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ロボットが人型である必要性とは――人間にとって最適なロボットデザインを考える

2013-11-16 16:58:24 | 日記
ロボットが人型である必要性とは――人間にとって最適なロボットデザインを考える  という記事を見つけました

 「ロボット」と聞くと多くの方が、人型のヒューマノイドロボットを想像するのではないだろうか。筆者もその1人だ。これは、おそらく漫画やTVアニメ、SF映画の世界で描かれてきた“人のカタチ”をしたロボットの印象が強いためだろう。

 だが、そもそもロボットが人型である意味、必要性はどこにあるのか。

 “robot”の語源とされる『robota(強制労働)』の意味が指し示す通り、“人間の代わり”にツライ作業を行う存在という意味合いからなのか、単に同じシルエットで“親しみやすい”からなのか、動きを“イメージしやすい(=コントロールしやすい)”からなのか……。

 さらに、この“人間に似せる意味”の捉え方によっては、人気俳優が演じる某TVドラマのような人間そっくりなアンドロイドなのか、子ども向けTVアニメに登場するような巨大人型ロボットなのか、その外観も大きく異なってくる。

 人に似せる意味とは何か、どこまで似せるべきなのか。そして、人間にとって最適なロボットのデザインとは何か――。

 この疑問に対し、情報処理推進機構(IPA)は2013年11月13日、産学連携を推進するアキバテクノクラブとともに、「未踏交流会」の拡大版「ロボット特集 ~ロボットデザイン~」を開催。ヒューマノイドロボット開発の最前線で活躍されているデザイナー、研究者、開発者などを講師に招き、“ロボットのデザイン”について、各人の考えが示された。

 この中から本稿では、MONOist 組み込み開発フォーラムで、普段、ほとんど取り上げたことのない工業デザイン/ロボットデザインの話題に注目。T-D-F(T.Sonoyama Design Factory)代表の園山隆輔氏の講演「ヒト型×ロボット×デザイン」から、ロボットデザインに対する考え方を紹介しよう。

 フリーランスで活動する園山氏は、デザイン事務所T-D-Fを京都に立ち上げ、これまで数多くの工業デザイン、ロボットの外観デザインを手掛けてきた。代表的なものとしては、川田工業の次世代産業用ロボット「NEXTAGE」、アールティの家庭用卓上ロボットアーム「NEKONOTE」、産業技術総合研究所(産総研)のヒューマノイド研究開発プラットフォーム「HRP-4」、東京大学のテレイグジスタンスロボット「TELESAR 2」などがある。

 デザインの定義について、園山は「よく、美しく洗練されたフォルムや、アーティスティックな造形を作ること、あるいは“機能美”を追求・実現すること、と言われることがあるが、これは手段の話であり目的ではない」とし、デザインの本当の目的は「ユーザーとの『関係性』を構築することだ」(園山氏)と説明した。

 例えば、何かのテクノロジーやサービスであっても、それが自分の生活や日常にどのように影響するのか、どのように良くなるのか、一目で分かるものでなければ欲しいとか、使いたいとは思われない。「これをはっきりさせること、つまり、“人との関係性をカタチ作ること”がデザインの一番の目的であり、大切な役割だ」(園山氏)という。

 特に、ロボットのようなはっきりとした定義がないような存在は、何をしてくれるものなのか? それをデザインで示してあげる必要がある。「炊飯器やラジカセのように、既に人との関係性がはっきりしているものであれば、少々デザインで遊んでも成立するが、ロボットのような研究途上にあり、“これから世の中に出てくるもの”は、誤解を与えないようなデザインを採用し、人との関係性をはっきりと示してあげる必要がある」(園山氏)。

 では、人との関係性を明らかにしたデザインを実現するにはどうしたらいいのか。

 それは、「誰のために?」「何のために?」「どうやって?」「なぜ?」「いつ?」「どこで?」という“当たり前の原則(5W1H)”をしっかりと考えることだ。「どんなに美しく、カッコ良いデザインを作り上げても、この原則が欠けていると、本来ロボットに与えられている役割を果たせない……という残念な結果になる可能性がある。まず、はっきりさせるのはユーザーとの関係性。ここを築いた上で、はじめて、美しさやカッコ良さの実現に力を注ぐべきだ」と園山氏。

 では、園山氏の考えるロボットと人との関係性とは何か? 「それは、一言で表せるものではない。“ロボット”は、“乗り物”“家電”と同じ、上位概念を指し示す言葉だと思う。同じ乗り物の話でも、ある人は飛行機、ある人は三輪車の話をするかもしれない。これでは話がかみ合うわけがない。ロボットもそういうことだ。ユーザーとの関係性により種類が異なってくるからだ」(園山氏)。

 例えば、重要な商談の場に、営業マンがゆるキャラ風デザインの秘書ロボットを連れてくるのは関係性として『ない(おかしい)』わけだが、もし、この営業マンの勤め先がキャラクタービジネスを展開している会社だったらどうか。ユーザーとの関係性として『あり』になるはずだ。

 「この例からも分かる通り、同じ商談の場だからといって、関係性は一律ではない。是も非になるし、非も是になり得る。だからこそ、5W1H、ユーザーとの関係性をしっかりと考えたデザインが必要になる。そして、人間というのは自分との関係性が明確なコト・モノに対し、『大切』『欲しい』と思うものだ」と園山氏。

 では、人型ロボットの条件とは何か。園山氏は「明確に『これが人型ロボットだ!』と、答えは出せない。なぜなら、これまで述べてきたように、人型であるべきかどうかは、ユーザーとの関係性により変わるからだ」と説明。

 例えば、園山氏の代表作の1つであるHRP-4は、人間のように働くこと、人間とロボットの共同作業とはどうあるべきがを検討することが目的とされたロボットだった。だから人型である意味があったのだ。これに対し、もう1つの代表作であるNEXTAGEも人型ロボットと称されることがあるが、「これは、産業用ロボットアームの進化系にすぎない」(園山氏)という。作業をする2本のロボットアームと状況認識するためのステレオカメラを組み合わせたら、人間の上半身のようなデザインになっただけで、はじめからヒューマノイドロボットを目指して作ったものではないのだ。

 さらに、人に似せることの意味について園山氏は「ある」としながらも、「ただし、これも関係性として、人に似せる必要性があれば」と付け加えた。例えば、単身生活をする高齢者向けのコミュニケーションロボットであれば、安心感や親しみやすさが求められ、人のシルエットや豊かな表情などが必要になるかもしれない。逆に、床掃除をするだけのロボットであれば人に似せる必要はないだろう(床に這いつくばって掃除する人型ロボットはかなり怖い……)。

 講演の最後に、あらためて園山氏はロボットが人型である必要性について、次のようにまとめた。「デザイン的な観点からいうと、人型であるべきかは、ユーザーとの関係性を確立するための“手段の1つ”にすぎない」(園山氏)。

恐怖を与えないような恰好が必要のようだ

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