水研第2回特別研修会が2018ねん8月31日、登米市迫公民館で開催されました。
今回は「配水量分析と有収率向上」がテーマのパネルディスカッションを行いました。
パネラーは、登米市水道事業所水道施設課:落合敏之氏、フジ地中情報㈱東北支店:豊田学氏、愛知時計電機㈱公共SS営業推進部:大橋明男氏の3名で、コーディネーターは登水研事務局:ワンエイト:佐藤和哉が務めました。
最初に、登水研運営委員会委員長の鈴木安宏が挨拶を行い、登水研設立と活動の趣旨と本日参加の皆様への御礼をしました。
尚、参加者は60名でした。

続いて、後援をいただいた登米市水道事業所長の羽生芳文様から挨拶をいただきました。

パネルディスカッションは、配水量分析について水道施設維持管理指針等の分析と登米市水道事業の分析を基本として、どのような構成になっているのか、そして現状としてどのようになっているのかを、コーディネーターと落合氏合同で発表するところから始まりました。

(発表する落合氏<右>と聞いているのか?佐藤<左>)
配水量分析の課題としては、配水量として計上しているのは「実測値」であるが、その分析のうち「有収水量」の「料金水量」のみが実測値で他は「目視」「会計上収益があるものとしての水量」そして「係数」によって求めるものであることです。
つまり配水(流した水)のうち確実に実測して判明しているものというのは項目的には少ないことです。
また「有収率」の向上には「無収水量」と「無効水量」を減じなければならない、のですが、その減じることが中小規模水道では難しい。
問題点としては次の項目をあげました。
1.無収水量中「メーター不感水量」の割合
2.無収水量中「事業用水量:水質保全水量」の削減
登米市は給水区域が広く、末端の残留塩素を確保するため、特に夏期に水質保全のため放水をせざるを得ない
また、冬期間は末端の水道管凍結防止のため放水せざるを得ない、という状況です。
3.無効水量のうち「漏水量」をどう防止するのか
これまでの漏水調査や漏水修理などで、漏水の多い管路の状態(管種、口径、布設年度)をどう把握しているか
また、理想としては、配水量を計測するメーターを多く配置し常時把握する。更に給水メーターの情報も常時リアルタイムで計測することにより、漏水等の異常の即時発見と対応の強化が図れるのではないか、と提案。
流量計には「水圧計」や「残留塩素計」も合わせて設置し、量・圧・質を管理することが必要ではないか、と二つの提案を行いました。


続いて、フジ地中情報㈱の豊田氏から「漏水調査の紹介」をいただきました。
漏水調査の目的、方法(現在は音以外の調査方法もあるそうです)などを具体的に説明いただきました。
そして、愛知時計電機㈱の大橋氏からは「メーターの種類と構造」「水道メーターの不感」について説明いただきました。

(豊田氏<左>、大橋氏<右>)
そして意見交換に入りました。(大きな話題をピックアップ)
メータ不感水量はどれくらいの割合が正しいのか?
登米市では料金水量の5%。これはやはり多いのではないか、発表されている他の事業体は1~3%程度であるとのことでしたが、なぜその割合となっているのかは公表されていません。
大橋さんの説明では、メーター不感は「遅動」「器差特性」そして「劣化」ということでしたが、では、どれくらいが適正かというのは明確ではない。但し、現在のメーターは不感流量の改善を行ってきているとのこと。また、電磁式水道メーターには不感はないとのことでした。
コーディネーターの思惑はここで明確な数値を出してもらうことでしたが、残念!
というくらいに、この問題は難しいということです。
次には、無収水量の改善です。
水道技術センターが平成27年度の統計をまとめたところ、無収水量は約3%、無効水量は約7%という数値でした。
登米市の場合は、平成29年度で無収水量7%、無効水量8%の割合ですから、無収水量の削減が大きな課題です。
一つはメーター不感水量の減少を行うことですが、これは単純に言えば、無収から無効への移動するだけなので効果としてはないのと同じです。
とすれば、水質保全・凍結防止の放水量を削減することですが、これも難しい。
落合氏は管路のループ化の推進、ということをおっしゃっていましたが、周辺部の過疎化が大きな原因でもあることから、もっと大きな対策が必要です。
難しい、難しい。

そして、漏水量の削減です。
豊田氏の説明にもあったのですが「(漏水の)復元」ということがあり、最も効果的なことは「管路の更新」ですが、これも財源という課題がある。(もっともいくらお金があってもそれをこなしていくためには、水道事業所の職員の数と質の確保、施工業者の確保ということが必要ですが)
とすれば、日常的な漏水調査が重要。
漏水調査を行う場所の選定はどうするのか? 担当者の経験に基づく勘なのか?
その時に重要なのが、科学的根拠。
その一つが配水量分析、そして漏水調査によるその水道事業体の特徴。
配水本管なのか、配水支管なのか、給水管なのか。
VPならば、何年ごろに布設したものが多いのか。
管体なのか、継手なのか、はたまた分岐地点なのか。
更には、水圧はどうなのか。夜間の水圧がどこまで上がるのか。
・・・etc・・・。
いろいろと疑問は尽きないものなのに、どこかで投げ出してはいないだろうか?
配水量分析と有収率は、その水道を表しているのではないだろうか?
会場からの質問もありました。その質問の回答を会場に求めたりもしました。

というわけで、研修会は終了しました。
終了にあたって、登水研運営員会副委員長の佐藤和寿が挨拶をしました。
追伸
「配水量分析」については、まだまだ考えていかなければならない課題だと思います。
登水研の9月の例会(第10回例会)は、「配水量分析 更に」と題して行うこととしております。
9月20日(木)19時、登米市迫公民館です。
今回は「配水量分析と有収率向上」がテーマのパネルディスカッションを行いました。
パネラーは、登米市水道事業所水道施設課:落合敏之氏、フジ地中情報㈱東北支店:豊田学氏、愛知時計電機㈱公共SS営業推進部:大橋明男氏の3名で、コーディネーターは登水研事務局:ワンエイト:佐藤和哉が務めました。
最初に、登水研運営委員会委員長の鈴木安宏が挨拶を行い、登水研設立と活動の趣旨と本日参加の皆様への御礼をしました。
尚、参加者は60名でした。

続いて、後援をいただいた登米市水道事業所長の羽生芳文様から挨拶をいただきました。

パネルディスカッションは、配水量分析について水道施設維持管理指針等の分析と登米市水道事業の分析を基本として、どのような構成になっているのか、そして現状としてどのようになっているのかを、コーディネーターと落合氏合同で発表するところから始まりました。

(発表する落合氏<右>と聞いているのか?佐藤<左>)
配水量分析の課題としては、配水量として計上しているのは「実測値」であるが、その分析のうち「有収水量」の「料金水量」のみが実測値で他は「目視」「会計上収益があるものとしての水量」そして「係数」によって求めるものであることです。
つまり配水(流した水)のうち確実に実測して判明しているものというのは項目的には少ないことです。
また「有収率」の向上には「無収水量」と「無効水量」を減じなければならない、のですが、その減じることが中小規模水道では難しい。
問題点としては次の項目をあげました。
1.無収水量中「メーター不感水量」の割合
2.無収水量中「事業用水量:水質保全水量」の削減
登米市は給水区域が広く、末端の残留塩素を確保するため、特に夏期に水質保全のため放水をせざるを得ない
また、冬期間は末端の水道管凍結防止のため放水せざるを得ない、という状況です。
3.無効水量のうち「漏水量」をどう防止するのか
これまでの漏水調査や漏水修理などで、漏水の多い管路の状態(管種、口径、布設年度)をどう把握しているか
また、理想としては、配水量を計測するメーターを多く配置し常時把握する。更に給水メーターの情報も常時リアルタイムで計測することにより、漏水等の異常の即時発見と対応の強化が図れるのではないか、と提案。
流量計には「水圧計」や「残留塩素計」も合わせて設置し、量・圧・質を管理することが必要ではないか、と二つの提案を行いました。


続いて、フジ地中情報㈱の豊田氏から「漏水調査の紹介」をいただきました。
漏水調査の目的、方法(現在は音以外の調査方法もあるそうです)などを具体的に説明いただきました。
そして、愛知時計電機㈱の大橋氏からは「メーターの種類と構造」「水道メーターの不感」について説明いただきました。

(豊田氏<左>、大橋氏<右>)
そして意見交換に入りました。(大きな話題をピックアップ)
メータ不感水量はどれくらいの割合が正しいのか?
登米市では料金水量の5%。これはやはり多いのではないか、発表されている他の事業体は1~3%程度であるとのことでしたが、なぜその割合となっているのかは公表されていません。
大橋さんの説明では、メーター不感は「遅動」「器差特性」そして「劣化」ということでしたが、では、どれくらいが適正かというのは明確ではない。但し、現在のメーターは不感流量の改善を行ってきているとのこと。また、電磁式水道メーターには不感はないとのことでした。
コーディネーターの思惑はここで明確な数値を出してもらうことでしたが、残念!
というくらいに、この問題は難しいということです。
次には、無収水量の改善です。
水道技術センターが平成27年度の統計をまとめたところ、無収水量は約3%、無効水量は約7%という数値でした。
登米市の場合は、平成29年度で無収水量7%、無効水量8%の割合ですから、無収水量の削減が大きな課題です。
一つはメーター不感水量の減少を行うことですが、これは単純に言えば、無収から無効への移動するだけなので効果としてはないのと同じです。
とすれば、水質保全・凍結防止の放水量を削減することですが、これも難しい。
落合氏は管路のループ化の推進、ということをおっしゃっていましたが、周辺部の過疎化が大きな原因でもあることから、もっと大きな対策が必要です。
難しい、難しい。

そして、漏水量の削減です。
豊田氏の説明にもあったのですが「(漏水の)復元」ということがあり、最も効果的なことは「管路の更新」ですが、これも財源という課題がある。(もっともいくらお金があってもそれをこなしていくためには、水道事業所の職員の数と質の確保、施工業者の確保ということが必要ですが)
とすれば、日常的な漏水調査が重要。
漏水調査を行う場所の選定はどうするのか? 担当者の経験に基づく勘なのか?
その時に重要なのが、科学的根拠。
その一つが配水量分析、そして漏水調査によるその水道事業体の特徴。
配水本管なのか、配水支管なのか、給水管なのか。
VPならば、何年ごろに布設したものが多いのか。
管体なのか、継手なのか、はたまた分岐地点なのか。
更には、水圧はどうなのか。夜間の水圧がどこまで上がるのか。
・・・etc・・・。
いろいろと疑問は尽きないものなのに、どこかで投げ出してはいないだろうか?
配水量分析と有収率は、その水道を表しているのではないだろうか?
会場からの質問もありました。その質問の回答を会場に求めたりもしました。



というわけで、研修会は終了しました。
終了にあたって、登水研運営員会副委員長の佐藤和寿が挨拶をしました。
追伸
「配水量分析」については、まだまだ考えていかなければならない課題だと思います。
登水研の9月の例会(第10回例会)は、「配水量分析 更に」と題して行うこととしております。
9月20日(木)19時、登米市迫公民館です。
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