今日の午後、学校の帰り道に
雨模様の空の下、小さな教会の近くで
変わらない、金木犀の香りがしました。
どの秋にも必ずいた
あの日の帰り道と同じ
私の大好きな香り。
忘れることはきっとない
小さな頃の私の思い出。
それは鮮やかな緑色と
オレンジ色のコントラスト。
つま先で立ちながら
手を伸ばして掴み取った。
そのままその小さな手のひらで包み込んだ。
早歩きで、落とさないように
そっと優しく。
家に着くとすぐにそれを母にみせた。
母は優しく笑っていた。
毎年この香りがすると思い出す
小さな少女の後ろ姿。
どこかで読んだ話によると
匂いは私たちの意識の先を行くらしい。
きっと、何度違う秋が巡ってきても
また私は思い出すのでしょう。
金木犀の香りにつられて。