永く熊本日日新聞の「読者文芸欄 川柳」の選者をされていた森中惠美子さんが4月から木本朱夏さんへ変わります。(2022.1.25)のブログ参照。ここでは森中惠美子さんの句集の一つ『ポケットの水たまり』を紹介します。
負け戦から山国に住み慣れる
米代を稼ぐミシンだとは言わず
雲流れ流れて友はみな嫁ぎ
うつくしく書く薄情な男文字
髪梳いて縁のなかった人と知る
子を産まぬ約束で逢う雪しきり
夏みかんはげしき思慕を押さえ得ず
あるときの母を憎んで三十五
いっしんに男を思う糸を吐く
衿芯を好きだ好きだと刺している
母はまだひとりでまたぐ水たまり
しあわせをつかみ損ねた木綿糸
朝ごはん男と食べたことがない
仏壇を開きさくらを見せてあげ
冬の入口でイヤリングを落とす
上の写真の文庫サイズの句集の最後に「森中惠美子の世界 雪の約束」として梅崎流青さんが22ページにわたって書いておられます。昭和25年、20歳のときの新聞投句から始まった惠美子さんの歴史を知ることができます。上に紹介した句は梅崎流青さんの抄出されたものから抄出。以下は最後の部分のくだりです。
「平明なことばで深い川柳」とは川柳家の目指す指標だ。一見、いつでも手の届く所に翻る旗のようだが歩みよると遠ざかる。その旗をあの「フランス人形」は造作なく自分の彩に染めてしまう。
これはもう持って生まれた天性のもの、といっていいだろう。
「無技巧で心から心へ」の惠美子川柳は、私たちの「川柳とは」の問いかけに対し時には「春風」、時には「ヤスリ」となってこれからも応えてくれるだろう。
達筆な惠美子さんご本人の句のサイン
本の奥付
追伸
今年2022年5月22日に予定されれている本研究協議会主催の川柳大会に選者として森中惠美子さんが来熊の予定です。木本朱夏さんも同行の予定です。無事に大会が開催できることを願うばかりです。(Y)
(平成25年10月6日発行)
というのを持っています。
共和印刷出版部から直で購入しました。
子を産まぬ約束で逢う雪しきり
が印象に残っています。
記憶がはっきりしていないのですが
子を産む産まぬを句にするのかと
この句集に感化されて
私は「~子ども産む」の句を
作ったような気が~