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日々新たなり/日本語学2020

大槻文彦「広日本文典」

2020-11-10 | 日本語学2020

広日本文典、明治の文典。もとは、語法指南として、辞書「言海」の巻頭につけたもの。その内容を、仮名、漢字に関する文字編、八品詞を論じた単語編、主語・述語・修飾語などを説いた文章編の三編から成る。まとめられて、その名を別記にとどめ、広日本文典とし、その《別記》(1897)で,翻訳文法の臭みがあるなどと評されてきた。品詞名を翻訳して日本語の8品詞に合わせたが、感動詞までの命名は、助動詞、天爾遠波の分類で、現代とはとらえかたが異なる。まとめられた解説としては幕末、明治以降の文法として、文と文章を同列にするなど、留意すべき特色を持つ。

世界大百科事典内の広日本文典の言及

【品詞】より
…成章以後,鈴木朖(あきら)は〈体の詞〉〈てにをは〉〈形状の詞〉〈作用の詞〉の4種とし,そのほか東条義門(ぎもん),富樫広蔭(とがしひろかげ)らに説があるが,大別としては成章の4区分にまさるものはない。 江戸末期以来,ヨーロッパの諸語の文典の影響をうけ,あるいはオランダ文典にあてはめて九分し,あるいは英文典に基づいて七分するなど,いろいろの説が現れたが,1897年に大槻文彦(おおつきふみひこ)の《広日本文典》の折衷的な〈8品詞説〉が出るに及んで,これが一般に学校文典の標準として行われることになった。すなわち名詞,動詞,形容詞,助動詞,副詞,接続詞,天爾遠波(てにをは。……
※「広日本文典」について言及している用語解説の一部


世界大百科事典 第2版の解説
大槻文彦著の日本文法書。1897年(明治30)刊。著者は1889年国語辞書《言海》を著して〈語法指南〉を付載したが,それは本書の原稿からの摘要であった。全国普通の文章語の規範として,主として中古(桓武から後三条天皇までの9~11世紀)の用例にもとづいて法則をたてたもので,本書では文字編,単語編に文章編を加えて説いた。毎条にくわしい注が添えられているだけでなく,別冊として《広日本文典別記》があって,さらに細かに毎節の注釈,敷延,参考,考証,弁解,持論,駁(ばく)論などを集録している。

広日本文典. 〔本編〕 - 国立国会図書館デジタルコレクションdl.ndl.go.jp › info:ndljp › pid
書誌情報. 詳細レコード表示にする. 永続的識別子: info:ndljp/pid/992497; タイトル: 広日本文典. 〔本編〕; 著者: 大槻文彦 著; 出版者: 大槻文彦; 出版年月日: 1897; 備考: 国立国会図書館内では、一部分のみ印刷できます。 請求記号: 815-O932k-(s) ...


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