見知らぬネコが家に上がり込み、100歳を超すおばあちゃんになついた。
娘が首輪に手紙を結んでみたら、飼い主まで運んだ。
飼い主がノートに貼ってためた手紙は、2年半で800通を超す。
手紙で結ばれた二つの家は、「伝書ネコ」あるいは「介護ネコ」と呼んでかわいがっている。
熊本県玉名市溝上の田んぼが広がる集落で、
ネコは高木波恵さん(107)に毎日のように会いに来る。
気立てが優しく行儀がいいので、波恵さんも気に入った。
長女の恵子さん(76)がネコの帰り道を観察し、
約100メートル離れた家に住む高木洋さん(56)と美津子さん(61)夫婦が飼い主だと突き止めた。
教師だった恵子さんにとって、洋さんは中学時代の教え子だった。
「愛する飼い猫が知らないところで何をしているか、教えてやったら喜ぶだろう」と紙片にネコの行動を書き、首輪に結んでみた。
飼い主の美津子さんは最初に手紙を見た時、
「達筆なので誰からだろうと不思議に思っていた」。数回送った後、恵子さんは洋さん夫婦に送り主であることを打ち明けた。
チャアチャをかわいがる波恵さん=玉名市溝上
ネコは雄の推定9歳で、名前は「チャアチャ」。
人間なら50代前半ぐらい。関西の六甲山周辺で迷いネコとして保護され、
6年前に兵庫県西宮市に住んでいた洋さん夫婦が引き取った。
夫婦は翌年、チャアチャを連れて洋さんの故郷の玉名市溝上に移ってきた。
昨年4月11日の手紙。「ミャオーと言って家の中へ。牛乳一杯(だけ与えた)。
地区のパトロール忙しい様子。バアバになでてもらって、ハーイサヨナラと言って外へ」。
飼い主の美津子さんは「子どものいない私たち夫婦にとって、チャアチャは子ども同然。
外でそんなことやってたのかって、意外な面がわかって助かる」と語る。
素敵な猫さんのお話でした。