京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

ニンドウいろいろ

2018-06-04 11:53:51 | 雑学・蘊蓄・豆知識
5月最終週の日曜日に、京都府立植物園に向かう途中で立ち寄った白川疏水通の「しもがも葵の小道」では、ツキヌキニンドウが咲いていました。


(ツキヌキニンドウ)


北アメリカ原産の植物で、観賞用として庭に植えられます。葉は対生して、花序に一番近い葉は2枚が合着して1枚の葉のようになり、茎が葉を貫通しているように見えることからツキヌキニンドウ(突抜忍冬あるいは突貫忍冬)と呼ばれます。近縁の品種にはヨーロッパ原産のニオイニンドウ(匂忍冬)がありますが、こちらはツキヌキニンドウより花が大きく芳香があることが和名の由来です。


(ニオイニンドウ)


さて、和名についている「ニンドウ(忍冬)」という名前ですが、少し聞きなれないかもしれませんね。この忍冬とはスイカズラ(吸蔓)のことです。


(スイカズラ)


スイカズラは日本原産の常緑つる性の木本で、ツキヌキニンドウもニオイニンドウもスイカズラの仲間です。漢字の「忍冬」は、スイカズラが冬でも寒さに耐えて緑の葉っぱを茂らせている姿をあてたもので、読みの「スイカズラ」は、子供たちが花を咥えて甘い蜜を吸っていたことからつけられた「吸蔓」が由来です。スイカズラは、咲き始めは白い花ですが時間が経つにつれて黄色く変化し、白い花と黄色い花が一緒に咲く姿から「キンギンカ(金銀花)」という別名もあります。


(別の角度から撮影したスイカズラ)


また、スイカズラは秋から冬に葉のついた蔓を刈り取って日干しにしたものを漢方として利用し、生薬名も「忍冬」です。解熱や消炎、利尿、殺菌の作用があるため、化膿性疾患に配合されます。外用薬としても利用され、皮膚の湿疹や切り傷には湿布にして貼ります。冷え性、痔、あせもには民間薬として浴用にも利用されます。
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