桂三枝 ・ ・ ・ デジタル版画 角次郎

葛飾北斎 富嶽三十六景 コレクション
相州仲原 そうしゅうなかはら

梅沢は、二の宮の庄にあって押切川のほとりで富士が眺められる場所です。青い富士と丹頂鶴、うす紅色の雲、幻想的な色合いが美しい作品です。うす紅色の雲は夜明け前の一瞬の空の色を示しており、富士に向かって飛び立つ丹頂鶴から、朝のすがすがしさが放たれるようです。富士と鶴が主に描かれており、お正月の爽やかな雰囲気に合うと新年を迎えるときにオススメの作品です。
富士の長い裾野、立ちこめる霞。天空を舞う二羽の鶴と水辺でついばむ五羽の鶴のみが点景として描かれている。梅澤左は梅澤庄か梅澤在の誤りと言われるが、どこか特定の場所というよりは、理想郷の蓬莱山のような吉祥画として製作されたと想像される。
葛飾北斎 富嶽三十六景 コレクション
相州江の島 そうしゅうえのしま

片瀬浜から見た春の江の島です。萌え出る若葉と江ノ島弁天にいたる参道、両岸の茶店や家並みが細かく描かれています。境川から出た土砂が島まで続き、干潮の時は昔から歩けたことがこの図からもわかります。うららかな春のほのぼのとした雰囲気が伝わってくるような作品です。北斎にしては珍しく、鋭く突き詰めるような感じが無く、ゆったりとした気持ちにさせてくれます。
葛飾北斎 富嶽三十六景 コレクション
相州七里濱 そうしゅうしちりがはま

夏の相模湾、現在の鎌倉稲村ヶ崎から見た富士です。藍色の濃淡だけで描かれた藍摺(あいずり)の作品です。色鮮やかな藍色は、当時ヨーロッパから輸入され、江戸の人々に大人気となったプルシアンブルーが基調となっています。人物も描かれておらず、北斎にしては珍しい純風景画と言えます。藍一色で絵にしてしまう北斎の上手さに魅せられます。
葛飾北斎 富嶽三十六景 コレクション
下目黒 しもめぐろ

江戸時代目黒一帯は、鷹狩りの場所としても有名で、二人の鷹匠の姿からもそのことがうかがえます。視点は低く、丘と丘の間から見える富士の様子から、「夕日の岡」からの景色だと思われます。藍・緑・黄の三色と、単純な色だけでまとめられていますが、これで絵にしてしまう北斎の技術力はさすがです。
葛飾北斎 富嶽三十六景 コレクション
武州玉川 ぶしゅうたまがわ
玉川は、現在の多摩川で六郷のわたしがあります。一見単純な構図に見えますが、近景と遠景のバランスなど、実は計算し尽くされた作品。特に美しいのが、川面の水の表現です。水面が白く輝いているような濃淡をつけ、実は細波も絵の具をつけないで摺られた、空摺りで表現されています。