京都試作産業プラットフォーム

京都試作産業プラットフォームで21世紀の京都経済をリードする新しい産業クラスタを創出

京都試作産業シンポジウム開会挨拶 理事長立石義雄

2005年06月16日 | 情報一般
本日は京都試作産業シンポジウムを開催いたしましたところ、ご多忙なところ、このように多くの皆様のご参加を賜り、ありがとうございます。

 また、平素より財団法人京都産業21の活動に対しまして、格別の御支援、御協力を賜り、厚くお礼申し上げます。開会にあたり、主催者を代表して一言ご挨拶を申し上げます。

 さて、京都府の平成17年度の重点施策でもあり、21世紀の京都の新たな産業として  「試作産業」を創出するため、当財団としても戦略的な産業育成支援施策としてプロジェクトを本年度から立ち上げております。

 皆様ご承知の通り、「試作」はモノとしての大枠の骨組みを固める構想試作工程と、モノの完成度を上げる量産試作工程に大別されます。いずれもモノづくりの共通の基盤を担う(になう)ものであり、これからの京都産業発展の牽引力(けんいんりょく)とも成り得るものであるとの考えから、地域を挙げたオール京都の取り組みの気運を高め、「試作産業」が京都における21世紀の新たな産業として発展することを目的として、本日のシンポジウムを開催させて頂きました。

 「試作」と言うとサンプルとかプロトタイプ製作といった狭い意味で捉えられることがあります。しかし、今回、京都が取り組もうとしているのは、試作を切り口に一個づくりから変種変量にいたる多様な生産形態のニーズに応えられる、サービスまで含めた「モノづくりソリューション」を目指そうとするもので、このシンポジウムの中心的なテーマもそこにあります。
 
 この後のシンポジウムで議論されるわけですが、私から2つの視点を申し上げておきたいと思います。

1つ目は、アイデアを最初に形にする「構想試作」は創造性そのものであり、モノづくりプロセスにおいて重要性が増していることです。
 生産分野では「世界の工場」と言われる中国のモノづくり産業の発展は、少種多量型の生産形態を中心に目覚しいものがあります。しかし、モノづくりに創意工夫を加えて、次のレベルに進化させるための質の高い人的・技術的基盤はまだ発展途上であり、そのことが、創造性溢れる(あふれる)日本モノづくり企業への熱心な誘致活動の背景にあることが指摘されています。
 一方、日本では、モノづくり技術の強みが  再認識され、生産拠点の国内回帰と相まって、モノづくりへの自信が回復してきております。  

また、近年、技術革新の急速な進展、国境を越えたグローバル市場での競争の激化に伴い、製品の独自性と開発のスピードアップへ創造性を発揮することが、モノづくりにおける決定的な要因になりつつあります。それだけにモノづくりの共通の基盤を担う「試作」に関する評価ポイントも、「安かろう、悪かろう」より「高くても、早く、安心」がKFS(Key for Success成功の鍵)になっています。このようなことが第1の視点の背景です。

 2つ目の視点は、ヒューマニズム豊かな社会の実現に貢献するモノづくりという視点です。 20世紀までの工業社会では効率性、生産性の価値観が共有化され、生産者視点での大量生産、大量消費により物質的に豊かな社会をもたらしてきました。
しかし、これからは生活者視点で個別ニーズ毎に、これまでの効率性や生産性に、新たに人間性や社会性を最適に両立させるヒューマニズム豊かな社会の実現に貢献する新たなモノづくりが求められてくると考えております。

 従って、これからの新たなモノづくり、それはデザインから素材やプロセス等に至るまでの徹底したこだわりに代表されるものと考えています。すなわち、モノづくりの根底に流れる顧客満足への心遣いや思い。人間が自分らしく生きるための本質的な要求に応えていくものと捉えています。
ご存知の方も多いと思いますが最近の「プライスレス」というデレビコマーシャルは「お金で買えない価値がある」という意味だと思いますが、そのような心を満たす価値の高いモノづくりが出来るのは、宮廷文化以来の伝統的な高品位な生活文化を有する京都を於いて他にはないと思います。
京都には現在でもモノづくりに関するトータルなソリューションを提供できる高い技術の蓄積と幅広い分野にわたる多品種少量生産型の事業形態を有する多数の企業群があり、さらに多彩な大学等の知の資源も多くあります。

これらのポテンシャルを活かしながら、京都の試作産業が新たな産業として花開くために、その推進力となる試作産業プラットフォームの礎(いしずえ)を築いていきたいと考えております。

 私はこのプラットフォームの成功の鍵は、京都のモノづくりへの2つの哲学、1つは他人より一歩先んじたモノづくり、2つは他人のやっていないことをやるモノづくりにあると考えています。
新商品の試作に対しては各企業のシークレットな部分多く、個別に行うケースに比べて余程メリット(付加価値)を提供できないと、プラットフォームの利活用が増えないことが考えられます。
それだけに、このプラットフォームの利活用で得られる京都モノづくりの高い品質、品位が日本の他地域だけではなく中国などの海外からも評価され、「京都ブランド」の構築につながることを期待しています。

 この後「産業インキュベーションのビジョンと戦略」をテーマに基調講演いただく田坂広志様、パネルディスカッションにご参加いただく京都大学副学長・松重様、コメンテーターとしてご参加いただく近畿経済産業局長・福水様、今井賢一先生をはじめ、本日のシンポジウムのために各界からご参加の皆様方に厚く感謝を申し上げます。

ぜひ大所高所から忌憚のないご意見を賜り、議論を深めていただき、我々が取り組もうとしているプロジェクトに貴重な示唆を与えていただけるものと楽しみにしております。また、この後の交流会でも出席者との意見交換が盛んに行われることを期待しております。

 最後に、本日の京都試作産業シンポジウムがご出席の皆様にとって有意義なものとなりますことを祈念し、開会のご挨拶とさせて頂きます。

 平成17年6月10日
(財)京都産業21理事長 立石義雄




シンポジュウムへ多数のご来場有難うございました

2005年06月12日 | 情報一般
地域を挙げた試作産業への取り組み気運を高め、「試作産業」が京都における次代の新たな産業として進展することを目的として、キックオフとなるシンポジウムを開催しました。


平成17年6月10日(金)14:00~17:35 (シンポジウム) 17:45~19:00(交流会) 於:京都全日空ホテル。 シンポジュウム(無料)は、定員300名のところ、府内中小企業関係者、大学、産学連携機関関係者等約400名の参加。 シンポジウムの熱気がそのまま交流会(有料)にも移行し、70名予定のところ 約140名の出席を得て活発な交流会となりました。


基調講演の田坂氏からも、本プロジェクトに対する熱のこもったエールがあり、パネル・ディスカッションでも、突っ込んだ意見交換が行われました。 またNHK京都支局による、3日に渡る取材で、6月10日の夕方から翌朝にかけて関西地区で報道されました。 さらに日経新聞にも大きく報道されました。 このシンポジュウムを大きなキックオフとして、さらに京都試作産業プラットフォームの実現に向け、加速して行きたいと思います。 ご期待ください。

試作産業プラットフォームの提言

パネルディスカッション

交流会風景