読書とかいろいろ日記

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『アンチ・ヘイト・ダイアローグ』 中沢けい

2018年11月19日 | 読書日記

『アンチ・ヘイト・ダイアローグ』 中沢けい
¥1,800+税 人文書院 2015/9/30発行
ISBN978-4-409-24106-6

中沢けい、食わず嫌いしてました。なんとなく、理屈っぽいがちがち偏屈なイメージが…。すみません。
ぜんぜんそんなことなかった。むしろ面白い人だった。ユーモアがある。
そしてリベラル。これ大事。バランス感覚のいい人だな、というのが受けた印象。

ヘイトスピーチ及びヘイトスピーチを取り巻く環境に関しての、対談集。
中沢けいが八人の論客と繰り広げる話題の幅と深さに引き込まれる。

ところで、人は自分が知りたいものしか知ろうとしない。見たいものしか見ない。というのは、真実だなあとしみじみ思う。
ネトウヨの皆さんは、この本を読むことはついぞないだろう。同じように、私は歴史修正主義・差別主義・安倍礼賛者の本を絶対手にしないだろう。だって読みたくないもん。私がこの本に興味をひかれる、その時点ですでにフィルターかかってるんだよね。
歩み寄るのは難しいなあ。

 

> 星野——制度が民主主義を放棄してしまったら、どんな異様な考え方の人間が権力を持っても、だれにも止められなくなる。いま、日本の有権者が消極的に選んでしまっている道は、その方向です。
自分は加担しない、という意志が鍵になると思います。(121頁 星野智幸)

> 中野—— 安倍さんたちのありようを特徴づけるもののひとつは、「日本を、取り戻す。」という表現に端的に表れているように、被害者意識の強さですよね。自分たちこそが被害者だという意識が非常に強いのは、いわゆるヘイトスピーチの主張とも重なる部分であると同時に、今の共和党の右傾化した部分が情念として持っているものとも同一のものだと思います。(131頁 中野晃一)

> 中野——他の国が持つ集団的自衛権という権利を日本が行使できないことになっているというのは、それ自体が屈辱だと発想するわけですよ。だけど、それ使って何をしたいのかというと、結局のところは何もないんだと思うんです。ただ戦争ごっこをしてみたいような怖さがあります。とにかく私物化して考えている国家権力に欠けたところがあるのが嫌(140-141頁 中野晃一)

> 中沢——何が悲しくて(首相が)ネトウヨと同じことを言わなきゃいけないのか。それを国会の答弁で記録に残るかたちで言うのが理解できない。しかも、それを周りが誰も止めないのはなぜなんだと。(172頁 ×明戸隆浩)

> 明戸—— 「在日特権」というものの実態がどういうもので、それがどういうカラクリで広まったのかという話をするんです。
ただ、学生もすべての授業を聞いているわけではないですから、授業中は寝ていて、最後に授業についてのコメントを書く段になってパッと起きて「在日特権」の字が目に入って、そういうのがあるんだということを知ったとか書く子がごく稀にいたりします。[…]授業ですらこれですから、ネット上でそうした情報を目にした学生が「あ、そういうのがあるのね」と思ってしまうだろうということは容易に想像できます。(180頁 明戸隆浩)

> 中沢ーー全体的に昔よりすごく本名、戸籍名にこだわるようになっています。
 私のペンネームについて「先生、偽名だったんですか」という学生がいるんです。そうすると、私も多少ムッとするんです(笑)。偽名と言うな。筆名と言えと。(182頁 ×明戸隆浩)

> 中沢ーー 逆にいえば、戦後の社会を好ましく思わない人たち、「人権」という言葉を聞いて因縁をつけるための用語だと感じているような人からすれば、安倍さんは偉大な首相です。[…]私の周りには褒める人は一人もいないけれど、安倍さんの周りには褒める人しかいないのでしょう。(237頁 ×上瀧浩子)

引用したいとこだらけで、長くなってしまった。
引用しきれない、数行ではまとまりきらない、もっといい発言も山ほどあるんですけど。ていうか、一冊まるまるすごくよかったです。
思考の裏打ちができた気分です。


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