毒舌の日々

なかなか人前で言えないことをぶちまけます。

『帰還』 堂場瞬一

2020-04-30 23:25:07 | 読書
『帰還』 堂場瞬一
文藝春秋 ¥1,700+税 2019/4/5発行
ISBN978-4-16-391005-5

三重県四日市市の工業地帯を舞台に、溺死した新聞記者の謎を同期の三人が追う。

四日市駅前や津駅前の光景を思い浮かべながら読むと臨場感増し増しw。


『毒ガス開発の父ハーバー 愛国心を裏切られた科学者』 宮田親平

2020-04-27 23:29:12 | 読書
『毒ガス開発の父ハーバー 愛国心を裏切られた科学者』 宮田親平
朝日新聞社(朝日選書) ¥1,200+税 2007年11月25日発行
ISBN978-4-02-259934-6

空中窒素固定法でノーベル賞を受賞したフリッツ・ハーバー。
ユダヤ人であるがゆえに帰属地としてのドイツに忠誠を誓い、第1次大戦時に「戦争の早期終結のために」毒ガス開発に取り組んだ。
ドイツ勝利のために狂奔したハーバーだが、ナチス台頭により祖国を追われる。
というハーバーの評伝と、星製薬創業者の星一との交誼が描かれる。星も国に翻弄された犠牲者と言える。

ところで、空中窒素固定法って空中元素固定装置みたいじゃね?
と、オタク心が萌える……


『女たちのシベリア抑留』 小柳ちひろ

2020-04-23 00:00:02 | 読書
『女たちのシベリア抑留』 小柳ちひろ
¥1,700+税 文藝春秋 2019/12/15発行
ISBN978-4-16-391143-4

シベリア抑留というと、『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん・著)を思い出す。
乏しい食料、凍える大地、過酷な労働。次々に倒れる同胞たち、凍てついた土地には遺体を埋めることもできない…。
そんなシベリアに、女性が抑留されていた。
千人近い、従軍看護婦や電話交換手などの民間女性。

> こうした女性たちの存在は、抑留者のごく一部の間では知られていたものの、社会の大きな関心を呼び起こすことはなかった。戦後、人々は何より生活を再建することに必死だった。抑留された男性たちについては、一家の稼ぎ手として早期帰国を求める様々な運動が起こったものの、女性たちについてそうした声が上がったという例はほとんどない。(205頁)


最終章では、村上秋子という一人の女性を取り上げている。
日本に帰ることなく、ロシアに骨を埋めた女性。
彼女が暮らしたハスィン村を本書の著者が訪ねたのは、彼女の死後21年たっていた。けれど村人たちは「アーニャおばあさん!」と嬉しそうに思い出話を聞かせてくれた。
日本よりロシアを選んだ村上秋子。日本に帰りたくなかったわけがない。怖かったのだろう、戦時中の働きを後ろ指さされるのではないかと。非難されるのではないかと。そして日本で働き口があるかどうか。暮らしていけるかどうか。生きていけるか。
過去の自分を知らないロシアの村で、生まれ変わって生きていく方が安心だったのだろうと想像できる。
日本は、少なくとも彼女にとって帰りたい祖国であると同時に、それ以上に帰国を躊躇わせる攻撃的な場所だったのだ。

『ブルー』 葉真中顕

2020-04-11 12:15:21 | 読書
『ブルー』 葉真中顕
¥1,700+税 光文社 2019/4/30発行
ISBN978-4-334-91273-4

おもしろそうだと思い、読んでみようと思ったのだけど、いざ手にしたらいかにも重そうで、これはちょっと今の気分じゃないな…と躊躇ったのだけど、試しにちょっと読み始めてみたら、引き込まれて一気読み。
 

『探検家、40歳の事情』 角幡唯介

2020-04-07 22:21:29 | 読書
『探検家、40歳の事情』 角幡唯介
¥1,250+税 文藝春秋 2016/10/20発行
ISBN978-4-16-390545-7

たいへん面白かった。
角幡唯介は文章が実にいいな。
知的な文章でありながら、たいへんしょうもないことだったりするのが実に好みだ。
探検記を読む限りではストイックに見えていた角幡が、じつはずいぶんとトホホな部分があることを赤裸々に暴露していたりするところもいい。赤裸々すぎんか、と心配になるくらいだ。
とにかく角幡唯介のエッセイはハズレがない。