倉敷界隈(かいわい)

「今の倉敷」と「今の私」の記録です。

灯を消す人たち

2008年06月22日 01時35分19秒 | 写真

これはコマーシャルです。写真ではなくコマーシャル。この人たちへの敬意を込めて。

夏至でした。普段なら覚えている日なのだけれど、今年は忙しかったせいもあってすっかり忘れていた。そんな時、TVだったか新聞だったか、ラジオだったかも知れないけれど、夏至の日のイベントをすると言ってたような気がした。確か美観地区の光量を落とし、ろうそくで彩るように聞いた気がして、まぁブログネタに行くか、そんな軽い気持ちだった。

期待はしてなかった。雨が降っていたので計画はしていても中止だろうと思った。それでも身体のための散歩になればいいかぐらいの気持ちで出かけた。期待してなかったせいもあり一眼も持っていかなかった。

場所は駅北口の丸テラスの下、ちょうどテラスが屋根になって雨がしのげる場所だった。最初に行った時には準備中だったみたいで、コップに水を入れろうそくを浮かせたものを配ったり、子どもたちが火をつけていたりした。少し見ていたんだけど遅々として進まず、記録写真だけ撮ったからいいかと美観地区に歩いた。

美観地区からの帰り、もう一度見てみるとまだ何かしていた。さっきと違って今度は音楽をしていた。横にいたスタッフらしい女の子に声をかけて教えてもらった。

「今日は夏至なので、ライトを消してろうそくを灯してみませんかと…。いま歌っているのが(このイベントの)代表の方…。いつも夏至と冬至には何かしているんです。この(イベントの)前に市役所からここまでゴミ拾いをしてきて…。学生は、、、あそこの女の子ぐらいです。あの人は去年のこのイベントを見て加わってくれて…。今日も少し新聞(号外)を配ったんですよ…。」

私の話に生真面目に答えてくれた。

今回は倉敷市が援助してくれたみたいだけど、人の手だけでなくお金もかかるだろう。それをこうやって作り上げてくれた若者たちには感謝する。まるごと音楽会の若者といい、なかなか素敵な人たちが身のまわりにいるものだ。

今はどこも明るい。雨の降る人通りのない道にも街灯がともっている。

夜、店の閉まった商店街にこんな灯りがいるのだろうか。しかしこの明るさのおかげで、高校生カップルが安心して帰って行けるのも事実だ。この無駄遣いが我々のためになっている。感謝すべきことに違いない。

彼らには悪いが、私は地球温暖化の原因が二酸化炭素だとは思っていない。もちろんそれもあるだろうけど、その影響よりは太陽活動の活発化、脈動と思っている。今はこう言っても誰も理解してくれないだろう。だけど私も科学者の端くれとしての確信がある。

じゃぁおまえに何が出来るのかと問われたら、やはり出来るのは今の自分の生活を見直すだけ。彼らと同じ事だけだ。

星新一のショートショートにこんな話があった。

今日が最後の日とわかっていて、じゃぁなにをするかと言われたらするのはいつものことだ。ママはご飯をつくり、パパは仕事に行く。子どもが迷子になったら村人全員で探しに行き、見つかってよかったとみんなで喜び合う。今日が最後でも、することはいつも同じ。きっとそう言うものだ。

この若者たち、これだけ多くの人を集める力があった。温暖化防止への影響は微々たるものであっても、それよりもっと大きな、「人のつながり」を作っていったのが素晴らしい。

クローズアップ現代で、『隣人祭り』と言うのをやっていた。ご近所同士、食べて飲んで知り合いになろうというムーブメントなのだそうだ。パリでアパートの隣人が孤独死したのがきっかけで生まれたものだそうだ。

彼らの行動を見ていてそれを思い出した。彼らがこの隣人祭りのようになれないだろうか。人と人をつなぎ、強制ではない一体感のある隣人を作っていけるのではないか。そんなことを思いながら見ていた。

最初に行った時、品のいいおばあさんがイベントを疑問に思ったらしくしきりに聞いていた。何をしているの?って

夢中になったおばあさんは下にろうそくのコップがあるのに気づかず蹴飛ばしてたくさん割ってしまった。

「まぁどうしましょ。大変なことをしてしまって。」

恐縮してオロオロするおばあさんにスタッフはみんな優しかった。

「(割れたのなんて)いいんですよ。それより怪我されてませんか。熱かったでしょう。大丈夫ですか。」

次の瞬間また大きな音がした。今度はスタッフが別のコップを蹴り飛ばしてしまった。

「おっちょこちょいの失敗の典型ですね」 その若者は笑った。

へぇスタッフでも失敗するんだ。その時はそう思ったんだけど、帰り道ふと考えた。

あれって恐縮していたおばあさんに、「そんなことよくあることです。気にしないで!」そう言いたいがために彼がわざと自分でも割ったんじゃないだろうか。スタッフでもしくじることあるんだから、あなたは当然ですよ。そんな心遣いだったのかも知れないな、そう思った。

それが真実でも考えすぎでも、どうでもいいではないか。みんなが笑って、みんなで片付けた。みんなが一緒で、みんなが楽しんだ。

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