京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

こんなところにも黄金比

2022-07-15 18:17:01 | 雑学・蘊蓄・豆知識
今年は6月中に近畿地方の梅雨が明け、早くも真夏の到来かと思いきや梅雨のような日があったり……と思っていたらどうやら梅雨前線が復活したそうで、これまでの湿気と暑気が合わさった気候に加えて、天気図を見るとさらに体にこたえてしまいそうです……



昨日7月14日は『フランス革命記念日』のほうがよく知られているかと思いますが『ひまわりの日』でもあったそうですね。ひまわりと言っても植物ではなく気象衛星のことで、1977(昭和52)年7月14日に日本初の静止気象衛星『ひまわり』が打ち上げられた日にちなむそうです。

当初『ひまわり』は愛称で正式名称ではなかったそうですが、常に地球に顔を向けて見つめている様子と天気に関係する衛星であることから太陽を想像させる名前がよいとのことで『ひまわり』と名付けられたそうです。花の名前となったのは、その2年前の1975(昭和50)年に宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構:JAXA)初の人工衛星が打ち上げられたときに「宇宙に花開け」という願いを込めて花の名前から『きく』と名付け、気象衛星の際も花の名前にしたとのこと。

もちろん『ひまわり』と見たり聞いたりするだけでなく、夏らしい花と問えば必ず出てくることは想像に難くありませんが、10日ほど前にそのヒマワリ(向日葵)の花が一輪、鞠小路通沿いにある美容室の軒先に置かれたプランターで咲き始めていました。それが1枚目の写真です。

このヒマワリもそうですが、キク科の花の特徴のひとつが集合花であることで、花弁のない(と言いますが、本当は目立たないだけの)管状花(筒状花)と花弁のある舌状花が組み合わさっています。ヒマワリの管状花の部分をよく見てみると……



何か特徴的な点があることにお気づきでしょうか。結実して種子が詰まった状態のほうがわかりやすいかもしれませんが、管状花の並びが時計回りと反時計回りで螺旋状(渦巻き)になっているのが見えるかと思います。

この時計回りと反時計回りの螺旋状の筋の本数を数えると、大体が次の組み合わせになるそうです。

・時計回り:反時計回り  21本:34本
・時計回り:反時計回り  34本:55本
・時計回り:反時計回り  55本:89本


どちらを時計回りとするか反時計回りとするかで逆の数字になることもあるかと思いますが、この数字に何か特徴が隠れていることにお気づきでしょうか。

それぞれ小さい順に、前後に括弧書きで数字を捕捉して並べてみると以下のようになります。

……(13) 21 34 55 89 (144)……


数学ではこのように数がある規則に則って並んでいる列を『数列』と呼びますが、その規則が見えますか? この数列内にある3つの連続数をa、b、cとすると……

① a+b=c
② b²=c×a± x x  は過不足数)


が満たされる数列になっており、発見した数学者の名前からフィボナッチ数列と呼ばれ、この数列を構成する数をフィボナッチ数と呼びます。数学が好きな方や、以前にミステリーのダ・ヴィンチ・コードを読まれた方、もしくは映画化された作品をご覧になった方だとご存じかもしれませんね。以下の数の並びが一番簡単でわかりやすいフィボナッチ数列となるでしょうか。

1 1 2 3 5 8 13 21 34 55 89 144 233 377……


赤い数字で示したように、ヒマワリの筋の本数が含まれていることがわかりますよね。そして、先述の数式を赤字の部分に適用すると……

・① 21+34=55   ② 34²=21×55+1(=1,156)
・① 34+55=89   ② 55²=34×89−1(=3,025)


となります。思いつく数の並びだと②の式でたいてい過不足数が出てきますが、初項(第1項)を1、第2項を φ と置き、過不足数が0となるようなフィボナッチ数列を考えると以下のような並びになり、

1 φ  φ +1 2φ +1 3φ +2……


この並びの第1項、第2項、第3項を上述の②の式に当てはめてφ を求めてみると、式は②から φ ²−φ −1=0が組み立てられ、中学校の数学で二次方程式の因数分解の単元で習ったはずの解の公式で解くとφ は……

1±√5 2


となり、そのうち正の数となる解である

1+√5 2


は、黄金比です。

ヒマワリの管状花(種子)の並びだけでなく螺旋の数であればパイナップルや松ぼっくりの他、顕花植物の花弁の数、葉序が展開する角度などにもフィボナッチ数が隠れていますよ。夏休みの自由研究に他にも探してみても楽しいかも。

・・
・・・
【追記】
今回使用した写真のヒマワリは21(+α?)と34のようです。ちょっと数えにくいのと、どの筋か判別しにくかったり筋とみなしてよいのかどうか悩ましい箇所があり、若干あやふやな筋数でもあるのですが……

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ネ(ジ)バナ? | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yattokamehikotaro)
2022-07-16 15:42:05
京都園芸倶楽部さん
向日葵の配列の法則が判り感謝します。
夏の代表花は「ひまわり🌻」ですね。
返信する
Unknown (kyotoengeiclub1923)
2022-07-16 15:57:51
@yattokamehikotaro yattokamehikotaro 様、こんにちは。
黄金比という落ち着きのよいところに収まることが自然界の法則なのかもしれません。
昨日あたりから何だか梅雨に逆戻りしたようなお天気ですが、夏の花と言えばヒマワリは外せないと思います。😊
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。