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紫の雫

現なるや、幻なるや、去来しゆく想いのたけを、エロスの波が洗う。

寂しがりやの貴婦人

2006-05-24 23:49:04 | Weblog
アーリーン・ジェイムズ  寂しがりやの貴婦人  立花美緒訳

A Perfect Gentleman by Arlene James 1991-2

カトリーナで有名になったニューオーリンズとその周辺が舞台。ヒロインが育ったのは、湿地帯らしくて、交通手段も小船を利用するらしい。

弟がいて、2人とも知的好奇心に溢れており、学業も優秀だったのだが、家が貧しくて大学にはいけない。母は富豪の一人娘だったのだが、祭りのあった1日で恋に落ちた男と駆け落ちして死んで、父は病気で働けないのだが、満足な治療も出来ない。

そんなヒロインを、富豪である祖父が条件に叶えば遺産相続人としてみとめるらしい。それを伝えるためにはるばるやってきた弁護士とヒロインの物語である。結末としては、相続の問題はヒロインが断って、その後どうなるかは匂わせているだけなのだが、物語にはあまり関係ないかもしれない。

しかしヒロインが周辺の家々をボートで廻って古本屋みたいなことをしているのには笑ってしまった。魚を取る網に本を入れて、それを売りに行くのだが、一度売った本も安く買い戻したりしてまた他の人に売るらしい。週に何回か廻るらしいのだが、湿地帯といっても一応この付近の人も高校までの教育は受けているようだから、近くに高校はあるわけである。そうした環境で、こういう商売が成り立つとはとても思えないのだが・・・

経済活動に関しては、ハーレクインはあまり現実的でないのが多いのだが、この辺をもう少しきちんとすれば、結構しっかりしたものになるかもしれない。最もそこまで行けば、それはもうハーレクインじゃないのだろうが、ハーレクイン育ちの作家というのは結構いるかもしれない。

表紙の少女の写真は、可愛い。

愛のサンゴ礁

2006-05-24 23:31:01 | Weblog
アンドレア・ブレイク 愛のサンゴ礁  加藤しをり訳

The Night of Hurricane by Andrea Blake 1980-2


小さな島に画家の父、義母と住んでいるヒロインの物語。その島には、、他には一家の世話をするおばさん一家だけしかない。こうした離れ小島にたった1人だけで住むという願望は、欧米の人には案外強いのかもしれない。厳密な意味では1人ではないのだが、島全体が私有地だから、日本の離島とは大分違う。

10歳のときからこの島に父と移り住んだ少女は、恋人もデートも知らない野生の女だが、もちろん本などはあるから教養的知識はあるわけだ。ずっと住んでいればどうかは分らないが、まだ18歳の少女だから、そういう女を育て上げていくという願望はどこの男にもあるのかもしれない。

文明社会の醜悪さとは縁が無い少女は、「緑の館」のリマを彷彿させさえする。同じような作品をもうひとつ読んだが、これは島ではなかった。

ハッピー・ハート

2006-05-24 22:52:15 | Weblog
アリス・モーガン ハッピー・ハート  やまのまや訳

Deception for Desire by Alice Morgan 1986-3

シンデレラ物語であるが、これまた現実性は限りなく0に近い。まあ楽しく読めればいいから、別に構わないが。

ヒロインはエリート大学を苦学して卒業しているが、今はハンバーガーショップか何かの店員である。というか今までの職業はみな誰でも出来るような仕事ばかりで、就職活動はしているらしいが、実力はあるのに何処からも採用されないらしい。

大金持ちの男に求婚されているらしいのだが、その男がいやで婚約者がいると周囲に言ってしまう。ところが友達の結婚式に婚約者を連れて行かなければならない羽目になって、ハッピー・ハートという結婚相談所で1日だけの婚約者を紹介してもらおうとするのだが・・・・

ヒロインはブロンドだし、ブロンドのイメージどおりかどうかは知らないが、いくらなんでもここまでの非現実性は無いと思う。26歳で住んでいるアパートなんかの記述はすさまじいの一言に尽きる。ベッドも無ければ、シャワーも満足でなく、台所さえ満足に無い。車はいつもバッテリーがあがっているようなポンコツ車だし、着ているものも古着みたいなものばかり。

そのヒロインが知らないままに、一気に大金持ちの男の人の意中の人となるわけだ。リアリズム的世界をハーレクインに求めること自体が、無理なことではあった。それでも面白いといえば、まあ面白かった。

哀愁のプロヴァンス

2006-05-24 22:38:02 | Weblog
アン・メイザー  哀愁のプロヴァンス  相磯佳正訳

The Night of the Bulls by Anne Mather 1979-9

アン・メイザーは何冊目か分らないが、大分マンネリ化しているな。

フランス人と恋に落ちたイギリスの女性が、誤解が原因で別れて、しかし妊娠して男には黙ってその子を育てているのだが・・・しかも男も女も3年間お互いのことが忘れられず、男はジプシーの血を1/4継いでいるが、貴族の金持ちで、というのもパターンどおり。

子どもが病弱なために、別れた恋人(子どもの父親)に金銭的援助を求めに行くのだが、ここでもどうも金銭感覚が分らない。200ポンドくらい欲しいらしいのだが、わざわざイギリスからフランスに飛行機で飛んで、しかもまあまあのホテルにかなりの予定で泊まる、というのが???なのである。そういう余裕があるのなら200ポンドは都合がつくと思うのだが・・・

しかもヒロインは教師。周囲には、同僚も含めて200ポンドの余裕がありそうな人は誰もいないというのだが、20世紀の初めならまだしも1979年の200ポンドがそれほどの大金だった?

しかも父親である男に事実を話さないという原因が、どう考えても納得できない。自分勝手に誤解の道をまっしぐら、という感じなのだが、これは仕方が無いのかなあ。

9冊のハーレクイン

2006-05-24 22:25:57 | Weblog
続けて読んだのだが、感想を書く暇が無かった。これだけたまると、あらすじがあらすじだけに、混乱するのも多い。

もう新しく読了したのから感想を書くことにする。しかし一度には無理だから、何回かに分けて、ということになると思う。