BLOG 思い遥か

日々新たなり/日本語学2020

倭訓栞大綱の文章

2022-02-13 | 日本語学2022

倭訓栞大綱の文章分析
 まず形態を抽出すると、次のようである。各段に助辞「は」がっく語をみる。大綱前文の例をまず示す。これを第1段とした。そして、4文にわけた。ここには、助辞「は」3つが見える。表記に「ハ」字を用いる場合が多く見える。
 1古人は開合正しく言に随て其義も亦明らかなれば別に倭語の學を立さるにや
 2音博士なといへるも漢音呉音のわいだめ其靴謬を正すのみにそ有ける
 3天平の時に至り右大臣吉備ノ朝臣音韻の學に長せし事善相公の封事に見え悉曇の傳は
  釈ノ圓仁入唐して南天の寶月三藏より得たる事三代實録録に見えたり
 4悉曇翻して成就とす一切の言文字によりて成就の義也
 この例から、「古人ハ」「明らかなれハ」「悉曇の傳は」をそれぞれ形態として分類する。
 しかし、次の第2段のように、助辞「は」を見ない文段もまれにある。この8文を見ると、日本語文章の論理展開を示す文の連続が「~に~あり」「~に~を~といふ」の構造であることがわかる。
 5凡天下の言に古言あり今言あり
 6其古今の言に方言あり
 7方言の中にまた各雅言あり俗言あり
 8古言の雅なる後の俗言となるあり
 9古言の俗なる後の雅言となるあり
 10爾雅に古言今言其異あるをときて稗詰といひ古今の間四方の言よく通する事なきを
解きて繹言といふ
 11千載の下に生れて千載の上に通し一方の内に在て四方の外に達しなん
 12難きこといふへからすといへり(伴信友云、大綱は此條をはじめ多くは新井氏の東雅
  の説をとれり)
 続けて、第3段を挙げておく。8文で構成される。
 13西方諸國のこときは方俗音韻を尚ひて文字のこときは尚ふ所にあらす
 14僅に三十餘字をもて天下の事を盡しぬれな其聲音もまた多からさる事を得へからす
 15漢土のこときは其尚ふ所文字にありて音韻の學のこときは西方の長しぬるに及ハす
 16我東方の如きは其尚ふ所言詞の間にありて文字音韻の學は尚ふところにしもあらす
 17されは天地の間本自ら方言あり
 18我東方の聲音のすくなき其聲音のすくなきにあらす
 19ただ是天地發聲の音にして天下の音を合せて其中にあらすといふものなし
 20されと凡言詞の間聲音の相成す所にあらすといふものなけれハ我国古今の言に担通
  せんは音韻の學によらすしてまた他に求へしともおもはれすといへり
 





  
   
   
***


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。